2021年9月27日(米国時間)、Facebookは責任を持って開発されることを保証するために、グローバルな研究およびプログラムパートナーへの5,000万ドル(約55.6億円)の基金(ファンド)を立ち上げたことを発表しました。
同社は7月にもメタバースの一部を構築し始めるために社内で新しい組織を立ち上げたと発表しており、メタバース実現に向けた取り組みが本格化していくとみられています。
メタバースを「責任を持って構築する」
画像:メタバースの第一歩とも言われるFacebookのVRSNS「Horizon」[Oculusストア]
今回の発表はFacebookの時期CTO(最高技術責任者)であるAndrew Bosworth氏とGlobal Affairs担当副社長Nick Clegg氏の連名で行われました。
この発表の焦点は「メタバースの構築」に当てられています。
Facebookによると「メタバース」は、自分と同じ物理空間にいない他の人と一緒に作成して探索できる一連の仮想空間です。
異なる会社に属し、異なる場所でホストされているWebページ同士がインターネットを通じてシームレスに繋がれるように、仮想体験と世界がある程度の接続性、相互運用性、アイデンティティを共有できるようにする一種の没入型インターネットとして考えられています。
そのため、メタバースは1つの会社が単独で構築できるものではないし、また一朝一夕に完成できるものでもなく、『今後10〜15年で完全に実現されるもの』です。
Facebookは政府、産業界、学界の専門家と協力して、
・経済的機会(デジタル経済の繁栄・維持)
・プライバシー(データの透明性コントロール)
・安全性と完全性(オンラインでの安全)
・公平性と包括性(包括的かつアクセス可能な方法で設計されていること)
などメタバースというコンセプトに内在する問題と機会について考えていくとしています。
メタバース実現のため様々な団体・研究機関をサポート
メタバースを実現させるための長い道のりの出発点として、Facebookは5,000万ドルの「XRプログラムおよび研究基金」を発表しました。
この5,000万ドルを通じて、「業界パートナー、公民権団体、政府、非営利団体、学術機関と協力して、これらの技術(メタバース)を責任を持って構築する方法を決定する」としています。
プログラムを通じてすでに協力しているパートナーの例もいくつか挙げられました。
・米州機構:学生、クリエイター、中小企業向けのジョブトレーニングや能力開発
・Africa No Filter、Electric South、Imisi3D:アフリカにおけるクリエイターのサポート
・Women In Immersive Tech:ヨーロッパにおける女性のXR関係者のサポート
・ソウル大学、香港大学:メタバース設計における倫理と責任の研究
・シンガポール国立大学法学部:プライバシーとデータの使用などの検討
・ハワード大学:ITの多様性の歴史と、それがメタバースに与える影響の研究
Facebookは今後さらにパートナーを募り、メタバース実現に向けた取り組みの情報を発信していくとのことです。
まとめ
Facebookがメタバース実現に向けて5,000万ドルの基金を設立しました。
過去数か月で、Facebookの「メタバース」という単語の使用頻度が増加しています。
7月には、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、Facebookが5年後には「メタバース企業」になるとさえ宣言しました。
しかし、この「メタバース」という言葉が頻繁に使用されるようになった一方、Facebookのメタバースで何を目指していくのかは実際のところ明確ではありません。
様々な発言や発表をもとに推測していくほかないのが現状です。
ただ、10月28日にはFacebook Connectが予定されており、この場でFacebookのメタバース構想について具体的なビジョン(の一部分)が示されると予想されます。
ソース:Building the Metaverse Responsibly[Facebook公式ブログ]
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