Venture Reality Fundは2017年Q2におけるAR関連企業を調査し、事業別にまとめた概覧図を公開した。
概覧図では150を超える主要なAR関連企業に焦点が当てられている。
Venture Reality Fundによると調査の結果、2017年度Q1と比較してAR事業に焦点を当てる企業数は60パーセントほど増加していることが判明したという。
Venture Reality Fundとは
Venture Reality FundはAR・VRのスタートアップに5000万ドルにも上る投資をおこなっている企業だ。
最近でもVR・AR産業のエコシステムの活性化を狙い、Yahoo! Japanとパートナー提携を締結したことを発表するなど、大手企業との事業提携にも乗り出し始めている。
また、Venture Reality Fundがこうした概覧図を作成するのは初めてのことではない。
これまでにも2016年度Q4のAR業界マップや、またヨーロッパにおける主要VR企業をまとめた画像などを公開している。
2017年度Q2の調査
市場発展を決める要因
AR関連市場動向がもつ基本的性格について、同社の共同設立者であり、ジェネラルパートナーでもあるTipatat Chennavasin氏は次のように語っている。
「過去の四半期においては、AR産業ではFacebookやAppleといった主要プレイヤーによる顕著な動きがいくつか見られ、それらがすぐディベロッパーらの活動を堅調に増加するよう導いていく、という状況になっていました。市場の多くの領域と同様ですね」
「これらの(市場)発展は、主にインフラストラクチャーとしてのデバイスやソフトウェア開発ツールによって動機づけられた、AR事業に対する関心の高まりを反映しています」
FacebookやAppleといったメジャープレイヤーが市場を牽引していくという傾向は、多くの人が首肯することだろう。
しかし単にそうした企業が参画するか否かで市場発展のが決まるわけではない。市場発展の決定要因としては、AR開発キットの開発状況やアクセシビリティなども重要な位置を占めることになるのだ。
2017年度Q2の調査
そして2017年度Q2におけるAR事業の活発化を決めた要因の一つが、こうしたAR開発キットをめぐる状況の変化だったようだ。
今回の調査でVenture Reality Fundは2000社以上に上る企業を評定した。
勿論現時点で存在する全てのAR関連企業を調査したわけではない。その中から資金、収益、業界内のメインストリームをカバーしているか、などの幾つかの基準から条件を満たしている企業だけを選出したのだ。
そしてその結果、2017年度Q2においてはデバイスインフラストラクチャーとSDKツール開発の分野における動きが最も活発だったことが判明したという。
このことは、ARが依然として産業として進化し続けていることを示すものだ。
Chennavasin氏によれば、ツール開発動向の活発化は、次の四半期におけるコンシューマーとエンタープライズ向けアプリの発展的成長を促すことに繋がると予測されるという。
たとえばマイクロソフト社のHololensとGoogleのTangoは、それらの開発者用キットは限定的にしか頒布されず、そうした意味でアクセシビリティに難はある。
けれども両者の存在は、AR市場発展のための下地を作り、またARのもつ能力を市場に知らしめる上で重要な役割を果たすことにも繋がっている。少なくとも市場成長への貢献度合いを考える上で、この点は評価することが出来るのではないか。
次のAR市場開発のカギを握るのはARKit?
前出のHololensやTangoといったプラットフォームは、将来的にはAppleのリリースしたiOS向けARプラットフォーム、ARKitに相当するように発展していくことが期待されている。
たとえば周知の通り、GoogleのTangoがユーザーの周辺にある空間全体を拡張するという経験をもたらしうることは十分に証明されている。
しかし運用時に全くの難点がないわけではない。使用と同時にアンドロイドのエコシステム内で発生するフラグメンテーションの存在が、Tangoの急速な発展と幅広い適用範囲に対してハンディキャップを課してしまうのだ。
Appleの取り組むARKitの導入は、諸企業のアクティビティを即座に上昇させ、また特にコンシューマーアプリに関するAR空間への注意関心を増加させるように触発する効果を見せている。
次の四半期では、ARKitが「ARプラットフォーム戦争」における台風の目となっていくかもしれない。
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