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人とアバターとの共創が社会課題を解決に導く【オムニチャネルDay2025レポート】


日本オムニチャネル協会が主催した「オムニチャネルDay」で、AVITA社長であり大阪大学教授の石黒浩氏が「アバターと未来社会」について講演しました。彼は、2000年から始めたヒューマンロボットインタラクションの研究を基に、未来のアバター技術の実用化とその可能性を強調しました。特に、教育や医療での活用法、ダイバーシティの促進、人間の能力を拡張するテクノロジーの可能性を熱く語りました。石黒氏はアバター技術が肉体的限界を超越し、多様性を取り払う手段として、今後の社会に大きな影響を与えると強調しました。

日本オムニチャネル協会は2025年2月28日、年次カンファレンス「オムニチャネルDay」を開催しました。ここではAVITA 代表取締役社長、大阪大学 教授の石黒浩氏が登壇した基調講演の内容を紹介。石黒氏は「アバターと未来社会」というテーマで講演し、アバターの可能性を聴衆に強く訴えました。

研究開発の歩みと未来への展望

石黒氏は、2000年頃から人間の意図に沿って動くロボットやCGキャラクターの研究開発に取り組み始め、ヒューマンロボットインタラクション分野の先駆者としての歩みを振り返りました。講演冒頭では、2025年4月に開幕する「大阪・関西万博」で展示されるパビリオンの開発エピソードを披露。約3年間にわたって企業、大学、研究者たちと議論を重ねながら、50年後の未来社会を「点字」に落とし込んだ展示が実現していることを紹介しました。なお、「大阪・関西万博」のパビリオンは、未来の働き方や生活様式を体感できるだけでなく、技術と人間性の融合がもたらす新たな可能性を具現化したものになっているといいます。

写真:基調講演に登壇したAVITA 代表取締役社長、大阪大学 教授 石黒浩氏

人型ロボットの現状についても言及します。ロボットの研究が本格化したのは2000年頃で、ホンダ「ASIMO」の登場とともに人間型ロボットの研究開発が世界各国で進んでいるといいます。さらに、自律型と遠隔操作型の境界が次第に曖昧になりつつある現代において、「いかにして『人の意図通りに動く』アバターを実現するかが最も重要なテーマである」(石黒氏)と述べました。「実は我々一人ひとりも、ある意味でアバターである」(石黒氏)と指摘し、人間同士の相互作用や社会関係の中で、アバターが果たす役割について哲学的な視点を交えながら考察しました。

アバター技術の実用化とその可能性

基調講演では、石黒氏が25年以上にわたる研究開発の中で培った知見と、実際の実証実験の事例に重きを置いて進行しました。特に以下のポイントを強調しました。

リモートワークと教育の革新

従来、教育現場では一斉授業が主流でしたが、アバター技術を活用することで、個々のペースに合わせたカスタマイズ授業が可能に。スマートフォンやパソコンを通じ、どこからでも質の高い教育を受ける仕組みの構築が進んでいます。また、医療分野においても、遠隔診療やアバターによる訪問診察の実現が期待され、従来の対面診察に代わる新たな形が提案されました。

実証実験による多様な活用事例

石黒氏は、これまでに幼稚園、学童、スーパー、保険市場、コンビニなど、幅広い分野での実証実験の成功事例を紹介。例えば、幼稚園では外部から来られなくなった紙芝居役をアバターが代替し、子どもたちに豊かなコミュニケーションの機会を提供。また、保険分野においては、アバターの方が自己開示しやすく、利用者が気軽に相談できる環境が整いつつあるといいます。

ダイバーシティとインクルージョンの実現

人間は肉体の特徴による差別や偏見が存在する中、アバターは身体的制約を取り払うツールとして大きな可能性を秘めています。国籍、肌の色、身体的特徴といった要素にとらわれない「本当の意味での共生社会」が、アバター技術の普及により実現される未来を、石黒氏は熱意を込めて語りました。

人間性の拡張とテクノロジーの融合

石黒氏は、テクノロジーがもたらす最も大きな変革として「人間の能力の拡張」を挙げています。大規模言語モデルを活用したAIによって、従来では考えられなかった柔軟なコミュニケーション能力や、記憶、評価機能を持つアバターの実現に成功。これにより、教育、接客、さらには医療や福祉の現場で、従来の人間の限界を超える働き方が可能になると説きました。

写真:アバター技術の最新動向を聞こうと、会場に多くの人が詰めかけた

さらに、自らが開発に取り組む第6世代のアバターの具体例を紹介。アバターは、単に機械的に動くだけでなく、AIが搭載されたカメラやセンサーを通じて人の感情や状況を認識し、的確に応答することが可能となっています。こうした技術の進化により、今後は自律的に働くロボットやAIが、従来のサービスを大きく変革し、より人間らしい接客やコミュニケーションが実現されると聴衆に訴えました。

写真:石黒氏は講演後、日本オムニチャネル協会の鈴木会長からの質問にも答えた

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日本オムニチャネル協会

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