我が家の猫は一度もお風呂に入ったことはありません。それなのに、全然臭くありません。いつも体から「お日様に干した布団」のような香ばしい香りがします。
それは一体どうして? 実は不思議な猫の雑学。思い浮かべると結構猫について知らないことがたくさんありますよね。。。
今回は、そんな中から、「猫はどうして虫歯にならないのか?」について調べてみました。
■猫が虫歯にならない2つの理由
歯を磨かないのに虫歯にならない猫。これには理由が2つあります。それは、
・唾液の性状
・歯の形態
犬も猫も人も、歯の表面の琺瑯質がPH5.5以下の「酸性」になると溶け出して虫歯になります。
何も食べない状態の時、人間の口の中の唾液はPH6.8でほぼ中性です。しかし甘いものを食べると、砂糖の働きでPH5.0くらいの酸ができます。これが「甘いものを食べると虫歯になる」と言われる理由です。
そして犬や猫の唾液は通常PHが8.3程度のアルカリ性。たとえ甘いお砂糖をたっぷり使ったお菓子を与えても中和してしまいます。虫歯になるまでには至らないのです。
そしてもう1つ、猫の口の中を覗いてみてください。猫の歯は隙間だらけ。そしてほぼ全ての歯が三角に尖っていますよね。
猫の歯の数はおよそ30本。犬が42本ですから犬よりもずっと少なめです。こういう隙間だらけで三角の尖った歯の形態では、まず食べ物を食べたときに食べ物のカスが挟まることがありません。猫は歯の形態自体からして虫歯になりにくい構造をしているのです。
■虫歯よりも怖い猫の歯の病気
法歯学者中野愛彦氏の著書、「ねこが虫歯にならないわけ」(5月書房)によると、猫の虫歯は本当にレアで、ある研究者は猫の虫歯作りに明け暮れているそうです。しかし今のところ猫の虫歯は皆無。学会で発表しても否決されてしまうそうです。
しかしいくら虫歯にならない猫でも、口の中は全て安全というわけではありません。猫には猫特有の「吸収病巣」と言われる病気があるそうです。
人間でも歯茎の周りは汚れや歯石がつきますが、人間の歯周病の場合は歯を支えている周囲の組織の方の汚れが原因で炎症が起こります。
しかし猫の場合は歯茎についた歯石が原因となって歯をどんどん溶解してしまうのです。おそらく猫の歯石の中には、歯を溶かす成分が含まれているのでしょう。
この歯石が溜まると、猫も痛いのか食欲がなくなったり不機嫌になります。このような場合は動物病院では猫を全身麻酔して歯を抜歯することもあるそうです。
猫にはやはり歯磨きが必要だと言えそうでね。
■犬よりも怖い猫の歯の力
猫の噛む力は犬よりもはるかに強力です。猫の犬歯の歯根には硬さを感じる鋭い感覚細胞があり、これで獲物の急所(柔らかくて噛みやすい場所)を素早く捉えることができるのだとか。
猫の顔が丸いのも噛む筋肉が左右に張り出しているからだそうです。猫の歯の役目は食べ物を細かくしてすり潰すのではなく、飲み込むのに必要な大きさにカットするだけ。
まるでハサミのように交差している裂肉歯を使って上手に獲物を噛みちぎります。よく猫がフードを食べるときに頭を傾げたりするのは、うまくこの裂肉歯に物を挟み込もうと努力しているからなのだとか。
猫の歯は顎の骨から直に植わっているのではなく、歯根は歯根膜という薄い膜で包まれています。この膜がクッションとなって硬い、柔らかいという識別が瞬時にできると言われています。
犬よりも怖い猫の歯の力。噛まれないように注意してくださいね。
■最後に
のんびり昼寝する猫。その平和な姿からは想像できないほど、猫は野生の力を残している動物です。猫がいま現在でも野良猫として野外で生きていけるのは、本来の野生の力を忘れていないからでしょう。
完全室内飼いで、いくら美味しいフードを用意しても、目の前に生きたご馳走(虫や鳥など)がいたら、絶対にそちらに飛びつくのが猫という生き物。
ちなみに冒頭の「猫がお風呂に入らなくても臭くない理由」の答えは、猫は体に汗腺がないから。猫が汗をかくのは肉球のみ。体からダラダラと汗をかく訳ではないのです。(余談ですが、体からダラダラ汗を描く動物は人間と馬ぐらいだそうです。)
一緒に暮らしていても、知らないことが多い猫の不思議。これからもどんどん調べていこうと思います。