複数のネットショップを運営するEC事業者向けのサービスを提供するSAVAWAY。多様な業務が集中しがちなバックヤード業務を効率化する手段として、業務の自動化や一元化が可能な「TEMPOSTAR」の価値を訴求します。「TEMPOSTAR」はどんな特徴を備え、業務をどのように効率化するのか。導入することでどれほどの効果を見込めるのか。さらに、EC事業者が成功するためには何が必要だとSAVAWAYは考えるのか。SAVAWAY 代表取締役社長の齋藤直氏に「TEMPOSTAR」の強みを聞きました。(聞き手:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏)
鈴木:SAVAWAYの事業内容について教えてください。
齋藤:当社はネットショップを展開するEC事業者向けのサービスを開発、提供しています。とりわけ楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどの複数のモールに出店するEC事業者の業務を支援するサービス開発に注力しています。
2004年の創業当時、EC事業者の商品管理や在庫管理、受発注管理などを支援するサービスはいくつか登場していました。しかし、これらを一元的に管理、運用するサービスはありませんでした。そこで受発注に加え、商品と在庫も一元管理するサービスを他社に先駆けて市場投入したのが当社です。あれから20年余り、時代に合わせて機能を拡充させ、現在はEC事業者の多様なニーズに追随するトータルサービスを展開するに至ります。ECの導入や運用、売上拡大などを支援するコンサルティングサービスも展開しています。
鈴木:小売事業者にとってECは収益の柱に他なりません。しかし足元を見ると、非常に煩雑な業務に追われていると感じます。
齋藤:その通りです。ネットショップを運営する場合、商品の在庫管理はもちろん、注文や入金の確認、納品書や領収書の作成、出荷指示、注文や出荷完了のメール送信などの業務を1件ずつ処理しなければなりません。もし複数モールに出店すれば、モールごとに運用方法が異なることからそれぞれの処理が求められます。複数モールに出店して売上拡大を目指そうとするほど、目の前の業務に忙殺されることが珍しくないのです。

鈴木:そんな煩雑な状況を解消できるようにするサービスをSAVAWAYでは提供しているわけですね。
齋藤:はい。当社ではEC事業者の業務効率を向上させるサービスを提供しています。それが「TEMPOSTAR(テンポスター)」です。モールを含む複数のネットショップを運営する際のバックヤード業務を自動化し、業務の効率化を強力に後押しします。楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonといった主要モールはもとより、Yahoo!オークション、楽天ラクマ、au PAYマーケット、dショッピング、メルカリShops、eBayなど、20以上のモールに対応し、受注や在庫、商品管理などの業務を一元化することが可能です。

