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ECの歴史と進化①


EC(電子商取引)は私たちの購買行動を大きく変える存在として1990年代より進化を続けています。1995年のWindows 95とYahoo!の登場により、一般消費者にとってインターネットアクセスが容易になり、EC市場の拡大が加速しました。この時期に設立されたAmazonやeBayといった主要EC企業は、豊富な品揃え、利便性、革新的なシステムにより業界をリードしてきました。日本でも楽天市場やヤフオクが登場し、国内EC市場を形成しました。特にAmazonのアフィリエイトプログラムは成果報酬型広告として画期的で、PayPalの安全な決済システムはECの信頼性向上に寄与しました。これらの企業は、物流システムやユーザー体験の向上に積極的に投資し、ECが日常の一部として根付くことに貢献しました。この記事は、EC業界の歴史を振り返りながら、その発展の影響と技術革新の可能性を探ります。

消費者の購買行動を大きく変える契機となった「EC」。登場から現在に至るまで、どんな進化を遂げてきたのか。業界をリードする大手EC事業者はどのように事業を拡大してきたのか。ここではECの歴史を振り返るとともに、主要な大手EC事業者のサービス強化の変遷をたどります。【連載第1回:ECの進化とシステムの変遷】

林雅也

株式会社ecbeing 代表取締役社長
日本オムニチャネル協会 専務理事

1997年、学生時代に株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売を行うとともに、インターネット通販の立ち上げに携わる。1999年にはECサイト構築パッケージ「ecbeing」の前身である「ec-shop」を開発し、事業を推進。2005年に大証ヘラクレス上場、2011年に東証一部上場へ寄与。2012年には株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウンの運営およびふるさと納税支援事業を行う。2020年からは日本オムニチャネル協会の専務理事を務め、ECサイト構築パッケージecbeingの導入サイトは1600サイトを超える。


現在、私たちがどのような変革の流れにいるのかを知るためには、業界の変遷を理解することが重要です。技術革新が顧客体験を変えるまでには、一定の時差があります。また、技術革新は頻繁に発生し、その初期段階で何が大きなインパクトをもたらすかを予測するのは難しいものです。大きな注目を集めた技術が消えていくこともあれば、予想外の技術が成長したり、忘れられた頃に再び脚光を浴びたりすることもあります。EC業界もまた、何度も成長の壁に直面してきました。以前はECでの販売が難しいと考えられていた商品やサービスも、今では実現され、日常の一部となっています。将来への期待値と飛躍へのヒントを見い出すため、EC業界の歴史を振り返ってみたいと思います。

ecの黎明期(1995年~)

1995年にリリースされたWindows 95により、パソコンは大きく普及しました。Windows 95は、従来のDOSベースのオペレーティングシステムとは異なり、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を採用し、ユーザーが直感的に操作できるようになりました。また、同時にインターネットへの接続も容易になり、技術に詳しくない生活者もインターネットを使い始めました。

さらに、1997年に登場したYahoo!は、ポータルサイトとしての役割を果たしました。Yahoo!は、インターネットの入口として多くのユーザーを集め、ディレクトリ型のサイト検索を提供しました。これにより、ユーザーは簡単にウェブサイトを見つけることができるようになり、インターネットの利用が一層促進されました。

このような技術的な背景の中で、Eコマースが誕生していくこととなりました。なお、EC化率は、2023年は9.38%ですが、1998年時点ではわずか0.02%でした。

主要なECサイトやサービス

黎明期におけるEコマースの代表的なサイトには、1995年に設立されたAmazonとeBayがあります。日本では1997年に楽天市場、1999年にヤフオクがスタート。東京秋葉原のPCパーツ専門店界隈の動きも早く、TWO-TOPは1996年にスタートして大きな売上を叩き出して注目を集めました。

ちなみに、当時は私も秋葉原でパソコンショップの店員をしており、インターネット通販の立ち上げにも関わっていました。店舗の特価商材を取り扱うと瞬く間に月商1000万を稼ぐようになり、夢中になってシステム改良に励んでいました。

一方、HMVやタワーレコード、TSUTAYAなどのCDやDVDを取り扱うECサイトは、予約販売などを通じて売上を形成していました。1999年には、セブンネットショッピングがソフトバンク、セブン-イレブン・ジャパン、トーハン、ヤフーの合弁会社として書籍販売を中心に立ち上がったときでもありました。

Eコマースの黎明期には多くの企業がインターネットを活用した新しいビジネスモデルを模索し、次々と新しいサービスを提供する中で成長していきました。

■Amazon
Amazonは、1995年にジェフ・ベゾス氏によって設立されました。Amazonは当初、書籍販売のECとしてスタートしました。

Amazonが成功した要因の1つは、豊富な品揃えと利便性です。書店では取り寄せ扱いとなる書籍を含め、膨大な書籍をオンラインで提供しました。これにより、生活者は自宅にいながら、欲しい書籍を簡単に見つけて購入することができました。売れ筋だけでなく、少量しか売れない商品を大量に揃えて売上を構成する手法は、ロングテールと呼ばれました。

日本では1998年からスタートし、アメリカで成長中のサイトが日本にやってきたということで、当時は注目を集めました。

一方、集客手段の限られていた当時はAmazonのアフィリエイトという成果報酬型広告の仕組みが画期的でした。カクテルパーティーでジェフ・ベゾス氏が、ある女性に自分のサイトで本を売ってみたいと声をかられたことにヒントを得てはじめたそうです。個人などが運営するメディアから、サイトや商品に誘導させて売れたら、一定の率を支払いする仕組みです。

さらに、Amazonは物流システムにも初期の頃から積極的に投資し、迅速な配送を実現して顧客満足度を向上させました。Amazonはオンライン書店としての地位を確立し、その後は書籍以外のカテゴリとして家電などの幅を広げていくことになります。

■eBay
eBayも1995年に設立されました。設立者のピエール・オミダイア氏は、個人同士でオンラインによるオークション取引をするサイトを構築しました。ユーザーが商品を出品し、他のユーザーが入札することで取引が成立する仕組みです。

生活者は新品だけでなく、中古品なども手に入れることができるようになりました。

また、eBayは出品者と落札者が互いに評価する仕組みを導入。信頼性が問題となっていた当時のECの課題を解決しました。

eBayはその後、固定価格での販売も取り組み、ビジネスを拡大させていきます。

■PayPal
PayPalは1998年にピーター・ティール氏とイーロン・マスク氏により設立されました。PayPalは、ユーザーがPayPalに銀行口座やクレジットカードを紐付けることで、決済を容易に安全に実施できるプラットフォームです。

PayPalはeBayをはじめとするマーケットプレイスとの連携も進め、多くのユーザーがPayPalを利用するようになりました。

2002年にeBayはPayPalを15億ドルで買収しました。PayPalから、イーロン・マスク氏、ピーター・ティール氏をはじめ多くの実業家が輩出されました。テスラ、スペースX、FaceaBook、YouTube、LinkdIn、Yelpなどのサービスの誕生に繋がっていきます。

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1990年代後半は、海外で新たな機能やサービスを打ち出すEC事業者が続々と誕生しました。これに対し、日本ではどんなEC事業者がどんなサービスを全面に打ち出し始めたのか。次回は日本で注目を集めるEC事業者やサービスの動向に迫ります。


日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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