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【現役獣医が解説】愛犬が太ってきたら、どうしたらいい?体重管理の仕方から適切なダイエット法まで


犬の体重管理は健康維持に欠かせない要素であり、日々の食事と定期的な体重チェックが重要です。適切な体重を保つためには、総合栄養食や相互栄養食を基にしたドッグフードを与え、適切な量を確認する習慣を持ちましょう。ダイエットが必要な場合は、現在の体重をもとにしたカロリー管理を見直し、目標体重に向け少しずつ調整します。また体重だけでなく、ボディコンディションスコア(BCS)を参考に体脂肪の状態も確認できます。肥満は関節や心臓に負担をかけ、その他疾患のリスクを高めるため、注意が必要です。健康的な体型を維持するためには、必ずかかりつけの動物病院のアドバイスを受け、その指導に基づき無理のない方法で体重管理を行うことが推奨されます。

体重管理はどのように行う?

体重計に乗るゴールデン

毎日動物病院に通院して動物病院の先生から体重のチェックをしてもらえたら理想的ですが、なかなか毎日通うというのは難しいですよね。

ではお家でどのように理想的な体重を維持したらよいのでしょうか。

ごはんの管理

一番大切なのは日々のカロリー管理です。と言っても、よほど得意で専門知識がない限り、飼い主さんが都度計算をするのは難しい可能性が高いです。

栄養バランスやカロリーの管理のしやすさのためにも、基本的には総合栄養食もしくは相互栄養食に準ずるドッグフードを主食に与えるよう心がけましょう。

与える際に、適当量かつ適当な回数では管理はできません。パッケージにある表記を必ず確認する習慣をつけてください。

おうちのわんちゃんの体格で与えるべき量が記載されていることが一般的です。

このときに注意が必要なのが、ダイエット中の場合、現在の体重に適する量を与え続けているとカロリーオーバーでダイエットにならない場合もあります。

もしおうちのわんちゃんに適切な量がわかりにくい場合は、かかりつけの動物病院の先生や、ペットショップのスタッフさんなどプロの方に確認してみましょう。

体重の管理

体重を定期的に測定することで摂取している熱量や食べ物の量などが適切かどうかを把握することが可能です。

数字だけで肥満かどうかを追っていくことは、その子の骨格や筋肉量なども関係することから難しいですが、ある程度の目安として、時系列で体重の変化を追っていくことはとても大切です。

年に一度の混合ワクチンや狂犬病予防接種などの予防シーズンに動物病院で計測することが多いと思いますが、それ以外で計測する機会があまりないわんちゃんもいるでしょう。

お家で人間の赤ちゃん用のスケールに乗ってもらって計測するスタイルや、飼い主さんが抱っこをして一緒に体重計に乗り、飼い主さんの体重分を引き算するスタイルでもわんちゃんの体重を計測することが可能です。

また、理想体重だけを求めることは難しい傾向があります。わんちゃんの骨格や筋肉のつき方などを診てもらったうえで、目標とする体重を目指すことが大切です。

お肉のつき方の管理

体重は目安となる数字としてわかりやすい部分もありますが、理想となる体重はそれぞれが異なり、飼い主さんが設定することは難しい傾向があります。

そこで、体重計を使わずにお肉のつき方でやせ気味か太り気味かを判断する指標としてボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれるものがあります。

背骨や肋骨の触れる程度、側面から見た際にくびれが確認できるかどうかなどが判断基準となり、5段階で評価されることが一般的です。

標準体型が3となり、肥満傾向になるほど数字は大きく、やせ気味になるほど数字は小さくなります。

この評価の方法であれば、ご家庭でもスキンシップの一環として確認をすることができるでしょう。

ぽっちゃりさんだとなぜいけない?

ぽっちゃりしたラブラドール

「ぽっちゃりさんだとみていてかわいい」「ほほえましいしぐさが多い」という声を聴くこともあり、お気持ちもわかります。

しかし、肥満は健康を害する要因となり、予防すべきとされています。ではどんなことがいけないのでしょうか。

関節への負担

まず、体重の増加によって、関節に負担がかかるようになります。

筋肉量などによって、どの程度の体重の増加によって関節への負担がかかり始めるかということは個体差があります。

骨格が華奢であり筋肉量が少ない子であれば軽度の体重増加であっても関節への負担がかかり問題につながる危険性もあるため注意が必要です。

小型犬であれば、先天的に持っていた膝関節の膝蓋骨亜脱臼(パテラ)や股関節のレッグペルテスと呼ばれる問題が悪化するなどのトラブルにつながる危険性が、大型犬であれば先天的に持っていた股関節の股関節形成不全の悪化などが見られる場合もあります。

