どんな猫も、100%やるしぐさ。それは物でも人でも食べ物でも、必ず鼻を近づけて「クンクン」すること。
猫カフェで猫と仲良くする方法の1つに、「人差指を出して猫に匂いを嗅がせると良い。」という方法がありますが、これはマストな方法でしょう。子猫も大人猫も、野良猫も室内飼い猫も、すべての猫は「クンクン」します。
でもこれって一体どうして?その理由について詳しく調べてみました。
■猫が人を「クンクン」する理由とは
まず猫が大好きなのが「人差し指」。毎回愛猫カイトも私が人差し指を差し出すと必ずクンクンと顔を近づけます。これはなぜなのでしょうか?
哺乳類動物学者、今泉忠明先生によると、この行為は
「飼い主さんを確認しながら、挨拶をしている気分では?」
と語っています。猫は警戒心の強い動物。毎回匂いを嗅ぐのは、挨拶の意味を含め、
「これは大好きな飼い主さんの匂いだニャ。」
と匂いで相手を確認しているからだそうです。その後すぐにどこかへ行ってしまうのは、確認したことで安心したからだとか。なるほど、納得できますよね。
■猫が物を「クンクン」する理由とは
「我が家のミミは、帰宅後のみ、夫のカバンの匂いを嗅いでスリスリします。」
猫が物の匂いを嗅いだとき。かなり高い確率で頭や体をスリスリと擦り付けることがあります。この理由は一体どうしてなのでしょうか?
今泉先生は、猫が物を「クンクン」する理由について、2つの理由を取り上げています。まず上記のように、家族が帰宅後、その人や荷物をクンクンする理由とは、
「外の知らない匂いに対して、自分の匂いをつけて上書きしている。」
のだそうです。猫が自分の匂いを擦り付けるのは、「これはオレ様のもの!」という縄張りを表す所有欲か、「知らない匂いは不安だから、消してしまおう!」という不安からくる行為なのだとか。
そしてもうひとつ、「自分の知らない物にクンクンする」場合は、猫は視覚が弱い分、嗅覚をつかって相手から情報を得ようとするからだと言われています。
昔暗闇の中で、視覚に頼れずに行動していた猫は、その優れた嗅覚を使って、クンクンと匂いを嗅ぎ、物や人を判断していたそうです。
■猫が食べ物を「クンクン」する理由
これはわかりますよね。人間だって匂いを嗅いで、その食べ物が「美味しい」か「まずいか」を判断しています。
猫にとって、食べ物の匂いでクンクンしたくなるのは、たんぱく質や脂質の匂いだそうです。
「ウチの猫はショートケーキを買ってくるとしきりにクンクンして困ってます。」
という場合、それはケーキに含まれている乳脂肪の匂いに反応しているのでしょう。猫は肉や魚、牛乳や乳製品の匂いが大好き。逆に苦手な匂いは酸っぱいもの系。オレンジやレモン、香水やスプレーなどの刺激臭はちょっと近づいただけでさっと逃げてしまいます。
■猫が動物を「クンクン」する理由
猫は他の動物と仲良くなるとき、必ず顔やお尻の匂いをクンクンしようとします。猫同士の場合は鼻と鼻を近づけてキスするような仕草もしますよね。
これは匂いというよりも相手のフェロモンを嗅ごうとしている行為。猫は鼻で吸い込んだ匂いに「フェロモンが入っているかも」と感じると、口を開けて上アゴの鋤鼻器と呼ばれる部分に匂いを取り込み、確認しようとします。これがいわゆる「フレーメン反応」と言われる行為。
男性の足の匂いや脇の匂いも猫は口を半開きにして匂いを嗅ぎます。この顔、なんとも言えないですよね。。。
■猫同士で匂いを嗅ぐときのルール
猫はとても平和主義。猫同士の場合、匂いを嗅ぎ合うのはいわば自己紹介のようなものです。そして優位な猫が相手の匂いを最初に嗅ぐのがルールです。まずは新参者(立場が弱い猫)は尻尾をピンと立ててお尻の匂いを嗅がせます。
このルールに違反して、新参者のほうが先住猫や有意な立場の猫の匂いを先に嗅ごうとすると容赦ない猫パンチが。猫同士が喧嘩する原因は、このクンクンが理由となることもあるようです。
■最後に
いかがですか。意外と奥が深い猫が「クンクン」する理由。猫の嗅覚は人の6倍もあると言われています。そして猫の鼻がいつも濡れているのは、匂いをより嗅ぎやすくしようとするから。ちなみに猫に鼻毛はありません。そして猫の鼻の模様は猫それぞれ違います。
人間の指紋に匹敵するのが実は猫の鼻紋です。知っていましたか?