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124光年先の惑星に強い「生命のサイン」を検出!


地球から124光年離れた太陽系外惑星「K2-18b」が、生命の可能性を示す化学物質を含む大気を持つと、ケンブリッジ大学の研究チームが発表しました。この惑星はハビタブルゾーンに位置し、メタンと二酸化炭素が以前に発見されていましたが、今回新たにジメチルスルフィド(DMS)およびジメチルジスルフィド(DMDS)が検出されました。DMSは地球上では主に植物プランクトンに由来するものであり、その高濃度から生命の存在を示唆しています。ただし、この発見が生命の存在を確定するものではなく、さらなる研究が必要としています。

地球の生命体は広大な宇宙の中で、独りぼっちなのでしょうか?

この疑問に答えるため、科学者たちは長年にわたり、宇宙に生命の痕跡を探し求めてきました。

そして今回、地球から124光年離れた場所にある太陽系外惑星に、強い生命のサインが検出されたのです。

研究を行ったのは、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のチームです。

さて、今回見つかった生命のサインはどのようなものだったのでしょうか?

研究の詳細は2025年4月17日付けで科学雑誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されています。

目次

  • 124光年先にある太陽系外惑星「K2-18b」
  • どんな「生命のサイン」が見つかったのか?

124光年先にある太陽系外惑星「K2-18b」

生命のサインが見つかったのは、地球からしし座方向に124光年離れた場所にある「K2-18b」という太陽系外惑星です。

K2-18bの質量は地球の8.6倍、半径も2.6倍に達し、大変に重い星であることがわかっています。

この惑星は地球にとっての太陽のように、ある恒星の周りを33日間で一周しており、恒星との距離感も生命が居住可能な範囲「ハビタブル・ゾーン」にあります。

K2-18bはこれまでにも観測研究が行われており、2023年には、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がK2-18bの大気中にメタンと二酸化炭素を検出しました。

ハビタブルゾーン内の太陽系外惑星で、生命の痕跡となる「炭素分子」が確認されたのは、これが初めてでした。

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K2-18bの想像図/ Credit: ja.wikipedia

またK2-18bは以前から、地球より大きく、水素に富んだ大気を持つ海洋世界を意味する「ハイシアン惑星」の最有力候補と考えられています。

一部の研究者たちは「K2-18bには豊富な液体が存在し、そこに地球の太古の海にいた微生物のようなものがいるのではないか」と推測しているのです。

その一方で、他の研究者たちは「K2-18bは中心の恒星に近すぎるため、液体の水を維持するには高温すぎる可能性が高い」として、生命は存在しえないと主張します。

こうした中で、ケンブリッジ大学の研究チームは、K2-18bに新たな「生命のサイン」を検出しました。

どんな「生命のサイン」が見つかったのか?

研究チームは今回、K2-18bにおける生命の兆候を探すために、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線機器を使い、これまでと異なる波長の光でK2-18bを観測しました。

その結果、惑星の大気中に「生命の兆候(バイオシグネチャー)」と考えられている2種類の化学物質の存在が検出されたのです。

それが「ジメチルスルフィド(DMS)」「ジメチルジスルフィド(DMDS)」です。

これらの化学物質は地球上において、主に植物プランクトンと呼ばれる微細な海洋藻類によって生産されることが知られているのです。

確かに、これらの化学物質は無機的なプロセスでも生成され得るものですが、K2-18bで観測されたDMSの濃度は、地球上のレベルの数千倍にも達しており、「生命のサイン」の可能性を強く示唆していました。

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K2-18bの想像図/ Credit: A. Smith, N. Madhusudhan/University of Cambridge

一方で、チームは慎重な姿勢を強調し、これらの発見を確認するためにはさらなる観測が必要であり、今回の発表が「決定的な生命の発見を意味するものではない」と述べています。

研究主任のニック・マドゥスーダン(Nikku Madhusudhan)氏は、こう述べました。

「私たちが今回得たものは、太陽系外で生物活動が存在する可能性を示す“兆候”にすぎません。

それでも私たちは、これまでで最も生命に起因する特徴を捉えた可能性に近づいたと考えています」

さて、私たちが暮らす地球の他に、生命の存在する惑星はあるのでしょうか?今後の調査に注目が集まります。

全ての画像を見る

参考文献

Strongest Evidence of Alien Life Yet Found 124 Light-Years Away
https://www.sciencealert.com/strongest-evidence-of-alien-life-yet-found-124-light-years-away

Strongest hints yet of biological activity outside the solar system
https://www.eurekalert.org/news-releases/1080558

元論文

New Constraints on DMS and DMDS in the Atmosphere of K2-18 b from JWST MIRI
https://doi.org/10.3847/2041-8213/adc1c8

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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