鈴木:TEMPOSTARの具体的の強みや特徴を教えてください。
齋藤:クラウドサービスながら個別にカスタマイズできる点は強みの1つです。ASPやSaaSの中には標準機能のみを提供し、カスタマイズは不可というサービスが少なくありません。しかしTEMPOSTARの場合、クラウドという柔軟性を担保しつつカスタマイズに対応します。これをハイブリッドカスタマイズと呼び、顧客独自の運用フローや事業規模拡大などに合わせて、機能を追加、拡充することが可能です。事業が小規模の頃は小規模向けのサービス、成長したら大規模向けのサービスに切り替えるといった運用ではなく、小規模な状況から成長するまでをTEMPOSTARだけで完結できます。
基幹システムや独自の受発注システムなどとの連携もカスタマイズにより可能です。既存の基幹システムが保有する在庫情報をTEMPOSTARに読み込ませたり、TEMPOSTARの受注情報や入金額を基幹システムで一括管理したりといった運用に対応します。TEMPOSTARに集約するデータを外部の分析基盤に移行し、モール別の受注傾向や在庫状況から仕入れる時期を予測するなどの分析ももちろん可能です。
追加費用なしでモールの仕様変更に対応するのも特徴です。楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールは一般的に、商品の登録や管理方法、カートの仕様などを頻繁にアップデートします。そのため、EC事業者はこれらの仕様変更に対応するため、運用するシステムを改修しなければなりません。当然コストも時間もかかります。
しかしTEMPOSTARなら、主要モールのアップデートに迅速に対応します。しかもTEMPOSTARを利用するEC事業者は、モールのアップデートに対応するための開発費用を支払う必要がありません。TEMPOSTARの初期導入費用と、カスタマイズした機能の月々の保守費用の中でモールの仕様変更に対応します。複数のモールが頻繁に仕様変更しても、TEMPOSTARを利用するEC事業者は業務を停止せず、事業を継続できるようになります。
鈴木:EC事業者の業務負担を軽減するための機能や特徴があれば教えてください。
齋藤:TEMPOSTARは、複数のモールやネットショップの運営を効率化することに主眼を置いて開発しています。そのため、効率化を支援する多数の機能を備えているのも特徴です。例えば、商品の情報や画像、カテゴリをモールに一括登録する機能を備えます。商品情報や画像などをセットで管理し、商品情報と画像を別々に登録するといった手間を解消します。TEMPOSTARに画像や商品情報、カテゴリなどを登録すれば、直接モールごとに登録せずに商品情報などをTEMPOSTARから一括で反映、更新することが可能です。

受注情報の自動仕分け機能も業務効率を高めるのに有効です。大量の受注内容の中から任意の案件のみを抽出し、個別対応できるようにします。例えば、特定の都道府県に商品を送付しなければならない受注情報のみを抽出し、配送方法を個別に変更するといった運用が可能です。さらに、各モールへの出荷完了報告や売上の請求処理、注文者への注文確認メールや出荷完了メールの配信も自動化できます。

一方で最近は、有力モールが出店する事業者に対し、モール側が用意する物流サービスの利用を呼び掛けるようになっています。配送スピードと品質の標準化を目的に、利用を促すようになっています。そのため、モールに出店する事業者は今後、独自の物流サービスに加え、各モールが提供する物流サービスも併用することが求められると考えられます。つまり、在庫を複数の倉庫に分散して管理する機会が増えることになるのです。こうした状況でもTEMPOSTARなら複数倉庫の在庫状況を把握し、受注時に在庫のある倉庫に出荷指示を分割して自動送信できます。出荷完了時にはモール側に対し、出荷完了を通知することも可能です。有力モールが出店する事業者に求める配送スピードや品質も十分満たすことができます。

