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NRF APAC2025から見えたDXの未来!ビジネスを加速させるPLMの役割とは


2025年6月にシンガポールで開催された小売業界の大規模イベント「NRF APAC2025」では、AI活用の具体的な方法論が話題に。セントリックソフトウェアが注目を集め、その主力サービス「Centric PLM」が支持されました。橋永重弘氏とテレサ・ジャン氏は、PLMが企業内の情報とプロセスを一貫管理する重要な役割を果たし、AIを活用した市場分析ツールなどの機能を提供する強みを強調。特に分断された情報システムの統合と業務の一元化によって、企業革新と業務効率の向上に貢献します。またPLM導入による経営層の視認性向上や、組織全体のリスキリングが期待されています。このイベントの成功を背景に、7月10日セミナーでさらに詳しい解説が予定されています。

2025年6月にシンガポールで開催された小売業界の未来を示す大規模イベント「NRF APAC2025」の熱気が冷めない中、今回はNRF会場でも大きな注目を集めたセントリックソフトウェアにフォーカス。同社 営業本部長 日本事業責任者の橋永重弘氏、ソリューション部 統括マネージャーのテレサ・ジャン氏に、NRF APAC2025を振り返ってもらいました。さらに、同社の主力サービス「Centric PLM」の強みや導入効果を聞きました。(聞き手:日本オムニチャネル協会 理事 逸見光次郎氏)

NRF APAC ではAIをどう活用するかが論点に

逸見:2025年6月に開催された小売業界最大級の国際カンファレンス「NRFAPAC」。第2回の開催となった今回は昨年と比べてどんな変化が見られましたか。

橋永:昨年は「AIの小売ビジネスへの可能性」が主なトピックでしたが、今年は「AIをいかに活用するか」に既に焦点が移っており、実践的な応用や導入のヒントを中心に議論が行われていたように思えます。

逸見:そうですね。この1年で、AIの概念的なアイデアから具体的に製品として提案されていたのは大きな違いでした。AIを製品として提供するには安定した動作が必要ですし、目新しいものばかり組み込んで販売しにくいという面もあります。セントリックソフトウエアもAIに注力していると聞きます。

橋永:当社の小売業向けPLM「Centric PLM」を中心とした数々のCentricソリューションに対し来場者から多くのポジティブな反響をいただきました。昨年と比べて、より具体的な効果や事例を持って中核としての「Centric PLM」の価値を語れるようになりました。
AIによる市場分析ツール 「Centric Market Intelligence」、PLMに組み込まれた「AI Fashion Inspiration」, MD計画のAIによる意思決定を行う「Centric Planning」などをブースではご紹介しました。

セントリックソフトウェア営業本部長 日本事業責任者の橋永重弘氏

逸見:テレサさんは出展ブースで来場者と話す中で何か違いを感じましたか。

テレサ:日本とアジア各国の参加者ではプロフィールが異なると感じました。アジアからの来場者は、本当に経営者や各業務部門の責任者の方々の来訪が多かった印象です。マーチャンダイジングや生産のトップの方が積極的に来場しており、どのような技術があるのかを見に来ていました。一方、日本企業からは、IT部門やDX推進部門の人が多く来ていた印象です。

橋永:日本からの来場者の方とお話すると、今までEC領域を中心に担当していた方が全社DXの推進役としてより大局的な視点で小売向けPLMを捉え始めているのではないかと感じました。

逸見:多くの日本企業は、システムを導入するだけで改善がもたらされると信じており、それがどのように利用されるか、あるいはビジネス全体にどのように統合されるかを明確に理解していません。

テレサ:日本では、ITやDXのリーダーは業界のイベントに頻繁に参加される一方、業務部門のリーダーは新しいテクノロジーの探求にあまり積極的ではありません。これは、海外の参加者がしばしばオペレーション責任者であるのとは対照的であると思います。

