株式会社デジクルはアメリカの大手ドラッグストア「CVS」「Walgreens」「RITE AID」のアプリ機能を調査し、その結果をまとめたホワイトペーパーを公開しました。この調査は、日本国内の小売業のDX施策に対する参考として位置付けられています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、今や小売業界においても避けて通れない重要な課題となっています。株式会社デジクルは、アメリカのドラッグストア市場におけるアプリの機能と顧客体験についての調査を行い、日本市場における戦略の参考にすべく、ホワイトペーパーを作成しました。今回は、同社が発表した「海外小売DX調査 –第3回アプリ機能(アメリカ・ドラッグストア)編 -」の内容を詳しく見ていきます。
デジクルは、2023年から日本国内小売業のDX推進のために海外の成功事例を学ぶべく、海外小売DX調査を行ってきました。その中で、特に米国のドラッグストア業界がどのようにデジタル技術を活用し、顧客との関係を深化させているのかを探ることが目的です。アプリの機能や顧客体験を比較することで、日本のドラッグストア業界におけるデジタル施策の改善点を見出すことを目指します。
本調査は、2024年1月26日から6月3日の間に実施されました。調査対象はアメリカにおける大手ドラッグストア「CVS」「Walgreens」「RITE AID」のアプリです。各アプリの特徴的な機能を独自の視点で分析し、日本の同業界との相違点を浮き彫りにしました。
CVSはアメリカ全土に9,292店舗を展開する大手ドラッグストアです。彼らのアプリは、ユーザーが会員証をApple Walletに追加できる機能があり、アプリを開かずに会員証を提示できる便利さがあります。また、調査時点で100件以上のクーポンを配信しており、クーポン内でのテキストおよびスキャン検索にも対応しています。顧客ファーストの設計が顕著であり、ユーザーの手間を省く工夫がなされています。
Walgreensは全米に8,250店舗を展開し、CVSに次ぐ規模を誇っています。彼らのアプリのユニークな点は、商品検索結果のフィードにプライベートブランド(PB)商品をカルーセル表示していることです。これにより、自社商品の訴求を強化しています。また、アプリ内で商品の注文ができ、店舗での受け取りを希望する場合は、カート内の商品と受け取り店舗の在庫確認も可能です。この機能は、顧客の利便性を高めるために非常に効果的です。
RITE AIDは、特に東海岸を中心に16州で展開するドラッグストアです。彼らのアプリでは、チラシ画像に掲載されている各商品をクリックすることで詳細ページにアクセスできる仕様になっています。また、かかりつけ医を登録することで、ヘルスケア専門家へのチャット相談も可能という柔軟さを持っており、顧客に対してよりパーソナライズされたサービスを提供しています。
デジクルがまとめたホワイトペーパーでは、米国のアプリが持つ特徴的な機能と、日本のドラッグストア業界のアプリとの違いが詳細に分析されています。特にリテールメディアやチラシ、処方箋送信機能など、デジタル活用の幅広さが際立っています。この調査から導き出される洞察は、日本の小売企業がDXを進める上での貴重な参考となるでしょう。
総じて、アメリカの大手ドラッグストアのアプリは、顧客体験の向上に注力していることが分かりました。CVS、Walgreens、RITE AIDそれぞれのアプリは、異なるアプローチで顧客との関係を構築しています。これらの事例を元に、日本のドラッグストア業界もデジタル技術の導入を進め、顧客にとっての利便性を向上させる活動が求められます。デジクルの調査成果を通じて、今後の小売業界の変革が期待されます。
執筆:海道理彩