高知信用金庫(理事長・山﨑久留美)は、2030年に予定されているホストコンピュータの販売終息に早期に対応し、持続可能な地域金融サービスを確立するための基盤として、次世代基幹系システム「CORE01」の開発をスタートしました。この取り組みは、地域経済の活性化や事業継続性の確保を目指し、地域のデジタル基盤構築に貢献するものです。
CORE01は、これからの金融業界の変革に対応するための開発目標を掲げています。このシステムは、全ての勘定をつかさどる基幹系システムの総称であり、オープンシステムによる再構築が行われることで、コアシステムの強化と拡充が期待されています。これにより、高知信用金庫は地域インフラを支え、持続可能な金融サービスを提供することが可能となります。2030年までにオープンシステムに完全移行することで、従来のレガシーリスクを克服し、デジタル変革への柔軟な対応が可能な体制を整えます。さらに、新技術との親和性を向上させることにより、地域のニーズに即したサービス提供を実現することが目指されています。
CORE01は「地域クラウド構想」を掲げており、業務変革や環境変化に強いインナークラウドをオープンな環境で構築します。このアプローチにより、金融サービスの提供における効率化や安全性を確保します。地域の特性を生かしたシステム設計により、様々な接続が可能となり、地域企業や住民との連携が一層深まるでしょう。また、安全性を重視した設計においては、「オープン」「クローズ」「コンフィデンシャル」という3層構造を採用し、重要なデータは適切に管理され、安全で安心な地域インフラを構成する基盤が整備されます。システム利用者にとっても、厳重なセキュリティ対策が施されていることで、信頼性の高い金融サービスを享受できるようになります。加えて、新しいシステムでは、地域社会のニーズに応えるために「イノベーションフリー構想」が取り入れられており、「現用」、「待機」、「保守」に加えて、複数の「開発」環境を構築することが含まれます。これにより、システムのサービスインを迅速に行える体制が整い、地域社会を支える公益的な役割も担うことが期待されています。
CORE01では、データセンターにおける最高レベルの安全基準である「ティア4」をさらに改善し、強化することを目指しています。この基準に基づくインフラ整備により、基幹系システムのオープン環境への再構築が行われ、安全性と信頼性を高めていきます。一方、オープン化が進むことで、サイバー攻撃が増大する可能性があります。そのため、CORE01では、基幹系システムをコンフィデンシャルゾーンとして設計し、暗号化技術や電文制御を駆使して防御性能を最大化する施策が講じられます。これにより、金融機関が持つ顧客情報やデータが守られることになります。また、CORE01では、ホストコンピュータの知見を活かしてオープンシステムを開発することが計画されており、具体的にはデータベースアクセス制御や電文編集処理、帳票出力処理などを刷新し、システムがより柔軟かつ迅速に機能するようにします。これにより、開発スピードの向上が期待されます。さらに、CORE01の開発においては、モダナイゼーションの「リライト」と「リビルド」を駆使し、最適なオープンシステムを構築することが目指されています。従来の仕組みを改革することで、地域金融機関としての競争力を高めると共に、顧客にとっても利便性の高いサービスを提供します。
システム開発においては、プログラムの整理整頓が進められ、コンポーネント化やサブルーチン化が図られます。これにより、次世代の開発環境に対する理解度や解像度を強化し、より効率的なシステム運営が可能となります。また、開発者とベンダーの協力体制を強化し、地域のデジタル基盤構築に貢献することが期待されています。高知信用金庫の次世代基幹系システム「CORE01」は、地域経済の活性化と持続可能な金融サービスの実現に向けた重要なプロジェクトです。デジタル基盤の強化、オープンシステムへの移行により、金融サービスの提供における新たな可能性が広がります。この取り組みが地域社会に良い影響を与え、金融機関としての役割を果たすことが期待されます。
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執筆:小松由奈