これ以外にも股関節、膝関節だけでなく肩や肘、背骨の椎骨などの各関節に負荷がかかるため、痛みや違和感を感じることがあり、関節のトラブルに発展する恐れがあるでしょう。

肥満による疾患を引き起こすきっかけに

関節だけでなく、他にも疾患につながる危険性があります。

例えば、循環器トラブルがある場合、心臓への負担が肥満により増加し、状態が悪化する危険性があります。

他にも犬は少ないとされていますが、肥満による糖尿病に移行する危険性も考えられます。

致命的な疾患ではありませんが、肥満により皮膚のしわなどが増え、皮膚トラブルにつながる場合もあるため注意が必要です。

持病によって、肥満により気を付ける必要という注意が指示される場合もあるため、より体重管理に慎重にならなければならないケースも生じるでしょう。

運動性の低下

本来わんちゃんたちは野生で元気に活動していた動物たちで、優れた運動能力を持っている生き物です。

肥満になり体が重くなることで、運動性が低下することがあります。

運動が好きな子だけでなく、どんな子たちも本来持つ運動能力を活かせるよう、動きやすい体型を維持してあげることは大切です。

しかし、人間のように運動でやせようとすることはわんちゃんの体に負担をかけてしまうためおすすめできません。

運動をすることで筋肉を増やすことは可能ですが、まずは動きやすい体重になるまで食事管理で体重や体形を調整してあげることが大切です。

ちょっとぽっちゃりしているかな?と感じている飼い主さんも、急激な運動をわんちゃんにすすめるのではなく、まずはかかりつけの先生と現在の関節の状態や負担、運動の可否などについて相談することをおすすめします。

ダイエットの取り組み方

ドッグフード

おうちのわんちゃんがダイエットが必要とわかったら、どのように飼い主さんは一緒に頑張ればよいでしょうか。

飼い主さんのダイエットの方法とわんちゃんに適するダイエットの方法は少し異なるケースが多いです。

ごはん量を調節する

まずは与えているごはんの量の見直しをしてみましょう。

量について全く考えずに与えていたり、多すぎる量を与えていませんか?

欲しがる量を与えているというのも肥満の原因の一つになるケースが多いです。

食欲旺盛なわんちゃんの場合、食餌量を飼い主さんが管理してあげることはとても大切です。

多くのドッグフードが、パッケージやメーカーさんのサホームページに、体格に応じて熱量を計算したうえで、どの程度の量を与えるのが適切かということが表記されています。

おうちのわんちゃんの体重に適した量を与えるようにすることをおすすめします。

現在が少しぽっちゃり気味の子の場合、同じ量を与えていると一向にダイエットが成功しない場合も。その場合は目標体重の量に少しずつ近づけていくと良いでしょう。

どの程度の量を与えていいかわからない場合は、かかりつけの先生と体重をこまめに確認しながら調節していくと安心です。

ごはんの質を見直す

ごはんの量は適切であっても、ごはんの質がおうちのわんちゃんに合っていない場合もあります。

高カロリーのごはんを成長期や栄養が必要な時期を過ぎても与えていたり、脂質代謝が苦手な子が脂質の豊富なごはんを与えていたりなどの場合に肥満につながるケースが多いです。

一般的なフードであっても、その子の体質によって、太りやすさにつながってしまう場合もあります。適切なフードを見つけてあげましょう。

もし飼い主さん自身が選択することが難しそうであれば、かかりつけの先生やショップのスタッフさんなど専門的な知識を持っている方に相談してみることをおすすめします。

背景にある持病などがないか見直す

脂質の代謝が苦手などの場合、背景に疾患が隠れて居る場合もあります。

食欲の異常な亢進や脂質代謝の低下など、特に中高齢のわんちゃんの場合、内分泌疾患や脂質代謝の異常などによる太りやすさが起こる場合があります。

定期的な体重チェックに加え、健康診断を合わせて行うことで、疾患との関連などにも気付きやすくなります。

ごはんの見直しなどを行なってもなかなか痩せないなどの場合は、かかりつけの先生と疾患の可能性の有無などについても相談することをおすすめします。

健康的な体質に変えるための近道になる可能性が高いです。

まとめ

体重計に乗るダックス

ぽっちゃりさんの見た目の愛らしさなどに、少しずつ体重が増えてきていても目をつぶってしまいがちですが、肥満は様々なトラブルにもつながり得る重大な問題です。

おうちのわんちゃんが健康的に長生きしてもらうために、理想的な体型でいられるよう食事管理をしてあげましょう。

家庭で飼い主さんだけで管理をしようとすると難しい場合もあります。かかりつけの先生と定期的な体重測定も含め、おうちのわんちゃんの健康のために一緒に二人三脚で過ごしていけたらいいですね。


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