中国EVが「クルマ」の枠を超え、AI、ロボティクス、量子テックを飲み込む産業の中心に。BYDは販売台数でテスラを抜き、NIOはAIロボット工場で10日納車を実現。これは単なる移動革命ではなく、“次のGAFA”を目指す産業変革だ。アメリカが焦るその理由とは──?
EVから始まる“中国式イノベーション”の連鎖
「バッテリーを3分で交換」「650マイル走るEV」「デュアルHUDウィンドウ」──NIOが見せるのは、もはや“クルマ”ではなく“走るハイテク端末”です。
そのNIOが生産する安徽省の巨大工場は、350万通りのオプションに対応しながら、納車まで最短10日。940台のロボットとAIが連携し、人間は監視するだけ。
BYDも2025年1〜3月期で41万台超を販売し、テスラを抜いて2四半期連続で世界首位に。
背景にあるのは、中国政府による2309億ドル規模の補助金だけでなく、「先にやって、改良で勝つ」姿勢と、市場内の猛烈な競争です。2023年だけでEV関連企業5万社が淘汰された一方、生き残った企業は技術で世界をリードし始めています。
中国がEVで築いたこの基盤は、次なる産業へ拡張中。AI・半導体・ロボット・eVTOL(空飛ぶタクシー)など、共通のサプライチェーンと人材で連携し、経済圏ごと構築しようとしています。
ロボティクス分野ではすでに19万社が登録済み。2025年にはヒューマノイドロボットの量産が国家目標として掲げられ、EV産業と連動しながらスケールしています。
アメリカは規制強化で対抗しますが、それがむしろ中国の“内製志向”を促進する結果に。AIチップでも、NIOは自社設計品を導入し、NVIDIAへの依存を減らしています。
米国のシリコンバレーが「イノベーションの中心」だった時代は終わりつつあるのかもしれません。今、世界が注視しているのは、“イースト・シフト”──中国のEVを起点とした産業の大転換です。
詳しくは「NIO」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 海道