海外メディアThe Vergeは、Daydreamに関するGoogle CEOのサンダー・ピチャイ氏の発言を報じた。
2017年末までに11機種体制に
同メディアによると、Google CEOであるとともに同社の親会社Alphabetの取締役への就任が決まったサンダー・ピチャイ氏は、2017年内はDaydream Readyスマホを11機種とする、と発言した。
「Daydream Readyスマホ」とは、Googleが開発したモバイルVRプラットフォーム「Daydream」に最適化されたAndroidスマホのことを意味する。同スマホを専用VRヘッドセット「Daydream View」に差し込んで使うと、スマホでありながらリッチなVR体験が可能となる。
Daydreamに関する同氏の発言は、今年5月に開催された同社の開発者イベント「Google I/O 2017」後、はじめての公式な発言とみなせる。
Daydream Readyスマホの現状
本メディア2017年5月17日付の記事では、「Google I/O 2017」に合わせてDaydream Readyスマホの状況をまとめた表を掲載した。
このほどのピチャイ氏の発言を考慮して、更新したDaydream Readyスマホ対応状況表は以下の通りとなる。
メーカー名 | Daydream対応状況 |
---|---|
Asus | DaydreamとTangoの両方をサポートしたスマホ「ZenFone AR」を2017年6月23日に発売済み |
HTC | Google初のDaydream Readyスマホ「Pixel」の製造を行っている。2017年内にスタンドアローン型Daydreamスマホをリリース |
Huawei | Daydream Readyスマホ「Mate 9」と「Porsche Design Mate 9」(ポルシェデザインとのコラボ・スマホ)をリリース。同社製造のDaydream Viewも発表されているが、リリースは不明。 |
Lenovo | Daydreamが発表された当初のパートナーではないものも、Daydream Readyスマホ「Moto Z」「Moto Z Droid」「Moto Z Force Droid」をリリース。2017年内にスタンドアローン型Daydreamスマホをリリース。 |
Samsung | Galaxy S8およびS8 Plusが2017年7月25日以降アップデートによりDaydreamに対応。 |
Xiaomi | 2017年4月、同社最新スマホ「Mi 6」をリリース。同スマホに対応したDaydream Viewに似たVRヘッドセットをリリースすると発表していたが、今のところ続報はない。 |
ZTC | 「Axon 7」をアップデートによりDaydream Readyスマホとした。 |
上の表と5月の記事において掲載したそれとの違いは、以下の3点である。
・Asus製造スマホ「ZenFone AR」が、2017年6月23日にリリースされたこと
・Galaxy S8およびS8 PlusのDaydream対応アップデートが始まったこと
・Daydream Readyスマホ製造の噂のあったAlcatelとLGを表から削除した
AlcatelとLGを表から削除した理由は、仮にこの2社からDaydream Readyスマホがリリースされると、ピチャイ氏の発言と矛盾してしまうからである。それゆえ、2018年以降になれば、同2社が表に再び記載される余地は残されている。
以上をふまえると、2017年内におけるDaydream Readyスマホは以下の11機種となる。
- ・Pixel
- ・Pixel XL
- ・ZenFone AR
- ・Mate 9
- ・Porsche Design Mate 9
- ・Moto Z
- ・Moto Z Droid
- ・Moto Z Force Droid
- ・Axon 7
- ・Galaxy s8
- ・Galaxy S8 Plus
以上の11機種はすでにリリース済みなことから、2017年内には新規のDaydream Readyスマホのリリースはない、と結論づけられる。
日本にDaydream Viewが上陸する日は来るのか?
2017年におけるDaydream Readyスマホの体制が確定したことから、2017年内に日本メーカーがDaydream Readyスマホを製造・リリースする可能性がゼロとなった、ということを導き出せる。
Daydream Readyスマホを活用するための必須アイテムであるDaydream Viewも、日本では公式にはリリースされていない(「公式にリリースされていない」とはGoogleから公式販売されていない、という意味)。
日本がDaydreamの言わば「真空地帯」となっているのは、日本は世界で最もiPhoneが普及している国であることが関係しているように思われる。
その証拠に国内メディアiPhone Maniaの記事によると、2016年11月から2017年1月の販売数をもとにしたスマホのOS別シェアを主要各国で比較すると、iOSのシェアはヨーロッパ主要諸国が22.7%、アメリカが42%に対し、日本は49.5%で世界トップのシェアとなった(下の表参照)。
ちなみに、中国ではiOSのシェアは16.6%、逆にAndroidのシェアは83.2%であった。
iPhoneユーザーがDaydream Readyスマホに乗り換える確固たる予想がなければ、iPhone強国の日本でDaydream Viewを展開することは難しいだろう。
VR市場の多様性という観点から見れば、日本でもDaydream Viewが公式販売されるのが望ましいのだが、以上のような事情により当面は公式販売される気配はない、と言えるのではなかろうか。
Daydreamに関するGoogle CEOのサンダー・ピチャイ氏の発言を報じたThe Vergeの記事
https://www.theverge.com/circuitbreaker/2017/7/25/16024582/google-daydream-vr-smartphones-2017-sundar-pichai-earnings-quote
世界主要各国のスマホのOS別シェアを報じたiPhone Maniaの記事
http://iphone-mania.jp/news-161914/
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