今週、FacebookはOculus Riftに対応したソーシャルVRアプリ『Facebook Spaces』のベータ版をリリースした。
まだまだベータ版ということで荒削りな点は見えるものの、写真からアバターを生成する機能や充実したコミュニケーション機能など、これまでに販売されてきたソーシャルVRアプリの良いところを合わせたようなアプリとなっている。
Facebook謹製という知名度と安心感もあり、このFacebook SpacesがVRにおけるコミュニケーションの基本となってもおかしくない存在だ。現時点ではOculus Riftユーザ専用のアプリではあるが、Reviveを使えばHTC Viveでの起動も可能だという。
前途有望に見えるFacebook Spacesだが、まずは「ソーシャルVRアプリを使うユーザの少なさ」という障壁にぶつかるかもしれない。
VRの主な用途はVRゲームのソロプレイ

VRをどういった目的で利用するか?
ESAは4,000を超えるアメリカの世帯を対象として調査を行っている。さらに、ESRBやNPDグループ、EEDARといった他の団体からも情報を集めた。
その結果がPDFファイルで公開されている。
VRにおけるソーシャル要素の重要性は以前から繰り返し言及されているポイントであり、VRアプリで世界中の人が身近になる未来が語られてきた。だが、VRをどのような用途に用いているかを尋ねた答えを見るとその未来はまだ遠いのかもしれない。
答えは複数回答で選択率の高かかった順に、ゲームのシングルプレイ、アプリで離れた場所を訪れる、映画を見る、誰かにVRを見せる、学ぶ、ゲームのマルチプレイ、バーチャルデスクトップと続く。ソーシャルアプリでの交流は最下位だ。
ゲームのシングルプレイをすると答えた割合はスタンドアロン型VRヘッドセットのユーザで74%、モバイルVRユーザも48%といずれも最大だ。一方で交流を行っていると答えたのはそれぞれ19%と15%にすぎない。
これは単にソーシャルVRアプリが発展途上であることを示しているのかもしれないし、VRでコミュニケーションを取ろうと考えるユーザ自体が少ないのかもしれない。いずれにしても、Facebook Spacesや他のソーシャルアプリが成功するのは簡単ではなさそうだ。
ハイエンドヘッドセットの購入目的はゲームとバーチャルデスクトップ?
各選択肢が選ばれた割合はなだらかに減っていくのだが、一部ポイントとなりそうな数字も出ている。
例えば、ゲーム(シングル・マルチ両方)やバーチャルデスクトップを選んだ人はモバイルVRよりもスタンドアロン型のVRを使っているユーザに多いようだ。高価なVRヘッドセットの購入に、クオリティの高いゲームの存在が大きく影響しているのではないかと想像できる。
バーチャルデスクトップの利用についても、スタンドアロンとモバイルで差が開いている。モバイルVRの性能では、バーチャルデスクトップが快適ではないと感じるユーザが多いのかもしれない。
他の人にVRを見せるユーザもスタンドアロン型のVRヘッドセットを使っている割合が高いが、これは話の種になるからだろう。あるいは、VR体験に感動したユーザがVRを布教するようになっているとも考えられる。
VRデバイスを所有する家庭は1割

持っているデジタル機器は?
家庭で保有しているデジタル機器を尋ねる質問にもVRデバイスという選択肢があるが、VRデバイスを持っていると答えた家庭は全体の11%だ。
最も保有率が高いのはパソコン(97%)で、ほとんど全ての家庭にあると言っても良いだろう。次いでスマートフォン(81%)、タブレットなどのワイヤレスデバイス(61%)、据え置き型ゲーム機(48%)、携帯型ゲーム機(22%)と続く。
こちらの数字も特に違和感のあるものはない。日本で同様の調査を行ったとしても、全体の順位はそう変動しないのではないだろうか。若い世代ではPCの所有率が低く、スマートフォンが上になるかもしれないくらいだろう。
さて、全家庭の1割が保有しているというVRデバイスだが、この項目だけではどういったデバイスを指しているのかは不明だ。
これまでにGoogle Cardboardが1,000万台、Samsung Gear VRが500万台、Sony PSVRは100万台が販売されている。RiftやViveの販売数は公表されていないが、それよりも少ないのは間違いない。
この割合を考慮すれば、ハイエンドVRシステムを保有しているのは11%のうちでもほんの僅かだろう。ハイエンドVRヘッドセットに限れば、保有率は1%程度にまで低下すると思われる。
ソーシャルVRの普及以前に、VRヘッドセット自体がまだ所有者の少ない存在だ。Facebook SpacesはOculus Rift(非公式にはHTC Viveも)でしか動作しないため、利用できるユーザが少ない。
調査結果を見ると、多くのユーザはゲームをするためにハイエンドVRシステムを導入しており、ソーシャルVRのために導入するユーザはほとんどいないと考えられる。
今後ソーシャルアプリを普及させるには、まずモバイルを含めたマルチプラットフォームに対応する必要がありそうだ。多くのユーザに使ってもらえなければ、ソーシャルアプリの拡大は望めない。
参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/survey-suggests-social-vr-least-used-genre-solo-games/
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