ソリューション部 統括マネージャーのテレサ・ジャン氏

日本企業の古いシステム刷新の契機となる「Centric PLM」

逸見:セントリックソフトウエアが提供する「Centric PLM」とはどんなサービスなのかを教えてください。

橋永: 「Centric PLM」は、これまで企業内で分断されていた商品に関わるあらゆる情報やプロセスを、一貫して繋ぎ合わせるための仕組みです。PLM(製品ライフサイクル管理)という言葉が示す製品のみのライフサイクル管理に留まらず、現在では「事業全体のライフサイクル」を管理するためのプラットフォームであると考えています。

逸見:事業全体を支援するための仕組みとはどういうことでしょうか。

橋永:企業内には企画、設計、素材、原価、購買、生産、品質、在庫、売上、顧客データなど、さまざまな情報が存在しますが、これらが個別のシステムや部門に閉じていると、全体像が見えにくい状態となります。Centric PLMは、それらの情報を一元化し、データとして部署や責任範囲の壁を超えて繋げていくことで、これまで見えなかったものが可視化されるという魅力があります。AIのパワーを活用することで一部業務では自動化さえ可能になります。

例えば、部分的な個別システムの改善では、対象領域だけの効率化に終わりがちです。しかし、PLMは「箱」としてサプライヤも含めて製品情報を受け入れ、適切にデータが入力されれば、全ての情報が一元化され、企業全体の利益向上に貢献できる情報の可視性を劇的に広げることができます。これは、従来の個別最適に陥りがちなシステムのあり方から脱却し、企業全体の力を最大化するための基盤となるものです。特に人材不足が深刻な問題となってきた日本企業にとっては無視することのできない業務アプリケーションに位置づけが大きく変わってきたと感じています。

逸見:「Centric PLM」の具体的な強みや特徴を教えてください。

橋永: Centric PLMの強みは多岐にわたります。現代のビジネス環境において、AIの活用が注目されていますが、私たちはAIを含めソリューションを「どう活用するか」という具体的なビジネスシナリオを提供できるシステムとしてのわかりやすさを重視しています。もちろん、システムとして機能性は最も重要であり、Centric PLMには業種別に異なる商品属性や特徴的な業務シナリオへの対応を含め、豊富な導入事例に裏打ちされた標準機能が備わっている点が最大の特長です。一見複雑に見える業務であっても標準機能の組み合わせによりなるべくシンプルに遂行できる環境を提供し、現場にエクセル業務が残ってしまうような部分的なシステム化や中途半端なデジタル化プロジェクトの発生を防いでいます。市場トレンドに関するAIによる最新の知見や洞察も、自社内の商品に関する情報が正規化された形で社内でまとまっていなければ、つまりAIをあてる先の自社データが整っていなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。情報システムが組織内で分断されている現状に対し、PLMがまずは「かけ橋」として機能することが重要だと考えています。基盤となる情報システムが古いままでは、AIなどの新しい技術を導入しても十分な効果は得られにくいからです。

逸見:「Centric PLM」は業務改革をサポートする役割さえ担います。

橋永:その通りです。当社のシステムは一度導入したら終わりではなく、継続的に変化させることが可能です。部分的な変更や修正を容易に行えるアジャイルな開発アプローチを採用しており、これはITプロジェクトだけでなく、商品開発や事業運営全般にも適用できます。また、Centric PLMには、長年の経験と世界のトッププレイヤーとの共同開発を通じて培われた「世界中の商習慣やベストプラクティス」がシステムモデルとして内包されています。お客様は自社の状況に合わせて柔軟に機能を選択しシステムを設定することができます。これにより、迅速にシステムを構築することができ、効果的な業務改革を進めることが可能です。

テレサ: 橋永が申し上げたように、Centric PLMは、企業が直面する「古いプロセスの足かせ」を解消する上で非常に重要な役割を果たします。多くの日本企業では、20年以上前に構築されたシステムやプロセスが、現在の市場環境に合わなくなっているにもかかわらず、その刷新に躊躇する傾向が見られます。これは、過去の投資や、システム構築に携わった人々への配慮、あるいは変化への心理的な恐怖が原因であることも少なくありません。

