VRヘッドセット装着者に、「風」の体験をもたらすアクセサリー「ZephVR」が、クラウドファンディングサイトKickstarter上で資金調達を実施中だ。
開始からわずか数日しか経過していないにもかかわらず、既に目標金額である3万ドルを調達し終えており、高い注目度を集めている様子が伺える。
Weasel Labsによって開発されたこのアクセサリーは、ヘッドセットに取り付けられた2つのファンが、VR空間内の状況変化に応じて回転し、ユーザーの顔に適度に風を当ててくれる。
これによって、たとえば、ゲーム中で空を飛び回る、または、ステージ上を駆け抜ける、といったの行動をとった場合、プレイヤーはまるで本当に風を感じているかのような、いわゆる4D体験が可能となるのだ。
ZephVRとは?
ヘッドセット底部に取り付けて使用
ZephVRが現在対応しているのは、HTC Vive、Oculus Rift、PSVRの3つのVRヘッドセットだ。
ZephVRのクリップを、それぞれのデバイス底部に装着し、USBケーブルを接続すれば、すぐに使用できる。ファンは軽量なので、VRヘッドセットの使用感を妨げる心配はない。
機械学習により、どのようなゲームにも対応できるように
ZephVRは、VRゲーム中に流れるサウンドエフェクトなどのオーディオを自動的に識別し、ゲーム内の状況に即した風圧や風の流れをプレイヤーにもたらす。
スカイダイビングも、ジャットコースターのシミュレーションも、あるいはホラーゲームのひやりとするようなシーンでも、あらゆるシチュエーションに、効果的な演出を付け加えてくれる。
こうしたシステムが実現できたのは、ZephVRのソフトウェア開発に機械学習の技術が用いられているからだ。開発者たちは何時間も様々なゲームをプレイし、「風」のサウンドにラベリングをおこない、ソフトが自動で「風の音」を聞き分けられるようにした。
さらに、機械学習による開発手法を取ったため、オーディオさえ適切に出力されていれば、原理的にはどのようなゲームであっても、あるいはどのようなゲーム内イベントであっても、ZephVRは「風」を演出することができるのだ。
しかも、Kickstarter上の説明によれば、ZephVRのソフトウェアは新作ゲームにも対応できるよう、アップデートされ続ける予定になっているという。新しくリリースされたゲームでも、あまり違和感を覚えずに4D体験を得ることができそうだ。
2つのモードを切り替え可能
ZephVRには2つのモードが搭載されている。ひとつは「自動」モード、そしてもうひとつが、「常時オン」モードだ。
「自動」モードは、これまで説明してきたように、ゲーム内の状況に応じて適度な送風をおこなうモードだ。
これに対して「常時オン」モードは、一定の風量を常にキープし、ユーザーの顔に送風する機能となっている。
こちらは4D体験のためというよりも、ユーザーの顔を優しくクールダウンしてくれることを目的に開発された機能のようだ。快適なVRゲーム体験を実現してくれることだろう。
クラウドファンディングの内容
目標金額を3日で達成!
ZephVRの当初の目標調達金額は3万ドルだった。しかし、この目標は、調達開始からわずか3日目で早くも達成されてしまう。
そして、2017年11月7日11時現在、ZephVRには4万220ドルもの資金が集まっている。これらの資金の用途は、主に、ZephVRの量産体制を整えるために活用されることになるようだ。
募集締切は2017年12月4日。ストレッチゴールが今後設けられるかどうかは現時点では不明だが、まだ期限は1ヶ月近くも残されており、この先もまだまだ多額の資金を獲得していくと予想される。
75ドル以上の出資者にZephVRを贈呈!
クラウドファンディングのリワードとして、75ドル以上の出資者には、ZephVRとミニUSBケーブルのセットが贈呈される。
通常販売価格が89ドルであることを考えると、プロダクトの早期予約購入をお得に済ませていることと同じ意味をもつだろう。
以前は49ドルでZephVRを贈呈するスーパーアーリーバードコースも設けられていたが、応募が殺到し、現在は募集を締め切っているようだ。
なお、Rift、Viveと異なり、PSVRには別途オーディオプロセスボックスを搭載する必要がある。このため、Rift、Viveとリワード品の内容が異なるため、価格は同一ながらも、PSVRの出資コースは別途設けられている。応募の際は注意されたい。
発送は2018年5月と予定されている。
クラウドファンディングで成功した事例
ZephVRは、クラウドファンディングを活用し、多額の資金調達に成功した唯一のVRプロダクトというわけではない。
先日も、Pimax8KがKickstarter上で総額420万ドルの資金調達を終え、大きな話題をさらったばかりだ。
全てのクラウドファンディングが劇的な成功を収めているわけではないが、成功事例が蓄積されていけば、今後、同用の手法を採用するベンチャー企業はますます増加していくだろう。
参考URL:
Kickstarter, UPLOADVR, VRSCOUT
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