starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

飲む砂糖は食べるより危険と判明!喉が渇く季節は特に注意


暑い季節になると、冷たい清涼飲料水を楽しむ人が増えますが、「ペットボトル症候群」として知られる、甘い飲み物を常に摂取することによって血糖値が異常に上がる現象が話題になっています。アメリカのブリガムヤング大学とドイツのパーダーボルン大学などの研究チームが、「飲む糖」が「食べる糖」よりも2型糖尿病リスクを大きく高めることを明らかにしました。飲料に含まれる糖分は速やかに吸収され、血糖値が急激に上がるほか、満腹感が乏しいためカロリー摂取が増えます。特に砂糖入り飲料は週にコーラ1缶の摂取で糖尿病リスクが25%増加することが判明しました。こうした飲料の過剰摂取を避け、水やお茶などを意識的に選ぶことが健康維持に重要です。

気温が上がるこの季節、コンビニや自販機で冷たい清涼飲料水を買って一気に飲み干す——そんな習慣がある人は多いかもしれません。

シュワっとした炭酸飲料や甘いスポーツドリンクは、暑さを忘れさせてくれるような快感があります。

でも、ちょっと待ってください。

最近、SNS上では「ペットボトル症候群」への注意喚起が話題になっています。

これは、ジュースや炭酸飲料などの“甘い飲み物”を日常的に飲み続けることで、血糖値が異常に上がり、急性の糖尿病のような症状を引き起こしてしまう現象です。

清涼飲料の多くは、非常に大量の糖分が含まれているため過剰摂取に注意が必要ですが、それに加えて注意すべき問題が新たに報告されました。

アメリカのブリガムヤング大学(Brigham Young University)とドイツのパーダーボルン大学(Paderborn University)などの国際研究チームが、清涼飲料水の摂取と糖尿病リスクの関係を明らかにする大規模な調査研究を行ったところ、「飲み物として摂る糖分」は「食べ物として摂る糖分」よりも、2型糖尿病の発症リスクを大きく高めることがわかったのです。

果たして「飲む糖分」は「食べる糖分」とは何が違うのでしょうか?

この研究の詳細は、2025年3月に栄養学に関する科学雑誌『Advances in Nutrition』に掲載されています。

目次

  • 砂糖は摂取方法で影響が異なる?
  • 明確な差があった「飲む砂糖」と「食べる砂糖」

砂糖は摂取方法で影響が異なる?

Credit:canva

これまでにも、砂糖の過剰摂取が肥満や糖尿病などの生活習慣病につながることは広く知られてきました。

とくに「砂糖入り飲料(SSB:Sugar-Sweetened Beverages)」が健康に悪影響を及ぼすことは、多くの疫学研究で指摘されており、一般にもペットボトル症候群という呼び方で広まっています。

しかし、私たちは糖を飲み物からだけでなく、果物、ヨーグルト、パン、お菓子など、さまざまな食品から摂取しています。

なぜペットボトルの飲み物が別枠で特に注意されているのでしょうか?

実のところこの分野の研究では「同じ糖でも、その“摂り方”によって体への影響は違うのではないか?」という疑問があります。

つまり、「飲む糖」と「食べる糖」は、その影響を同じように扱うべきではないというのです。

この疑問には、すでにいくつかの研究が重要な違いを示しています。

たとえば、飲料に含まれる糖分は、食物繊維や脂質、たんぱく質といった吸収を緩やかにする成分を含まないため、消化吸収が非常に速く、血糖値を急激に上昇させる傾向があります。

フルクトース(果糖)を液体の形で摂取した場合には、体内での吸収が非常に速いため、肝臓での脂肪合成(de novo lipogenesis)が過剰に活性化されやすくなることも示されています。

Credit:canva

また、噛まずに摂取できる液体は満腹感を与えにくいため、カロリー摂取が増えやすいことも知られています。

とくに夏は、無意識のうちに清涼飲料水の摂取量が増えやすい季節です。暑い日には、冷たい炭酸飲料やスポーツドリンクを一気に飲み干してしまう人も少なくないでしょう。

このように食べる場合と異なり、砂糖を飲むという行為は代謝の偏りを生みやすく、インスリン抵抗性の増加や血糖コントロールの悪化といった症状を引き起こしやすくなると予想されているのです。

