アニメ「ゴールデンカムイ」で注目を集める博物館 網走監獄。明治時代に建てられた舎房をはじめ、当時の建物を見学できるのが魅力ですが、冬の期間だけ楽しめる風物詩があります。
それが、独房を模して雪で作られた「雪の懲罰房」。今年もSNS映えするスポットとして、来場者の目を楽しませています。
明治時代から昭和の末まで、実際に旧網走刑務所として使用されていた舎房や庁舎をはじめ、数々の貴重な建物が揃う博物館 網走監獄。建物のうち8棟が国の重要文化財、6棟が登録有形文化財となっています。
最も古い建物や道路施設などは、囚人自身の手で建設されたという網走監獄。毎年冬の期間だけ現れる、特別な建物(?)が「雪の懲罰房」です。
デザインのモチーフになっているのは、登録有形文化財になっている「煉瓦造り独居房」。規則違反者を一時的に収容する「懲罰房」として使われていたそうで、脱獄を防ぐため窓がなく、煉瓦の壁は厚さ40cmもある丈夫な作りになっています。
話をうかがった博物館 網走監獄の菊池さんによると、毎年博物館友の会(監獄友の会)の有志が、庁舎横の広場に作っているとのこと。今年の場合は、5名が7時間かけて作業を進めたそうです。
作り方は、さっぽろ雪まつりの雪像などと同じ方式。まず下準備として作る場所に木枠を設置し、中に雪を詰めて1週間ぐらい経過させ雪が硬く締まってから、木枠を撤去して掘り始めるといいます。
壁は強度を確保する意味もあって、モチーフになった独居房同様、分厚くなっています。中に入ってみると、収容された囚人の気持ちもよく理解できそう。
また、天井部分は崩落・生き埋めの事故を避けるため、あらかじめ中心部が円形にくり抜かれているのもポイント。万一の事態に備えていると同時に、長期間楽しんでもらえるような配慮がなされています。
正面には鉄柵が設置されて通れませんが、横に設けられた入り口から中に入ってみることができます。中に入って撮影を楽しみ、SNSに投稿する人も多いんだそうですよ。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、さっぽろ雪まつりは中止となって雪像も壊されてしまいましたが、博物館 網走監獄の「雪の懲罰房」は健在。訪れる際は、感染に気をつけ万全の対策をした上で楽しみたいものですね。
<記事化協力>
博物館 網走監獄(@kangoku_prison)
(咲村珠樹)