しかし、私たちはこれを「過去に構築した仕組みの否定」や「古いものを捨てる」のではなく、「過去の構築経験を活かしながら、新しい技術と新しい仕組みに切り替えることで、時代に合わせて進化させる」全体を繋げることで、これまで以上に大きな利益を生み出すことができます。

そして、新しい仕組みの導入を成功させるには、具体的に目標を定義することが大事です。企業が「とりあえず使ってみる」という曖昧な目的で概念実証(POC)を行うケースがありますが、仕組みで解決する課題と達成したい目標、それに応じた検証の基準が明確に定義されないままだと、現場の担当者も仕組みをどう使って評価すべきか躊躇しながらPOCを進めるので、結局業務をどう改善できるのか見えないで終わってしまうリスクが非常に高いです。Centric PLMの導入を成功させるためには、明確な目的意識を持ち、それが会社の財務諸表にどのような良い影響をもたらすのかというKPIを具体的に設定することが不可欠です。けして簡単なことではないですが、弊社の国内外の豊富な導入成功事例を参考に、各お客様に合った目標・指標設定と辿り着く道筋をご提案することも可能です。

NRF APAC 2025におけるセントリックのブースには、世界各国から多くの来場者が訪れた

商品の管理に留まらない「Centric PLM」の価値

逸見:「Centric PLM」を導入することで得られる効果を教えてください。

橋永: Centric PLMの導入は、企業に多岐にわたる効果をもたらし、特定の課題を抱える企業に特に推奨されます。まず、PLMは、経営層が事業の全体像を正確に把握することを可能にします。多くの企業では、各部門の情報が分断されており、経営層ですら自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の全体像や、それが顧客、従業員、収益にどう繋がるかをシンプルに語れないことがあります。PLMは、こうした部門間のサイロ化を解消し、情報の一貫性を提供することで、より戦略的な意思決定を支援します。特に、今日の市場は予測不可能な変化が常態化しており、アパレル業界などでは従来の単位のシーズン計画では対応しきれていません。PLMは、市場の動向や顧客の購買データに基づき、生産計画やマーチャンダイジング(MD)計画を柔軟に修正する能力を提供します。

逸見:データ活用の点で得られる効果があれば教えてください。

橋永:プレシーズンとインシーズンのデータ連続性の欠如も大きな課題となっています。売り場では接客を通じ、また顧客やトレンド動向などを販売データから抽出できるにもかかわらず、会社全体としては有効には活用しきれず、MDや企画側は実際に商品が売れているか、在庫はどうか、商品が棚に残っているかが見えにくい現状があります。POSデータ、トレンド、気候、競合商品などの情報を統合し、より正確な予測を可能にすることで、サプライチェーン全体の最適化を促します。NRFではコンカレントコマーシャライゼーションというコンセプトを紹介し、主催者ブースツアーでお越しいただいたお客様より高い評価を得ました。

逸見:その他にどんな効果を見込めると考えますか。

テレサ:PLMは単なるシステム導入に留まらず、組織全体のリスキリング(再教育)を促進する機会でもあります。市場の変化が激しい中で深刻な人手不足に直面する日本企業においては、より柔軟なノウハウの共有と人材活用が必要です。PLMで蓄積されるデータは、従来では業務の属人化による会社全体に不足しているスキルと知見や、従業員が活躍できる新たな場を明確にすることを可能にし、心理的な安全性を確保しながら、従業員の能力向上と組織全体の変革を後押しします。これは、EC部門の人々が、販売だけでなく、商品開発から物流、サポート、経理まで事業全体を俯瞰して考える柔軟な発想を身につけてきたことと共通すると思います。そして、昨年と比べて、ChatGPTなどの圧倒的進化により、知識の入手、問題に対する回答と提案を得る手段が明らかに革命されています。これは、まずインターネットにある外部データ、すなわち世の中の公開知識がどんどん民主化されていきます。次は、企業の内部データが仕組みで構造化管理されていると、AIアシスタントで大量データを瞬時に解析して各種業務場面において有用な情報を分かりやすく提供し最適解を提案することも、そう遠くない未来で実現されるでしょう。このようなユースケースは、品揃え・商品とブランドの差別化の根幹に直結するPLM領域から検証を既に始めている企業もいます。正しく、企業が長年築いたノウハウが漏れなく継承され、組織全体の能力の底上げを実現します。

