1.猫が落ち着ける「基地」がある

猫の生活は、すべてがテリトリーを中心に一日が展開されていきます。そのためには、ここにいれば安心と感じられる「基地」のような場所が必要です。
もともとイエネコの祖先は、外敵から身を守るために木のうろや茂みの中など、外から目立たず、なおかつ自分からは外界がわかるような場所に身をひそめて休んでいました。そのため現在の猫も、疲れたときや不安になったときには、自分だけの「基地」にこもってコッソリと休みたくなるのです。
この「基地」は、家具の下など完全に人の手を離れて、ひとりでこもってしまうような場所は好ましくありません。たとえ、猫がその場を気に入っていたとしても、あまりにも孤立した場所は、飼い主との関係が希薄になりやすくなってしまうからです。
人の動線を避けた静かな場所に、市販の猫用ドームベッドやきれいな箱を置いてあげましょう。ただし、猫が過ごす主要な場所なので、浴室の近くなど湿気の多い場所は避けたほうが良いでしょう。皮膚トラブルの原因になりやすいためです。
2.上下の移動ができる構造

猫の運動欲求と本能的ななわばり意識に対応した「立体的な場所」は猫の居心地のよさにとても影響しています。
もともと祖先が木の上で暮らしていた猫にとっては、面積としての広さよりも、上下に移動できる場所がある方が身体機能や習性にあっているためです。たとえ、6畳1間でも工夫次第で猫は快適に過ごせます。
キャットウォークは最適ですが、段差がある棚をいくつか並べて使えば、飼い主の生活に必要な収納を共有しつつ猫の必要性も満たすことができます。転倒防止をするなら、カラーボックスなどでもいいでしょう。
猫は高いところを好むので、棚の上などにも居場所を作ってあげることも必要です。冷蔵庫などに上りがちですが、滑りやすい上に抜け毛やホコリが入るなど問題があります。その点、キャットタワーは最適です。高齢猫でなければ、できるだけ部屋の中や外の景色が見渡せる高さにすると、猫も満足できるでしょう。
3.日当たりと見晴らしの良い窓辺がある

不思議なことに、猫はひまわりの花のように、太陽の動きに合わせて部屋の中を移動しながら生活します。なかでも、見晴らしがよく、あたたかい日差しが差し込む窓がある部屋は、猫が快適に過ごすうえで欠かせない条件です。
実は、太陽の光には、猫の体をあたためるだけでなく、皮膚の新陳代謝を整えたり、体内時計を調節したりするはたらきがあるといわれています。猫がひなたぼっこをしながらゆったりと毛づくろいしている姿は、見ている飼い主さんにとっても心が和むもの。
窓から外の景色が広く見渡せると、さらに理想的です。猫にとって、鳥が飛んでいたり、人が歩いていたり、風で木がゆれたりする様子は、ちょうど人がテレビを見て楽しんでいるような感覚です。猫が安心して座れるように、窓のそばに台やクッションを置いてあげましょう。
外の景色が見えるだけでも、家の中での暮らしにちょっとした刺激が加わり、猫の精神的な居心地のよさにも効果があるのです。
まとめ

猫が暮らしに求めるものは、安心して過ごせる居心地の良い場所であるかどうかです。私たちが気づかないうちに、猫は部屋の片隅で小さな不満を抱えているかもしれません。
テリトリーを持つ猫のために、おうちの中でも愛猫用の「基地」を持たせてあげましょう。自分だけのスペースは、強い安心感につながるからです。また、上下運動には、家具などを利用して縦の移動ができる空間を確保しましょう。日の当たる窓辺は、猫にとって最高の場所なので、近くにキャットタワーを置いてあげるとお気に入りの場所になるはずです。
猫の快適さは、小さな工夫でグッと増します。今まで「これで十分」と思っていた愛猫との関係も、環境の変化を通じて新たな一面に気づけるかもしれませんね。猫の生活空間を整える工夫を、愛猫と一緒に楽しんでみてください。
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