朝日新聞社は、ドリーム・アーツの業務プラットフォーム「SmartDB」をERPのフロント基盤として導入し、全社員約3,700名規模で利用を開始した。ERPが会計や給与など基幹業務を支える一方、SmartDBは申請・承認やワークフロー、データの見える化を担い、現場業務の利便性を高める役割を果たす。今回の全社展開は単なるIT導入にとどまらず、業務の標準化と現場主体の改善を両立させるDXの一環として位置づけられる。
業務基盤の刷新で「標準化」と「自律改善」を両立
SmartDB導入の背景には、紙やExcel、メールに依存していた従来の業務フローから脱却し、部門横断でのやり取りを効率化したいという狙いがある。新聞社は編集、広告、営業、人事、経理など多様な業務が日常的に交差し、処理遅延や情報分断が課題となっていた。ノーコード/ローコードで柔軟にフォームやワークフローを設計できるSmartDBは、こうした課題に即応でき、現場主導の改善を短期間で展開できる点が評価された。

全社規模での導入にあたっては、共通テンプレートの標準化と部門固有ニーズへの対応を両立させる設計がポイントとなった。ユーザー権限や承認フローの透明性確保、段階的なトライアル展開、運用センターによる問い合わせ対応や変更管理の体制整備など、ガバナンス面も重視している。
期待される効果は、申請・承認処理のスピードアップや人的ミス削減に加え、業務データを構造化して蓄積することで、経営層や現場管理者がリアルタイムに状況を把握できる点にある。意思決定の高速化や部門間連携の円滑化、ERPとの連携による後工程の修正削減も見込まれる。セキュリティやログ管理、データ整合性チェックを含むガバナンス設計も並行して進めることで、全社規模でも安定した運用を実現している。
今回の事例から他社が学べる教訓は明確だ。導入目的を経営と現場で共有すること、段階的に展開して現場の声を取り込むこと、既存システムとの連携設計を初期に固めること、運用体制と教育体系を整えること、そしてKPIで効果を可視化し改善を継続すること。こうした実務的アプローチは業種を問わず普遍的に活用できる。
朝日新聞社のSmartDB導入は、メディア業界の業務基盤近代化を象徴する事例だ。今後、蓄積されるデータと運用ノウハウはAI活用や新サービス設計にも活かされ、単なる効率化を超えて組織文化や働き方の変革へとつながっていくだろう。
詳しくは「株式会社ドリーム・アーツ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部