橋永:仕事柄、我々は多くの企業の方とお話する機会がありますが、共通して見られるのは、組織の縦割りや情報システムの老朽化・分断によって、市場の変化に追いつけていないという問題です。RFIDの実装やSCMやERPの次期基幹システムの再構築といったテーマでのIT投資も重要であり大変結構なのですが、一方でエクセル運用や紙中心のマニュアル業務が手つかずで残り、AIをはじめとする最新テクノロジーの企業での活用を妨げており、生産性と市場対応スピードの面で悪影響を与えています。PLMの領域は、戦略レイヤーでの企業変革を可能にし、顧客体験の向上や財務諸表への直接的なインパクトをもたらす、より上位の投資とさえ言えるのではないでしょうか?

逸見:PLMを使った改革を成功させるには、何がポイントになると考えますか。

橋永:PLM導入を成功させるための鍵は、経営者の変革へのコミットメントです。
現場まかせで「従来のやり方でもいいですよ」、なんて甘いことを言ったら誰も変革にはついてこないでしょう。背水の陣をひき、プロジェクトに専任の推進役を立て、変革をやりきることを重視すべきです。プロジェクト推進役は、必ずしもITの専門家である必要はなく、年齢や経験も問いません。むしろ、「これしか考えることがない」という環境で、改革への意識と学ぶ意欲を持ち、社内の各部門と円滑なコミュニケーションが取れる人材が適任です。組織全体でその役割を認知し、サポートする体制が重要になります。

Chat GPTに過去20年間の日本経済・人口のトレンドと自社の業績を比較してくださいと聞いてみると、現状維持では未来がないことに気づかれるのではないでしょうか。Centric PLMは、単なるツールではなく、この変化する世の中の「ゲームのルール」に適応し、顧客や消費者と同じスピードで変化し続けるための手段なのです。自社が何をしたいのかを明確にし、この仕組みを導入することで、企業は新たな成長の機会を掴むことができると確信しています。

PLMの価値に気付くセミナーを開催

逸見:セントリックソフトウエアではPLMをテーマにしたセミナーを開催すると聞きました。

橋永:はい。7月10日に開催するセミナーは、NRF 2025 APACの振り返りから始まり、NRFの当社ブースで披露した最新Centricソリューションの紹介、その製品を使用することで実現可能なことや効果等について掘り下げていきます。有識者の方が「NRFに参加してみての感想や気づき」などについて学ぶ機会を提供するとともに、セントリックのソリューションがどのように具体的なビジネス課題を解決し、効果をもたらすかをお伝えしたいです。

逸見:具体的にどんな点を訴求するのでしょうか。

橋永:AIが当たり前になった現代において、それをどのように活用し、具体的なビジネスシナリオに落とし込むかについてのヒントを提供します。単なる技術としてのAIではなく、製品として安定稼働し、具体的な効果を生むための統合的なアプローチに焦点を当てています。

もちろんPLMの重要性にも切り込みます。 PLMは、これまで分断されがちだった業務プロセス(製品開発、生産、販売、マーケティングなど)とデータをエンドツーエンドで繋ぐ役割を果たします。これにより、市場の変動に柔軟に対応し、企業全体のライフサイクル管理へと発展させられる点を強く訴求できればと考えます。

逸見:セミナーでは、橋永さんやテレサさんが導入や問題提起のモデレーターを務められるとのこと。会場ではお二人に直接相談することもできそうですね。

橋永:当社のソリューションを体験しに、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。会場では当社のスタッフに相談することも可能です。PLMだけでなく、アジアマーケットやDX全般など、広いトピックで皆様とお話できればと思っています。これからの市場に追随し、さらに前進し続けるための切り札として当社のソリューションを活用していただければ嬉しいですね。

セントリックソフトウェア
https://www.centricsoftware.com/ja/

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