こうした各種機能を、一貫性のある操作方法で利用できるのがTENPOSTARの何よりも強みであり特徴です。複数モールの煩雑な作業を集中管理し、容易に運用できるようになるわけです。モールごとに異なるUIや操作方法を覚える必要はありません。操作ミスも軽減し、運用に不慣れな若手スタッフでも複数モールを管理、運用しやすくなります。
鈴木:TEMPOSTARを導入することで業務効率はどの程度改善されるのでしょうか。
齋藤:商品情報の登録や受注処理などの業務を効率化することで、バックヤードの業務時間を66%削減した事例があります。空いた時間に販促計画を検討したり、イベントに参加したりするなどの売上拡大施策に充てられるようになるわけです。もちろん他モールへの出店を計画して販路拡大に踏み切ることも可能です。当社の調べでは、TEMPOSTARを導入したことで売上が2倍に増えたケースがあります。バックヤード業務を簡略化したことで、キャンペーン施策や顧客向けの戦略を検討、実施する機会を増やせるようになるわけです。
EC事業者は「売上を伸ばすための活動」に本来は注力すべきです。しかし、業務があまりに煩雑なため、思うように活動できずにいるケースが非常に目立ちます。しかしTEMPOSTARを活用すれば、コストや時間、人材といったリソースを売上拡大に向けて集中投与できるようになります。こうした体制や仕組みを築く支えとなるのがTEMPOSTARなのです。
鈴木:TEMPOSTARの具体的な活用事例があれば教えてください。
齋藤:例えば、国内外80以上のブランドを取り扱うあるリサイクルショップでは、5つのネットショップの運営にTEMPOSTARを利用しています。リユース商材は商品が頻繁に入れ替わり、加えて一点物が多いため、正確な在庫情報と迅速な商品登録が不可欠です。TEMPOSTARの導入によりこれらの煩雑な業務を効率化し、高い評価をいただいています。特に、「他システムとの連携のしやすさ」についても評価してもらっています。
国内大手のアパレル企業はTEMPOSTARを導入し、各モールやECサイトと自社基幹システム間の受注、在庫、商品情報の連携をカスタマイズで実現しています。これにより、自社システムで登録、管理する在庫・商品情報をTEMPOSTAR経由で各モールやECサイトに自動反映さする運用体制を確立しました。さらに、各モールやECサイトの仕様変更にTEMPOSTARが対応することで、安定したシステム運用も可能となっています。
オフィス用品や日用雑貨を扱う国内大手通販企業では、TEMPOSTAR導入以前は自社基幹システム、自社倉庫システム、その他自社システムを個別に運用する業務構造でした。しかし、TEMPOSTARをインターフェイス代わりに導入したことで、これらの各システム間のスムーズな連携が実現し、運用全体の自動化に成功しました。加えて、各モールの仕様変更はTEMPOSTAR側で吸収するため、システム連携後の運用においても、仕様変更への対応が容易になっています。
TEMPOSTARは現在までに累計で約1500社以上が導入し、EC事業者の運営業務改善に大きく寄与しています。
鈴木:TEMPOSTARの今後の機能強化の予定があれば教えてください。
齋藤:対応するモールを拡充するとともに、モール側の仕様変更に迅速に対応する体制を維持、強化したいと考えます。EC市場は常に変化し、新たなプラットフォームも次々誕生しています。こうした中でもTEMPOSTARの優位性を示すためにも、新たなモールと柔軟に連携できる強みを打ち出せるようにしたいです。基幹システムとの連携も同様です。さまざまな顧客の環境に対応し、顧客のニーズを満たせるシステムを構築できるようにします。そのためにはTEMPOSTARの柔軟性をさらに高め、顧客が求める理想を追求できるような機能強化を図っていきたいと考えます。
操作性もさらに高められるようにします。例えば受注情報の自動仕分け機能は、細かな条件を設定する必要があります。しかし今後は現在の設定方法を見直し、ノーコードツールのように設定を容易に変更できる機能強化を検討します。顧客が運用方針を見直したり、新しい運用ルールを追加したりしたときでも、迷わずに自動化できるようにしたいと考えます。
鈴木:では、SAVAWAYとして今後の展望があれば教えてください。
齋藤:業務効率を向上して売上を拡大するといったTEMPOSTARの価値をさらに磨いていきたいと考えます。EC事業者の多くがバックヤード業務の煩雑さに頭を抱えるものの、市場を勝ち抜くためには、その課題を早期に解決しなければなりません。売上をどう伸ばすかが本質で、売上向上策を導き出さなければなりません。ただし、業務を効率化する手段としてツールさえ導入すればいいのではなく、効率化した先をきちんと見据えるべきです。つまり、空いた時間を使って何をすべきかを考えることが大切です。この時間を適切に運用しない限り、ツールの効果を最大化できません。そこでSAVAWAYは、今後もEC市場やEC事業者の課題と徹底的に向き合い、売上拡大を前提とした支援策を打ち出せるような取り組みに引き続き注力していきたいと思います。
鈴木:EC事業者を取り巻く環境や課題、さらには解決手段まで、本日は大変勉強になりました。どうもありがとうございました。
齋藤:こちらこそありがとうございました。
SAVAWAY株式会社
https://savaway.co.jp/
TEMPOSTAR
https://commerce-star.com/