こうした背景から、今回の研究チームは、「糖の量」だけでなく、「糖の摂取形態」に着目し、その影響について調査を行いました。

彼らは世界中の大規模な疫学調査から約80万人分のデータを集め、「飲む糖」と「食べる糖」が、それぞれ2型糖尿病の発症リスクにどのように関係しているかを精密に分析しました。

これにより研究は、これまで「砂糖は体に悪いもの」とひとくくりに考えられがちだった問題に対して、「摂り方によってリスクが大きく変わる」可能性を正確に示そうとしたのです。

明確な差があった「飲む砂糖」と「食べる砂糖」

Credit:sugarstacks.com

分析の結果、最もリスクが高かったのは、やはり砂糖入り飲料でした。

コーラ1缶分に相当する12オンス(約355ml)を毎日摂取するごとに、糖尿病リスクが25%増加することがわかりました。

また、果汁も無害とは言えず、1カップ(約240ml)あたり5%のリスク上昇が見られました。

一方で、しょ糖や総糖、つまり「食べ物として摂る糖」には意外な結果が出ました。

これらはむしろ、摂取量がある程度増えることで糖尿病のリスクがやや下がるという傾向が見られたのです。

もちろん、「砂糖は食べれば食べるほど体にいい」といった単純な話ではありません。

この研究では、自然な糖分を含む食品と添加糖を含む清涼飲料水を比べているため、あまりフェアな比較とは言えないでしょう。このような比較になったのは研究が世界中のデータを用いた大規模研究だったためで、添加糖の定義が国によって異なり、上手く区別出来なかったためです。

そのため食べ物は自然な糖によるものですが、それでも大きな差が出た原因についてはヨーグルトや果物、全粒粉のパンなど、栄養価の高い食品では、繊維や脂肪、タンパク質と一緒に摂取されることで血糖値の急上昇を防いでいる可能性が考察されています。

一方、清涼飲料水のような液体では糖が単独で素早く吸収されるため、インスリンの分泌が急激に起こり、結果として代謝に大きな負荷がかかると考えられています。

こうしたメカニズムは、いわゆる「ペットボトル症候群」と非常によく似ています。

Credit:canva

水分補給のつもりで日常的に甘い飲料を飲み続けることで、気づかぬうちに血糖値のコントロールが乱れ、インスリンが効かなくなってしまう可能性は高いのです。

今回の研究は、そうした現象を疫学的に裏付けた結果ともいえるでしょう。

何を飲むか、があなたの健康を左右する

この研究は、「砂糖をどのように摂るか」も重要であることを示しています。

果物やヨーグルト、全粒穀物などに含まれる糖分は、食物繊維や栄養素とともに体に取り込まれるため、血糖値の急上昇を避けることができます。

しかし、清涼飲料や果汁のように液体で摂取する糖分は、すぐに吸収され、インスリンや肝臓への負担が大きくなります。

夏場は特に、冷たい飲み物を摂る機会が増えます。

「のどが渇いた」と思って手にするペットボトルが、知らぬ間にあなたの代謝に悪影響を与えているかもしれません。

この季節、意識的に水やお茶を選ぶだけで、未来の健康を守ることにつながるかもしれません。

「食べる砂糖」と「飲む砂糖」。

その違いを知っておくことが、糖尿病予防の第一歩になるのではないでしょうか。

全ての画像を見る

参考文献

Rethinking sugar: BYU study shows food source is key to understanding diabetes risk
https://news.byu.edu/intellect/rethinking-sugar-byu-study-shows-food-source-is-key-to-understanding-diabetes-risk

元論文

Dietary Sugar Intake and Incident Type 2 Diabetes Risk: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies
https://doi.org/10.1016/j.advnut.2025.100413

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.