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10代若者は運転中の21%を「スマホを見ること」に費やしている


運転中、ついスマホをチェックしたいという誘惑にかられることがあるでしょう。

しかしこれは非常に危険なことです。

実際、運転中にスマートフォンに気を取られる「ながら運転(わき見運転)」は、運転者自身だけでなく周囲の命をも脅かす行為です。

そんな中、アメリカのハーバード大学医学部の教育病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)の研究者たちが、10代の若者がどれほどスマホを使いながら運転しているのかを調査し、驚くべき結果を発表しました。

なんと10代の若者は運転中の21%もの時間をスマホを見ることに費やしていたのです。

研究成果は、2025年7月2日付の『Traffic Injury Prevention』誌にオンライン掲載されました。

目次

  • 物心ついたときからスマホがある10代若者の「ながら運転」傾向を調査
  • 10代の若者は運転中の21.1%をスマホ注視に費やすと判明

物心ついたときからスマホがある10代若者の「ながら運転」傾向を調査

近年、道路上での「ながら運転」が大きな社会問題となっています。

特に、運転経験が浅い10代の若者たちがスマートフォンを使用しながら運転することは、事故のリスクを著しく高めると指摘されてきました。

彼らの世代にとってスマホは生まれた時、もしくは幼少期から存在する「日常」であり「切り離せないもの」かもしれません。

しかし、具体的にどの程度の時間スマホに注意を奪われているのか、その実態はあまり知られていませんでした。

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物心ついたときからスマホを触ってきた世代における「ながら運転」の実態を調査 / Credit:Canva

こうした背景のもと、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究チームは、米国各地の高校生を対象に大規模な調査を実施しました。

調査は2段階に分かれて行われ、第一段階では20名の高校生に対して「ある程度の質問項目は決まっているが、自由に意見を引き出せる柔軟なインタビュー(半構造化インタビュー)」を実施しました。

参加者には、運転中のスマホ使用について、自分自身の行動やその理由、周囲の影響などを自由に語ってもらいました。

次に、インタビューで得られた結果をもとに、スマホ使用に関する信念や態度、社会的規範、行動制御などを測定する38項目の質問票を作成。

これを全米1,126名の高校生ドライバーに配布し、彼らの運転中のスマホ使用実態と心理的傾向を統計的に分析しました。

10代の若者は運転中の21.1%をスマホ注視に費やすと判明

本調査の結果、参加者の10代ドライバーたちは、1回の運転につき平均21.1%の時間をスマホを見ることに費やしていたと回答しました。

これは単純に考えても、5分間の運転のうち1分以上は視線がスマホに向いている計算になります。

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10代の若者は運転中の21.1%の時間をスマホを見ることに費やしていた / Credit:Canva

さらにそのうちの26.5%で、スマホへの注視が2秒以上続いていたことも明らかとなりました。

これは時速60kmで走行中に、約33m以上もの距離を「目を閉じた状態で走る」ことに相当します。

非常に危険なのは言うまでもありません。

では、なぜこれほど多くの時間、若者たちはスマホに目を奪われてしまうのでしょうか?

その理由として、65%がエンターテイメント(動画視聴、SNSなど)目的40%がテキストの送受信30%がナビゲーションの確認と答えています。

運転補助目的よりも、娯楽目的の使用が圧倒的に多いことが明らかとなりました。

ナビゲーションであっても、運転中に操作したり目を奪われたりすることで重大な事故につながるリスクがあります。

しかし若者たちは、より安易な気持ちで、まるで家の中でくつろいでいるかのように、運転中にもスマホを見ていたのです。

さらに、質問票によってそれらの行動の背後には、「親も反対しない」「友達も使っている」という考えがあることも明確になりました。

これは、自分の行動を正当化するための心理的バイアスが強く働いている可能性を示しています。

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人の命を危険にさらすべきではない!ながら運転は絶対にやめよう / Credit:Canva

いずれにしても「ながら運転」は非常に危険なため、「通知オフ」モードの活用やスマホを車内の手の届かない場所に置くことなどといった対策を徹底すべきでしょう。

ただし研究チームは、この調査には限界があることも認めています。

例えば、インタビュー対象者は都市部ではなく郊外や地方の学生が中心であったため、都市部の若者の行動傾向はまた異なる可能性があることが指摘されています。

また、調査は自己申告形式であるため、実際の行動よりも過小報告されている可能性もあります。

それでも、今回の手法は、今後の研究においても再現性が高く、研究を拡大するための枠組みとして高く評価できます。

スマートフォンは便利なツールですが、車を運転している間は命を預かる責任ある行為の最中です。

安易にながら運転してしまうかもしれませんが、それは自分と人の命を奪う行為に繋がりかねません。

まずは自分が絶対に行わないようにし、それを若者たちにも教えていかなければいけません。

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参考文献

Teens admit to alarming phone time while driving
https://newatlas.com/lifestyle/teens-phone-driving/

Study Explores the ‘Social Norms’ of Distracted Driving Among Teens
https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/study-explores-social-norms-of-distracted-driving-among-teens

元論文

Designing and validating a questionnaire to understand beliefs, intentions, and behaviors relating to distracted driving in young people
https://doi.org/10.1080/15389588.2025.2493301

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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