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アルコールをやめると体に何が起こる?「1日目から1年後」まで解説


「ちょっと飲みすぎたかな」と思いながら迎える二日酔いの朝。

頭がズキズキし、胃も重く、前夜の記憶もあやふや。

そんな経験は、多くの人にとって思い当たる節があるはずです。

ではもしアルコールをやめたら、私たちの体と心にはどんな変化が起きるのでしょうか?

実はたった1日お酒を控えるだけでも、私たちの体は静かに、しかし確実に変わり始めます。

そしてその変化は1週間、1カ月、半年、1年…と時間が経つごとに加速度的に大きくなるのです。

今回は科学的な研究に基づいた「禁酒後のタイムライン」をもとに、アルコールをやめた後の体と心の変化を段階ごとに紹介します。

 

目次

  • 禁酒1日目から1カ月目までに起こること
  • 半年後、そして1年を超えるとどうなる?

禁酒1日目から1カ月目までに起こること

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Credit: canva

たった1日で、体は変わりはじめる

アルコールは体内で約24時間かけて代謝されます。つまり、たった1日お酒を断つだけで、体はすでに回復の道を歩み始めるのです。

まずアルコールの利尿作用によって起きていた脱水が改善されます。

体は水分を取り戻し、これにより脳の働き、消化、エネルギーレベルが向上します。

また、アルコールは肝臓の血糖調節機能を低下させるため、飲酒をやめることで血糖値も安定します。

ただし、毎日飲んでいた人は最初に体調の揺り戻しを感じるかもしれません。

睡眠の乱れ、気分の波、発汗、手の震えなどの軽い離脱症状が出ることもありますが、ほとんどは1週間以内におさまります。

1週間後、眠りの質が劇的に変わる

アルコールは一見、眠気を誘うように見えますが、実際には睡眠の質を大きく損ないます。

しかし、お酒をやめてから1週間もすると、多くの人が朝の目覚めのスッキリ感に驚くことでしょう。

これは深い睡眠がとれるようになるからです。

同時に、肝臓も再生を始めます。

軽度なダメージなら、1週間で肝臓の脂肪が減少し、組織の修復が始まります。

さらに、わずかな飲酒でも脳の働きを鈍らせることがあるため、禁酒によって集中力や記憶力が改善される人もいます。

1カ月後、心と体が軽くなる

1カ月経つころには、心の健康にも明確な変化が現れます。

アルコールは不安や抑うつの症状を悪化させることがありましたが、多くの人が「気分が前向きになった」と感じるようになります。

重度の依存者でさえ、1〜2カ月で明らかな改善を報告しています。

この時期には体重や体脂肪が減る人も多く、肌の調子も良くなります。

アルコールによる炎症や脱水が収まることで、顔色が明るくなり、肌にハリが戻るのです。

胃腸の不調——たとえば胃もたれ、下痢、膨満感、胸焼けなど——も、この頃にはかなり改善されるでしょう。

さらに血圧は平均して6%低下し、インスリン抵抗性(糖尿病のリスク要因)も25%改善されるというデータもあります。

がんのリスクを高める成長因子も減少するため、1カ月の禁酒が病気予防に直結することがわかっています。

半年後、そして1年を超えるとどうなる?

6カ月後、肝臓が生まれ変わる

禁酒から半年も経つと、肝臓の修復はさらに進みます。

中程度の飲酒者であれば、この時点で肝臓のダメージはほぼ完全に回復している可能性があります。

重度の飲酒者でも、感染症への抵抗力が高まり、体調全体が改善されたと感じる人が多くなります。

免疫系、代謝、消化機能、そしてホルモンバランスに至るまで、全身の働きが正常化していくのです。

1年後、未来の病気リスクが下がる

1年、あるいはそれ以上禁酒を続けると、慢性疾患のリスクそのものが大きく下がります。

アルコールは心臓病、脳卒中、2型糖尿病、そして7種類以上のがんと関連があるとされています。

その中には乳がんや大腸がんなど、特に女性や中高年に多いがんも含まれています。

また、高血圧は世界で最も致死率が高いリスク要因とされており、アルコールはこれを確実に悪化させます。

正常値よりわずか2mmHg血圧が上がるだけでも、脳卒中による死亡リスクは10%、心臓疾患では7%も上昇します。

そのため、たとえ完全に断酒しなくても、「1日2杯未満」に抑えるだけで、高血圧やその合併症(腎臓病、眼の病気、勃起不全など)のリスクを大きく下げることができます。

ある研究では、400万人以上の成人を対象に3〜7年追跡したところ、軽度の飲酒者が禁酒しただけで、アルコール関連のがんリスクが4%減少しました。

重度の飲酒者が中程度に減らしただけでも、リスクは9%も低下したのです。

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Credit: canva

「とりあえず1週間だけ禁酒してみよう」そんな小さな一歩が、体の中で驚くべき変化を起こし始めます。

毎日のようにお酒を多く飲む習慣がある人にとって、断酒や減酒は大きなチャレンジかもしれません。

しかし少しずつでも飲酒の頻度や量を減らしていけば、そのたびに体は確実に応えてくれます。

変化を継続するためには、目標を立て、小さな達成を意識し、アプリなどで記録しながら、周囲の支援を受けることが効果的です。

今すぐに禁酒しなくても、飲まない日を増やすだけでも、未来の自分の健康は確実に守られていくのです。

1日お酒をやめることが、10年後の健康を守る第一歩になるかもしれません。

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参考文献

This Is What Happens to Your Body When You Stop Drinking Alcohol
https://www.sciencealert.com/this-is-what-happens-to-your-body-when-you-stop-drinking-alcohol

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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