将来のことを考えるだけでは人は成長しません。より豊かで幸せな将来を描くなら、考えるよりも目の前のことを確実にこなしていくべきです。「今」を一歩ずつ積み重ねることが豊かで幸せな将来をもたらすのです。では、目の前にことに集中するには何が必要か。未来のことばかり危惧しないためにはどんな心構えが必要か。今に全力を注ぐことの意味について考えます。【週刊SUZUKI #89】
目の前にあることに集中する。言うのは簡単ですが、いざ取り組もうとすると難しいのを実感します。周囲の声や余計な不安が頭をよぎり、他のことに目が向いてしまうなんてケースは珍しくありません。目の前のことに集中できるかどうかが、あなたの成長を左右するのです。
こうした思いは、私の父である鈴木敏文氏も言い続けています。「目の前のことに集中できない人に成功が訪れることはない」と、今の大切さを常に説いています。私が以前、父に成功できた極意を聞いたら「目の前のことをただしてきただけ」としか言いません。目の前のことに取り組めない人は、大きなことも成し遂げられないとも言われたものです。私が若いころ、「あまり乗り気ではない仕事には集中できない」などと言い訳すると、「だからお前はダメなんだ」とも言われました。
今に一所懸命取り組んだり、目の前のことに集中したりすることにかけて、鈴木敏文氏は絶対の自負を持っています。優秀な経営者はたくさんいますが、この1点だけは誰にも負けないのではないでしょうか。
「あれも、これも…」などと、いろいろな業務に目を向けてしまう人は、優先順位をつけて1つのことだけに集中してください。まずは、その業務の成果や結果を求めるようにします。他の業務が気になったり、「うまくできない」などと言い訳を考えたりするようでは成し遂げられません。業務を1つずつ片付け、確実に成果や結果を得られるようにする考え方こそ、「目の前のことに集中する」なのです。
今、あなたの目の前にある業務は何ですか。やらなければいけない仕事は何ですか。やるべきことが決まっているなら、ただ目の前のことだけに集中してください。この姿勢が成果をもたらし、繰り返し経験することで将来の成功をももたらすのです。
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。