
ニューヨークの空に浮かぶARメッセージ
各種ソーシャルネットワークサービスに登録すれば、自分のページを持ってメッセージを掲載したり、写真、動画をそこに貼り付けることができる。
通常のSNSで与えられる「ページ」はインターネット上にしか存在しないバーチャルなものだが、iOS用アプリの『Skrite』を使えば現実の空にARでメッセージを残すことが可能だ。空中に書き込んだメッセージや貼り付けた写真はリアルタイムで他のアプリユーザ(Skyersと呼ばれる)に共有され、アプリを通して同じ空を見ているユーザからのメッセージを受け取れる。
スマートフォン用のAR技術を使ったアプリは多数あるが、その多くはデベロッパーが用意したコンテンツをカメラの映像に重ねて表示するものだ。個人のユーザが簡単にAR空間でコンテンツを作成・共有できるものとしては初めてのスマートフォン用アプリかもしれない。
空に残すメッセージ

好きな場所にメッセージを残す
新しい文化?
Skriteは、空という新しいキャンバスを使って今までにない表現を可能にするアプリだ。写真や画像を組み合わせて自分の創造性を活かすこともできるし、単に自分がそこを訪れた記念を残していくこともできる。他のユーザが残したメッセージを見ることもできるので、ゆるい交流に使うこともできるだろう。
こうした特徴は、観光地などに置かれて自由に書き込むことのできるノートに似ているかもしれない。最近は見かけることも少なくなったが、おすすめのレストランがメモされていたり、「また来ます」などのメッセージが書かれていたりするアレである。
このアプリを通して空を見ると、パブリックな設定で残された他のユーザからのメッセージが見られる。ユーザは、下ではなく上にスマートフォンを向けることになるのだ。
また、自分がいる場所だけでなく離れた場所の空をアプリ経由で見ることもできる。お気に入りの観光地や、友人が住む街の空にメッセージを書くという利用法もありだろう。
プライベートな共有
世界中の人にメッセージを見られるのは恥ずかしい、プライバシーが不安だというユーザのために、特定の友人のみが閲覧できるメッセージを残す機能も用意されている。
一緒に旅行に行ったグループだけに見える記念写真を現地の空に貼り付けたり、ポストカードのような形で空に浮かぶメッセージを届けたりといった使い方が可能だ。
ARを多くの人に

訪れた場所に記録を残す
誰でも使える技術としてのAR
Skriteの創業者でありCEOでもあるRishab Jainは、普通の人がARを利用できるようにすることを目指しているという。
同社が避けたいと考えているのは、ITや3D技術に詳しくないユーザがARを難しくて自分には扱えないものだと思ってしまうことだ。優れたインターフェイスが用意されればARを利用するのは簡単で、ARはユーザを取り巻く世界を楽しむための素晴らしい方法となり得る。
空を所有する
Skriteでは、ユーザが空に描いたメッセージに有効期限はない。少なくとも現時点では、アプリ内で永遠に残るとされている。
このアプリを利用するユーザの数が増えれば、個人のユーザだけでなく企業やブランドもアプリ内で空の一部を自分のものにすることに興味を持つようになるだろう。多くの人が生活する大都市や、メッセージを残すためにSkriteアプリを起動する観光客の多いスポットの空に広告を掲載すれば目にする人は多いはずだ。
ARに進出するSNS
FacebookはOculusを買収してVRヘッドセットのOculus Riftを販売し、ソーシャルVRアプリの『Facebook Spaces』を開発している。Snapも、SnapchatでAR技術を利用したフィルタを提供する。
SNSはAR技術を取り込みつつあり、今後Skriteのようなアプリも増えてくることが考えられる。
SkriteはARKitを使っていることからiOS11を搭載した端末でのみ利用可能だが、AndroidではARKitに対抗するARプラットフォームとしてARCoreの開発が進められている。OSを問わず、既存・新規のSNSがARを使ったアプリやサービスを公開するようになるだろう。
SNSにおいてユーザの数が多いことは、最大の武器になる。既存ユーザを抱えるFacebookやSnapは新興のSNSよりも優位に立っていると言えるが、新しい技術によって利用者を増やすサービスも出てくるかもしれない。ARに対応する新サービスによって、SNSの勢力図にも変化が起きることになりそうだ。
参照元サイト:App Store
参照元サイト:Virtual Reality Reporter
参照元サイト:VR Room
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