今日も愛猫はペロペロと自分を毛づくろい。何気なく見ていたら、ひょいと前足をあげた途端、お腹の部分に丸くハゲが!これってなぜ?どうしてなの?
猫が自分の体の1部分を繰り返しなめ過ぎると、その部分の毛が薄くなってしまう「なめ過ぎ脱毛」になることがあります。
このなめ過ぎ脱毛は猫のストレスサイン。早期対策が必要です。なぜ猫は一部分だけ執拗になめてしまうのか?その理由と対策方法を調べてみました。
■どうしてなめるの?
人間も、イライラすると無意識に貧乏ゆすりをすることがありますよね。どんな動物も、ストレスを感じると、「同じ行動を頻繁にする」ようになります。
これは専門用語で「常同行動」と呼ばれる行為。動物園の檻の中で、ライオンがグルグルとまわり続けるのも、猫が同じ箇所をいつまでもなめるのもこの「常同行動」。原因はストレスです。
体がハゲる場所や範囲は、猫によって違います。一般的に多いのはなめやすいお腹ですが、腰、背中、足と複数箇所ハゲるほどなめることもあります。
また、毛をなめるのではなく、毛をむしる猫もいます。その場合、ハゲよりも気づきにくいのですが、全体的に切れ毛が増えてバサバサした感じになりますのでよく観察してみてください。
■猫がストレスを感じるのはどんなとき?
猫がストレスを感じるのは、多くは「環境が変わったとき」です。飼い主さんに新しい家族が同居することになった、引っ越した、模様替えした、飼い主さんがピアノを習い始め、その音がうるさいという理由から「なめ過ぎ脱毛」になったという猫もいます。
特に一番ストレスを感じるのは
・引越し
・他の動物を迎えた
という2つでしょう。赤ちゃんが生まれた、新しく犬も飼い始めた、という場合は愛猫の様子をよく観察して、たっぷりとスキンシップをとってあげることが大切です。
*事例1
「母と同居して7年。猫のルナは私よりもとりわけ母に懐いていました。しかし昨年、母が脳梗塞を患い、長期入院することに。
するとルナの様子に変化が起こりました。母を探して鳴きながら家中を歩き回り、夜中もバタバタと落ち着きません。
そのうち食欲も減り、気がついたら後ろ足の腿あたりが肌がはっきり露出するほど毛が薄くなってしまったのです。
幸い母が退院し、元の生活に戻るとルナの態度も落ち着き、気がつくとハゲた部分にも毛が生えてきていました。」
*事例2
「保護猫活動している友人から、1ヶ月だけお願い!と言われて子猫2匹を預かることになりました。
先住猫のモモは7歳ですが、ビビリで警戒心の強い猫。やんちゃでいたずら盛りの子猫と仲良くしようとせず、気がつくとどこかへ隠れてしまいます。
1ヶ月して2匹の子猫は無事に友人宅に帰りましたが、ふと気がつくとモモのお腹に直径5センチ程度のハゲが見つかりました。」
以上、愛猫のストレス脱毛を経験した飼い主さんからのお話です。本当に猫は「環境の変化」が苦手なようですね。
■猫の「なめ過ぎ脱毛」の対策方法
猫の「なめ過ぎ脱毛」。飼い主さんが発見したら、まずすることは「他の病気の可能性」を疑うことです。まずは動物病院で相談してみてください。
ノミやマダニに感染していたり、真菌感染したりすると体の1部がハゲることがあります。愛猫の健康状態を自己判断で「ストレス」と決めつけるのは危険です。まずは受診した方が安心です。
ストレスの原因を探り、解消する方法として、
・引越しによるストレス:前の家で使っていた慣れ親しんだ猫グッズを引き続き使用する。
・赤ちゃんが生まれた:猫の隠れ家になる専用スペースを作ってあげる
・新しい動物を迎えた:お互いの縄張りスペースを作り、無理に一緒の空間にいさせない
などの対策方法を試してみると良いでしょう。
■最後に
猫の病気。そのほとんどは「ストレス」が原因の場合が多いという意見もあります。猫の「なめ過ぎ脱毛」、原因がわからない、症状が改善しない、または悪化した場合は要注意です。
たかがハゲ、と思うなかれ。猫のストレスは他の病気の要因になることもあるので、動物病院で薬物治療になることもあります。
全然改善しない場合は「獣医動物行動研究会」というサイトで国内の専門機関を紹介しています。猫の行動治療の専門家に相談するのも良いでしょう。病気じゃないから、と放置せず、何らかの対策を考えてあげてくださいね。