犬の脂腺炎について 〜症状・原因・治療法を分かりやすく解説〜
犬の皮膚病の一つである脂腺炎は、比較的稀であるものの、特定の犬種に多く見られる皮膚疾患です。皮脂腺が炎症を起こし、最終的に破壊されることで、乾燥した皮膚や脱毛、フケなどの症状が現れます。
この記事では、脂腺炎の原因、症状、診断方法、治療法について、初心者でも分かりやすく解説します。
脂腺炎とは？
脂腺炎は、皮膚に存在するアブラの腺（皮脂腺）が炎症を起こし、破壊される疾患です。特に秋田犬やプードルなどの特定の犬種に多く見られますが、他の犬種にも発症することがあります。
脂腺炎は、原因が不明な特発性疾患であり、その正確な原因や発症メカニズムは完全には解明されていません。ただし、免疫系の異常や脂質代謝の問題など、いくつかの仮説が存在しています。
この病気は、若年から中年の犬に発症することが多く、特に雄犬に多い傾向があります。プードルでは62%、ハバニーズでは67%、スプリンガースパニエルでは68%が脂腺炎を発症しているとの研究結果もあります。脂腺炎は、過去には50種以上の犬種で発症が確認されています。
脂腺炎の症状
脂腺炎の症状は犬種や病気の進行具合によって異なりますが、一般的な症状は以下の通りです。
- 乾燥した皮膚とフケ
脂腺炎が始まると、皮膚が乾燥し、フケが大量に出るようになります。
- 脱毛
脂腺が破壊されると、毛根に十分な栄養が供給されなくなり、毛が抜けるようになります。特に顔や耳、首回りなどで脱毛が目立ちます。
- 炎症とかゆみ
炎症が進行すると、皮膚の赤みや、かゆみが生じることがあります。これにより、犬が自身の皮膚を足でかいたり舐めたりします。
- 二次感染（膿皮症）
脂腺炎に伴って二次感染（膿皮症）を発症することがあります。特に秋田犬では、膿皮症が重症化することが多いです。
脂腺炎の診断と治療
脂腺炎の診断は、主に皮膚生検によって行います。病理学的に脂腺の破壊が確認されることで確定します。さらに、他の皮膚病や二次感染との鑑別が必要で、免疫系や脂質代謝の異常が関与している可能性を考慮しながら血液検査などの結果も踏まえて診断を進めます。
脂腺炎の治療は、症状を管理し進行を抑えることが目標です。
- 免疫抑制薬：免疫系が脂腺を攻撃するのを抑えるためにシクロスポリンが使われます。
- ビタミンAやレチノイド：脂質代謝に関与しており、皮膚の健康を促進します。
- 皮膚ケア：乾燥やフケの軽減に、エッセンシャルオイルや保湿剤を使用します。
- 抗生物質や抗真菌薬（塗り薬飲み薬）：二次感染の治療に使います。
脂腺炎の予後と予防
脂腺炎は慢性疾患であり、完全に治癒することは難しいですが、適切な治療と管理により症状をコントロールすることが可能です。早期発見と治療が予後を大きく左右するため、皮膚に異常を感じた場合は早急に獣医師に相談することが重要です。
また、ストレスや環境の変化が脂腺炎を引き起こすことがあるため、犬の生活環境を安定させ、ストレスを減らすことも予防に繋がります。
まとめ
脂腺炎は犬の皮膚に影響を与える稀な疾患であり、特定の犬種に多く見られます。免疫反応や脂質代謝の異常が原因とされていますが、治療によって症状をコントロールすることは可能です。早期発見と適切な治療が鍵となり、犬の生活環境やストレス管理も予防に重要な役割を果たします。
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