VRコンテンツ制作を手掛ける株式会社積木製作は2022年7月8日(金)、建設現場などで使用する事ができる配筋教育システム「VRiel」の販売を開始したことを発表しました。
このシステムは株式会社大林組と2016年に共同開発されたシステムを販売用にアップデートしたもので、ここでは大林組が社員教育に活用しているバーチャル鉄筋・配筋教育が体験できます。
VR施工管理者向け教育システム「VRiel」販売開始
今回販売が開始された「VRiel(ヴリエル)」は、積木製作が提供するVR施工管理者向け教育システムで、2016年に大林組と共同開発されたシステムを、販売用にアップデートしたものとなっています。
様々なパターンの不具合を体験
今回のシステムを共同開発した大林組では、建設現場における鉄筋配置の不具合防止など管理技術の伝承を目的とした体験型研修を社内で行っており、ここでは一般的な構造図ではすべての鉄筋の配置を表すことは難しいため、細かい仕様の標準配筋図を参照しています。
そのため標準配筋図を頭に入れる必要があるとともに、工事現場を見て不具合箇所に気付く感性が必要になるという課題が存在しているということで、これらを身に付けるために、実際に鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを構築して鉄筋配置の不具合箇所を探す体験型研修を実施しています。
一方この研修には、体感度は高いものの不具合箇所が固定されているため、同じ受講者が繰り返し受講するには不向きであることや、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者が実習施設のある場所に移動したりする必要があるなど、コストと時間がかかるという課題も出ているということです。
「VRiel」はそういった背景から開発されており、
・空間
・距離
・時間
の問題を解決して、手軽にどこでも体験型研修を実施できるようにしています。
4つの特徴でVR研修をサポート
このシステムには4つの特徴が備わっており、建設業の鉄筋・配筋教育をサポートします。
どこでも手軽に研修可能
このシステムの開発当時は、パソコンを必要とするHMDが使用されていたものの、今回の販売にあたってスタンドアロン型のHMD対応にアップデートされており、より手軽にどこでも使用できるようになっています。
2m四方のスペースさえあれば体験が可能になっており、受講者はHMDを装着してVR上に表れる教育用躯体の不具合箇所を探します。
いろんなパターンが再現可能
このシステムは、プログラムを変更するだけで
不具合箇所の変更・追加
ができるようになっており、不具合箇所をランダムに組み替えることで難易度を調節し、同一の受講者が何度でも研修を受けることができます。
また大林組は、早くからBIM(Building Information Modeling)の活用にも力を入れており、「VRiel」の素材としてこのBIMデータを活用することにより、鉄筋などの躯体・仕上げ・設備などの品質管理のほか、安全管理などさまざまな教育ツールを容易に作成することができるようになっていて、教育内容の充実を図ることもできます。
正解不正解を視覚的に確認できる
システムでは実物のモックアップと異なり、不具合個所について正解モデルと不正解モデルとをVR上で瞬時に切り替えられるようになっています。
これにとって、受講者は何が間違いか、本来どうあるべきかを視覚的に知ることができます。
不具合に気付く感性を身に付ける
受講者はVR上を移動したり、首を動かして視界を上下左右に動かしたりと、実際の工事現場と同様に身体を動かすことができ、また施工管理に必要な図面や基準図、計測用のコンベックスなどもすべてVR上で確認・使用することができます。
このように実際の工事現場と同様の環境で学習することで、不具合に気付く感性を身に付けることが期待できます。
今後はアップデートも
積木製作では今後、多くの企業へ本システムの導入を促進しつつ、同時に導入企業から得たフィードバックを大林組と共有することで、システムのアップデートを実施していくとしています。
まとめ
VR技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel」の、販売が開始されています。
このシステムは建設会社・大林組との共同で開発されたもので、同社が社員教育に活用しているバーチャル鉄筋・配筋教育を外部企業向けに提供するものになっています。
近年ベテラン人材不足が問題になっていますが、こういったシステムの活用で解決されていきそうですね。
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