長野県でアマチュア画家として活動するモトジママサユキさん(以下、モトジマさん)が、作品の題材にしているのは「水」にかかわるもの。
波紋や水たまり、プールで泳ぐ人や金魚などを描いていく中で、近年はそれを発展させた「帰路につく」シリーズをライフワークにしています。
この日、自身のTwitterに作品「帰路につく -夕立-」を紹介したモトジマさん。
副題の通り、夕立が降ってきた時を油彩画で表現しているのですが、車のフロントガラス越しから見た景色として描かれています。
ちなみにこの構図は、「帰路につく」シリーズ全体で共通しているもの。しかし、作品それぞれにおいて「表情」は異なります。
例えば、作品「薄暮」では、流れ落ちる水滴を描くことで、雨脚の強さを伝えています。その際の空は、タイトル通りの薄暗さ。
一方、雨上がりを伝える「MyWay」では、日差しが描かれ、付着する水もわずか。薄暮と対照的に、明るいタッチで描かれています。
付着した水が「氷」になった「yellow&green」は、車を走らせる道路も雪化粧が施され、「冬」をイメージした作品に仕上げています。
見る側には、「水滴+フロントガラス」という一次情報を一貫して提供している「帰路につく」。そして本シリーズがとりわけ目を引くのが、いずれにおいても車内から撮影した写真と見紛うリアルさ。人によっては「日常」である光景を、見事なまでにアートへと昇華させています。
所属する洋画団体「春陽会」が開催する展示会では、2021年と22年の二年連続で奨励賞を受賞するなど、作品が高く評価されるモトジマさん。本シリーズのひとつ「みぞれ」では、生活の友社刊行「美術の窓」でも紹介されています。
<記事化協力>
モトジママサユキさん(@BkMoto)
(向山純平)