1994年からずっと調査を続けている一般社団法人ペットフード協会によると、2017年に日本で飼育されている猫の数は953万匹(前年比2.3%アップ)。そして犬は前年度よりも4.7%ダウンの892万匹でした。
2017年は、初めて猫の飼育数が犬の飼育数を上回った年。CM効果で犬のチワワが大ブームになった2004年以降、猫は個人ブログやYouTubeなどでじわじわ人気を伸ばし、10年後の2014年には空前の猫ブーム。そしてその人気は今年も衰えることはありません。
最近の日本のペット事情を調べてみると、2017年、犬と猫の飼育数はトータルで1845万匹。この数字は、15歳未満の日本の子供の数1571万人を大きく引き離して増えています。
日本で暮らす猫は犬より、もしかして「人間の子供」よりも愛される存在かも?今回は「猫が愛されるリアルな理由」を考えてみました。
■猫が愛されるリアルな理由①「ブリーダーが減少している」
日本の猫の飼育数は2.3%アップと増えていますが、ここ数年の間はほぼ横ばい状態です。しかし犬の場合は2017年は4.7%ダウンとここ数年減少傾向にあります。
この理由について、一般社団法人ペットフード協会の会長、石山氏は2005年、2012年と2度の動物愛護法の改正によって悪質なブリーダーが規制されるようになったことと関係しているのではないか、と語っています。
ブリーダーが減少するのは犬も猫も一緒だと思いますが、なぜ猫の飼育数に影響が出ないかといえば、猫の入手先は「路上での出会い」が多いから。
日本で飼育されている犬は85.4%が純血犬なのに対し、純血猫は17.2%と少なめ。猫はブリーダーを通じて入手する飼い主がかなり少ないことが影響していると考えられています。
■猫が愛されるリアルな理由②「猫は飼育するのがラク」
何と言っても猫は「散歩」しなくて良い、そして「狭い環境」でも一緒に暮らせるのが猫の魅力。そして猫は高齢者や少人数世帯でも飼うのが容易い、というのも大きな特徴の1つでしょう。
また日本の家屋事情では、犬よりも猫の方が適しているのも猫が愛される理由の1つだと思われます。
狭い場所でも、天井近い部分にキャットウォークやキャットタワーさえ設置すれば、猫が満足する環境を作ることができます。
昔から単独のハンターだった猫は、飼い主がいなくても生きていけるワイルドな性格を隠し持っていて、飼い主に媚びなくても生きていけるところも魅力ですよね。
まあ、いざ、となった時に飼い主を見捨ててとっとと逃げるのはおそらく犬よりも猫。習性かも知れませんが……。
■猫が愛されるリアルな理由③「猫は犬よりお金がかからない」
身も蓋もない話ですが、ペットを飼うにもお金がかかります。ペットにかかる年間支出、いったいいくらかかるのでしょうか。
2017年、犬と猫のペットにかかる年間支出の平均は、
・フード、おやつ代:犬は4万9994円、猫は4万1503円
・ペットサロン:犬は4万5718円、猫は7132円
・ワクチンなど病院代:犬は2万4862円、猫は8638円
・日用品:犬は1万6323円、猫は1万6024円
・ドッグランなどの施設費:犬は9706円、猫は0円
となっています。(一般社団法人ペットフード協会、アニコム損保、総務省統計局などの資料より作成)
全てにおいて犬よりもお金がかからない猫。これも猫が愛されるリアルな理由と言えるかも知れません。
■猫が愛されるリアルな理由④猫は健康に良い?
東京農業大学農学部バイオセラピー学科教授、太田光明氏が猫を飼っているエイズ患者の方が延命効果が高いことに注目し、研究した結果、猫の「ニャー」という鳴き声を聞くだけで人の脳の血流が上がり、猫の「ゴロゴロ」音を聞くと下がることがわかったそうです。
脳の血流が活性化すれば、認知症などの病気予防になります。また、これはまだ研究途中ですが、猫のゴロゴロ音を聞くだけでリラックス効果や病気の治癒を早める可能性があると言われています。
猫と一緒に暮らすだけで、心だけでなく体も健康になる、これは猫を飼っている方なら思わず頷いてしまうはずです。
■最後に
いかがですか。猫が現代の日本でこんなに愛される理由。猫は日本に限らず世界中で人気がありますが、まだまだ日本は猫の殺処分が0にならない国です。
そして日本は公共施設でペットを同伴できない、賃貸物件に「ペット不可物件」が多いなど、ペットに優しくない先進国。もっと猫が愛される国になって欲しいですね。