2022年3月14日(米国時間)、Meta社は同社が運営するソーシャルVR「Horizon Worlds」に導入したアバターの個人境界線についてのアップデート実施を発表しました。
これまでデフォルト設定だった個人境界線が、Horizon Worldsの設定メニューから個人境界線を調整できるようになっています。
「Horizon Worlds」の個人境界線が調整可能に
個人境界線とは、2022年2月に「Horizon Worlds」と「Horizon Venues」に導入された機能です。
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VRソーシャル空間では自分のアバターを他人のアバターに重ねて不快感を与える嫌がらせが多く見られるため、その対策として導入されました。
境界線とはいっても目に見える線があるわけではなく、自分のアバターと他の利用者のアバターとの間の距離が約1.2メートルに保たれ、それ以上近づけなくなります。
当初はデフォルトの設定として導入され個人の判断でオン・オフの操作ができなかったため、友人とのハイタッチや握手、ハグなどもできなくなるとユーザーから声が上がっていました。
そこで、ユーザーコミュニティのフィードバックをふまえ、
・友人以外の利用者をオンにする:フレンド以外のユーザーには個人境界線が有効となる(デフォルト設定)
・すべての利用者をオンにする:フレンドを含む全ユーザーに対して個人境界線が有効
・オフにする:約1.2メートルの個人境界線は無効、ただし望まない交流を防ぐために小さな個人境界線が表示される
という3つのオプションから選択できるようにする設定が導入されています。
そのため、Horizon Worldsの中で他の利用者のアバターとハイタッチ、グータッチそしてセルフィーの撮影がしやすくなるなど、VRユーザー同士の交流のあり方を自分自身で決められるのがメリットです。
依然として「Venues」の個人境界線はデフォルト設定のまま
Meta社は、個人境界線は嫌がらせ防止に加えてユーザーのマナー意識を確立するために重要であるとしています。
個人境界線機能の導入当初は、ユーザーによるオプション設定の導入の要望に対してはある意味で冷淡と思えるほど、慎重な姿勢を見せていました。
しかし、結局は個人境界線を調整できるようにするオプション設定を導入するという結果となっています。
1ヶ月での方針転換の背景には同社の想定を超えるユーザーからの意見があったものと思われます。
とはいえ、「Horizon Venues」では依然として個人境界線がデフォルトで有効設定されたままです。
Meta社は「個人境界線がVR体験にどのような影響を与えるか、情報を集めながら改善を続けていく予定」としていることから、2つのアプリでのユーザーの反応を比較していくものと思われます。
まとめ
Meta社がVRソーシャルに導入した個人境界線機能にオプション設定が追加されました。
個人境界線を設定することは嫌がらせ予防の効果はあるものの、ユーザーのVR空間での自由を制限するというデメリットも指摘されていました。
機能導入当初はやや強気な姿勢でオプション設定追加に消極的な姿勢を見せていた同社ですが、約1ヶ月で方針を転換する形となっています。
ユーザーの声が大量に寄せられたことが想像できますが、それだけVR空間でのあり方、行動様式をコントロールされたくないという人が多いのではないでしょうか。
また、VRユーザーの多くがVR空間においても、現実空間と同じように人とのつながりを求めているということが言えるかもしれません。
Meta社は今後も個人境界線がユーザーに与える影響などの研究を進めていくとしているので、どのような措置が加えられるのかについても注目です。
ソース:Oculusブログ
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