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夢遊病患者の歩行をVRフルボディ・トラッキングを活用して解析した結果、健常者より歩行能力が高いことが判明


海外メディアBusiness Standardは、VRフルボディ・システムを活用した夢遊病患者に関する研究事例を紹介した。



VRを活用して夢遊病の新たな側面を発見


同メディアによると、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の脳神経学者Olaf Blanke氏は、夢遊病患者の歩行能力をVRフルボディ・システムを活用して解明した論文「覚醒時の夢遊病患者における明白な歩行運動の制御と意識」を発表した。


夢遊病とは、睡眠時遊行症とも言われ、睡眠中にも関わらず歩き出す症状を特徴としている。睡眠中に起きる歩行においては、夢遊病患者の意識は無意識状態となっている。


同論文が執筆された意図は、こうした夢遊病患者と健常者の歩行能力を比較して、夢遊病患者の歩行を解明しようというものである。そして、歩行能力の比較する実験ツールとして、VRフルボディ・トラッキングシステムが採用されたのだ。


実験は、夢遊病患者と健常者の両方にVRトラッキングセンサーを装着してもらったうえで、通常通りに歩行(つまり夢遊病患者は起きている状態で)してもらう。歩行運動時に採取されたトラッキング情報はPCに転送され、PC上で各被験者の歩行アバターが作られる。このアバターの動作を素材として、夢遊病患者と健常者の歩行能力を比較するのだ。


実験の結果、通常通りの歩行では夢遊病患者と健常者に顕著な差異は認められなかった。しかし、両被験者に後ろ向きに歩いてもらった時、顕著な差異が生じた


後ろ向き歩行をしてもらった時、健常者は歩行時のバランスをとるのに四苦八苦していたのに対し、夢遊病患者はバランスを保って後ろ向き歩行ができたのだ。そして、後ろ向きに歩いている時のバランスのとり方が、ちょうど睡眠時に起こる無意識状態での歩行と強い類似性が認められたのだった。


以上の実験結果から、夢遊病の具体的な治療法が見つかるわけではない。しかしながら、夢遊病を新たな側面から観察するきっかけとなるのは間違いない。


こうしたVRフルボディ・トラッキングシステムを活用した実験が実行できたのは、VRが普及して諸々のVRシステムが安価で入手できるようになったという背景が指摘できるだろう。


VRを活用した科学実験の事例と成果


VRテクノロジーを活用すると、従来は再現困難だった心理実験が可能となり、新たな成果をあげている。


VRを活用した幽体離脱体験



バルセロナ大学の研究者は、幽体離脱体験をバーチャルに体験すると「死に対する恐怖」が少なくなる、ということを検証した論文を発表した。


幽体離脱体験とは、臨死体験に伴って起こることが報告されている自分のカラダを上方から見下ろすような体験のことである。こうした「自分のカラダを上方から見下ろす」体験をVRを活用して実現したのだ。


実験では、バーチャルな臨死体験を体験してもらった後、被験者に以下のような死にまつわる質問を尋ね、質問から感じる「死への恐怖」を5段階評価してもらった。



  • 1.死とは、完全な孤独である

  • 2.命は短くはかない

  • 3.死後には、生前のすべてが失われる

  • 4.若くして死ぬ

  • 5.死んでしまったら、どのように感じるか

  • 6.死んでしまったら、何も考えられず、何もできない

  • 7.あなたが死ねば、肉体は滅ぶ


以上のような質問をした結果、バーチャルな臨死体験を体験した被験者グループは、そうしたバーチャル体験をしていないグループに比べて「死への恐怖」が少なくなったことが確認された。


AIに実装する倫理を構築するVR実験


倫理的選択モデルのためのVRテストを図解した画像


ドイツ・ニーダーザクセン州にあるオスナブリュック大学のLeon Sütfeldが率いる研究チームは、自律自動車に搭載するAIが従うべき倫理アルゴリズムを構築するために、ヒトにバーチャルな交通事故を体験させる実験を行っている。


交通事故においては、あるヒトやモノを犠牲にして、ほかのヒトやモノを助けるという倫理的に厳しい選択が強いられる場合が想定される。こうした倫理的判断をAIに実行させるためには、AIが従うべき倫理アルゴリズムを構築しなければならない。このアルゴリズムを構築するために、ヒトにバーチャルな交通事故を体験してもらって、ヒトが従っている倫理観を解明する実験を繰り返している。


この実験によって判明したのは、交通事故においては助けるヒトやモノに序列があることだ。もっとも助けるべきは、ヒトの子供である。そのほか、イヌはシカより助けるべき序列が高いこともわかった。


以上のようにVRを活用すれば、今まで不可能だった心理実験が可能となり、新たな科学的知識を得ることができる。VRは、自然科学にも貢献しているのだ。


ソース:Business Standard

http://www.business-standard.com/article/news-ians/sleepwalkers-are-better-at-automatic-walking-study-117102900104_1.html


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