ARシステムの研究開発を手掛けるプレティア・テクノロジーズ株式会社は2022年4月26日(火)、VPS・マルチプレイヤーを搭載したARクラウドプラットフォーム「Pretia」を正式にローンチし、日・英2言語でのサービス提供を開始したことを発表しました。
ARクラウドプラットフォーム「Pretia」正式ローンチ
今回正式にローンチされた「Pretia」は、プレティア・テクノロジーズが開発・提供するARクラウドプラットフォームで、空間認識による3Dマップ作成・自己位置推定・マルチプレイヤーをワンストップで提供します。
昨今はAppleやGoogleなどのグローバルIT大手企業もARデバイスの開発に参入するなど、世界中がARに注目をしているもののARの活用が進んでいないという現実があり、その大きな理由を同社は
・現実と乖離が大きいこと
・複数人で体験するARが少なかったこと
・開発コストがかかりすぎていたこと
にあると考えているとのことで、その課題を解決するために「Pretia」が今回開発されています。
ここでは現実の物理法則に沿い、また複数人で同時に体験できるAR体験を低コストで開発することが可能になっており、AR活用のユースケースの広がりによって
「リアルとデジタルの融合」
「新しいコミュニケーションの創出」
に課題がある企業・プロジェクトでARを使うケースが増えることが期待できるようになっています。
なお、同サービスを利用するには公式サイトより登録が必要で、価格は登録・個人による開発は無料。
法人によるビジネス利用は別途問い合わせが必要です。
<要求スペック>
Unity:2020.3 LTS バージョン
iOS:iOS 11.0 以降(A9 以降のプロセッサ)、ARKit搭載
Android:Android 7.0 以上、ARCore搭載
様々なコンテンツ制作が可能
同サービスを利用することで、アニメやドラマのシーンを現地で見ることができる聖地巡礼コンテンツのほか、
・街全体を物語の舞台に複数人でパーティーを組むRPG
・ビル内や商業施設をキャラクターが動きながら案内してくれるナビゲーション
・スマホをかざすと動き出す広告
・建物やお店の特徴を活かしたAR謎解きゲーム
・商品にカメラをかざすと商品に関する情報が表示されるアプリ
・倉庫や物流拠点でのナビゲーション
・工場での視覚的なマニュアル
など、toB・toC問わずARの活用を進めることが可能になります。
3つのインターフェースを提供
「Pretia」はAR開発をより簡単にするクラウドサービスとなっており、Unityでの開発をベースとして3つのツールセットを提供しています。
3Dスキャナアプリ
このツールは、現実空間をマッピング(点群データ化)するための専用スマホアプリで、Androidで動作し、またLiDARなどの深度センサーは不要となっています。
なお、現時点ではARCore対応機種のみに対応しており、iOSバージョンは数ヶ月以内にリリース予定がされています。
開発者コンソール
このツールは、マップ・アプリ・開発メンバーの管理をするためのWebサイトで、Chromeなどのブラウザ上で動作するようになっています。
Pretia SDK
このツールは、PretiaサーバーとUnityを繋げるSDKで、Unity上へのマップの取り込みや、Unityで設定したARコンテンツの空間への埋め込みをサポートします。
提供する6つの機能
同サービスでは6つの機能を提供しており、その1つ目が3Dマップの作成(点群ベース)。
ここでは、専用スキャンアプリによりスピーディな3Dマップの作成が可能です。
2つ目が3Dマップの拡張・合成で、作成したマップは必要に応じて拡張したり、時間帯の違うマップを合成することができ、自己位置推定が失敗してしまう可能性を下げることができます。
3つ目がコンテンツオーサリングで、マップ作成時にスキャンアプリで仮想オブジェクトを配置し、点群と共にUnityに取り込んだりビルドしたテストアプリ上でオブジェクトの位置調整をすることが可能です。
4つ目が開発チーム・メンバーの管理で、複数人での開発が容易にできるよう、開発者コンソール上でチームへのメンバーの追加・削除・権限管理を行うことができます。
そして5つ目が、自己位置推定(リローカリゼーション)。
ここでは事前に作成した3Dマップを元に、精度高く素早い自己位置推定をすることができ、開発時に意図したAR体験を正確にエンドユーザーに届けることが可能になっています。
またマルチプレイヤー機能も搭載しており、マルチプレイ用のクラウドサーバーが構築されているため、複数人で同時に体験可能なARを開発することができます。
まとめ
ARクラウドプラットフォーム「Pretia」が正式ローンチされました。
このサービスでは、空間認識による3Dマップ作成・自己位置推定・マルチプレイヤーをワンストップで提供しており、リアルとメタバースの融合の加速を目指しています。
世界中で注目を集めているARですが、その開発がより簡単に・手軽にできるようになれば、益々の活性化が見込めますね。
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