フィンランドの首都ヘルシンキが、2024年10月16日(水)にグローバル・デスティネーション・サステナビリティ(GDS)指数において、世界で最も持続可能な観光地で1位に選ばれたことをVisit Finland(フィンランド政府観光局)が発表しました。このGDS指数は、4つのカテゴリーを基に70以上の指標を用いて旅行先の持続可能性を測定しており、選定対象には持続可能性に投資している100以上の都市が含まれています。ヘルシンキは過去にもGDS指数で高評価を受けており、2023年のランキングでは4位となっていましたが、今回の1位選出はその努力の成果を証明する結果となっています。
ヘルシンキ市長のユハナ・ヴァルティアイネン氏は、世界で最も持続可能な観光地に選ばれたことが長期的な取り組みの結実であるとし、観光事業者や地域住民と協力して持続可能な観光の発展に努めてきたことが評価されたと語っています。ヘルシンキは今後も持続可能な観光地としての地位を維持・向上させるために、さらなる努力を続ける意向を示しています。
また、GDS指数は、デスティネーション・マネジメント、サプライヤー・パフォーマンス、環境パフォーマンス、社会パフォーマンスの4つの主要分野にわたって持続可能性を評価します。ヘルシンキは、この中で特に環境パフォーマンスとデスティネーション・マネジメントにおいて優れた評価を受けており、2024年のランキングでは、デスティネーション・マネジメントとサプライヤー・パフォーマンス、環境パフォーマンスで1位、社会パフォーマンスで2位という結果に至りました。これは、持続可能な発展を目指す地元企業を支援し、観光地開発のための資源を拡充した結果として解釈されています。
ヘルシンキ観光局長のニーナ・ヴェステリネン氏によると、国際的な調査において旅行者は持続可能なサービスや観光地を求める傾向が高まっており、今後も持続可能な観光への需要が増加することが期待されています。ヘルシンキのような持続可能な観光地に対する需要が高まる中で、地域全体がその恩恵を受けられるような仕組みを構築することが求められています。
ヘルシンキの都市戦略は、持続可能でスマートな観光地となることを目指しており、観光やイベントのための気候行動計画を策定しています。この計画では、持続可能性の評価において世界のトップに立つことを目指し、遅くとも2025年までにGDS指数での1位獲得を目指しています。また、温室効果ガスの削減に対する取り組みとして、ヘルシンキは2030年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。再生可能エネルギーの使用を増やし、エネルギー効率を改善するためのプログラムを進めています。
さらに、ヘルシンキでは乗り物の低排出化にも注力しており、地域内の公共交通機関の約30%が電化されています。今後10年で追加の30キロメートル以上の路面電車路線の設置を予定しており、持続可能な交通インフラの拡充にも力を入れています。地域住民が観光開発に参加し、インクルーシブ・ツーリズムを促進するためのプロジェクトも進行中です。
Visit Finlandが運営する「Sustainable Travel Finland」プログラムは、観光における持続可能性を新たな基準とし、フィンランドを世界で最も持続可能な観光国へと導くことを目指しています。このプログラムに参加する観光企業や地域は、持続可能な運営を証明する「Sustainable Travel Finland」ラベルを受け取ることができ、旅行者が意識的な選択をする手助けとなります。
十分な取り組みがなされ、ヘルシンキが持続可能な観光地としての地位を確立したことは、他の地域や国へのインスピレーションともなり得ます。ヘルシンキの持続可能な観光地開発の成功事例は、地域社会や観光客に、その重要性と影響力を示すものです。フィンランド全体においても、ヘルシンキだけでなくタンペレ等他の都市も環境パフォーマンスにおいて高評価を得ており、持続可能な観光が新たなスタンダードとなる未来が期待されます。
このように、ヘルシンキは観光業界において持続可能性のリーダーシップを取っており、観光の発展に寄与する様々な施策と研究を進めています。国際社会の中で、持続可能な観光の模範となることができるヘルシンキの姿勢は、他の都市が学ぶべき貴重な教訓をもたらします。今後のさらなる発展が期待されるフィンランドの観光業界に、目を向けたいところです。
【関連リンク】
Visit Finland(フィンランド政府観光局)
http://www.visitfinland.com/ja/
執筆:DXマガジン編集部