寝る前にくるくる回る犬たち…目が回ったりしないの?
愛犬が眠そうにベッドへと近づいていく姿を何気なく観察していた時、なぜか体を休める前にその場でくるくると何度も回る不思議な行動を目撃したことはありませんか。
「くるくる回らなくても、そのままベッドに入ればいいのに」と不思議に思う飼い主さんも多いでしょう。また、何度も回る姿を見て「目が回らないのかな?」と心配になる方もいるかもしれません。
犬も目を回すことはあるようですが、動体視力の良い犬たちは人間よりも目を回しにくく、ほんの数回くるくると回っただけでは目を回すことは滅多にないのだそうです。
犬が寝る前に『くるくる回る』心理3選
犬が寝る前にくるくる回っている姿に疑問を感じている方も多いでしょう。なぜ犬は寝る前にくるくると回ることがあるのでしょうか。
1.本能的に周囲の安全確認を行っている
現在、家で私たち人間と一緒に共存している犬たちも、元々は野生動物として屋外で生活していた歴史があります。野生動物としての本能は現在も遺伝的に受け継がれている部分が多く、当時の行動が垣間見れることも珍しくありません。
犬が寝る前にくるくる回る行動も野生時代の名残の1つだと唱える説があります。屋外で眠る時、周囲に自分達を襲う敵がいないかどうか、寝る前に周辺の安全を確認する目的で回っていたと考えられているのです。
その頃の本能的な行動が現在も遺伝的に受け継がれており、今でも寝る前は寝床でくるくると回ることがあるのではないか、という説です。
2.寝床を快適な状態へと整えている
犬が寝る前にくるくる回る心理として、最も濃厚な説が「寝床を整えている」という理由です。人間も敷布団のシーツやベッドシーツを手で整えることがあるように、犬も快適に眠れるように寝床の上をくるくる回ることで整えているのではないかと考えられています。
犬によって寝床の好みも異なりますが、例えば綺麗に平らな状態で横になりたい犬にとって、ブランケットがぐしゃぐしゃに置かれている場所は寝心地が悪いと感じるでしょう。
このような状況では、その場でくるくると回り、足を使ってブランケットを踏むことで寝る場所を整えたり、時には口を使って整えることもあります。
3.寝床に危険なものがないか確認している
こちらも野生動物としての本能が遺伝しているのでは、と考えられて唱えられている説です。寝床に危険な生き物やものがないか確認するために、足で寝床を踏んで安全確認しているという理由が考えられます。
例えば、寝床に木の枝が落ちていたら、木の枝が体に刺さって怪我をしたり寝心地の悪さを感じるでしょう。また、屋外では、危険な虫が寝床に潜んでいる可能性もあるので、くるくる回ってその場を踏み鳴らすことで、虫を逃がそうとしていたのではないかと考えられています。
この頃の習性が現在も受け継がれており、寝る前にくるくる回る行動が習慣化しているのではないかと言われているのです。
「犬が寝る前にくるくる回る」行動に関する実験も
実は、「犬が寝る前にくるくる回るのはなぜか」という疑問を持った心理学者のスタンレー・コレン博士によって、犬62匹とその飼い主さんに協力してもらう形で実験が行われたこともありました。
この実験は、「平らで寝心地の良い場所を犬が好み、自ら整えるのか」という仮説を実証する実験だったそうです。平らなラグと凹凸やシワのあるラグの2種類の環境を用意し、犬たちの反応を確かめたといいます。
すると、平らなラグで全体の19%しか犬たちがくるくる回らなかったのに対し、凹凸やシワのあるラグでは55%もの犬たちがくるくる回っていたのだそうです。
この実験結果から、犬たちは凹凸やシワのある場所は「寝心地が悪い」と感じ、自分にとって寝心地の良い状態へと整えるため、寝る前にくるくる回っているのではないかという説が立証されています。
まとめ
犬は私たちとは違う動物であり、異なる歴史を歩んできています。そのため、私たちが不思議に思う行動にも、犬たちなりの目的や理由が隠れていることが多くあるのでしょう。こうした犬の不思議な行動にまつわるユニークな研究が今後も進んでいくことを期待してしまいますね!
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