「見るだけで時間が溶ける時計を開発中です。coming soon」と、BBコリーさんがTwitterで紹介したのは不思議な動きをする時計。いかにも手作りらしい外観とはちぐはぐに、動くタイミングはとても規則的。でもどこがどう動いて1つの文字になるのか……順次刻まれる時の動きに引き込まれてしまいます。
「時間が溶ける時計」とはどうやら、動きに目が離せなくなり「時を忘れてしまう時計」ということのよう。
公開された動画は時間にして約40秒。冒頭から32、33、34、35.……とアラビア数字で時が刻まれていきます。
そして59まで時は進み、まさに分が変わるその瞬間に、それまで赤く表示されたアラビア数字が緑に“変色”。「02」「52」と表示されました。撮影時刻は2時52分のようですね。
そして再び時刻表示は赤に。「タイムロス分」を自動換算しているようで、05、06、07.……と再び刻まれていきました。
■ 「なるべく多くの人に時間を忘れて楽しんでもらいたい」という願いから生まれた
時計の作者であるBBコリーさんは、会社員の傍らアマチュア立体作家として活動しています。紙工作・電子工作・さらに両者を掛け合わせた工作品を作り上げ、「本物そっくりの紙製ミキサー車」「実際の音のなる手のひらサイズ電子ドラム」などの作品群は都度自身のSNSで発表。
その活動の一つとして、今回作られたのが「時間を溶かす時計」というコンセプトの時計アート。
「元々『Maker Faire Tokyo 2021(2021年10月2日3日開催予定)』のイベント展示作品として作り始めたものなんです。これは、様々な発明品を一挙展示するイベントで、来場者の方々に、『なるべく多くの人に時間を忘れて楽しんでもらいたい』という想いから作り上げました」
そんな「時間を溶かす時計」最大のこだわりは、筆者も思わず目を奪われた色違いで時分を現す動き。しかし同時に、もっとも苦労した点でもあるようです。
「今回動きの制御に『MSStack』という小さいコンピュータを使っているんですが、これを使って『14個あるモーターを同時に動かす』ということを初めて試みたんです。ただ、テストで動かすたびに、モーターがブルブル振動したり、あらぬ方向で動いたり……で、プログラムに落とし込むまでに苦戦しましたね」
今回BBコリーさんが投稿した動画の冒頭では、動きを制御しているシーンも紹介されています。
また、先述の時計部分の時刻表示に関しても、時計からはみ出た円形の「表示板」が、時に合わせてまるで滑車のごとく滑らかに作動しています。
一見すると、摩訶不思議な紙工作時計の動きですが、それを下支えしているのはモーター制御による電子工作。今回の「時間が溶ける時計」はまさに、BBコリーさんが持つスキルの結晶ともいえそうです。
なお、BBコリーさんは、Twitter以外にInstagramやTikTokアカウントでも作品を公開しています。また、コロナ以前から様々な展示会に出展しており、今後の予定は決まり次第Twitterはじめ各種SNSなどで告知されます。もしいつか展示会で見かけることがあれば、しっかり「時間を溶かされて」みてください。
<記事化協力>
BBコリーさん(Twitter/Instagram/TikTok:@BitBlt_Korry)
(向山純平)