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ナルシスト傾向のある人は陰口でも話題されると喜んでしまうと判明


心理学の研究で、ナルシシズム傾向の高い男性が、陰口さえも「注目の証」として歓迎することが明らかになった。調査では、64%の参加者がポジティブな噂を喜んだ一方、36%はそのような状況を不快に感じたと報告。さらに、15%の参加者はネガティブな内容すらもポジティブに捉える傾向があり、その大部分がナルシシズムの高い男性であることが判明した。この現象は「自分が注目されている」という欲求が影響していると考えられる。研究は、人のゴシップへの反応が性別、年齢、個人の傾向によって異なる可能性を示唆している。

誰だって、自分の悪口を言われていい気分にはならないですよね?

たとえば、SNSの裏アカで「〇〇の服センスないよね」と陰口を叩かれていたことを知ったら、多くの人はショックを受けたり、怒ったり、ちょっと落ち込んだりすると思います。

でも、世の中には「陰口でも自分の話をされたらうれしい」という、ちょっと変わったタイプの人たちがいることが、心理学の研究によって明らかになりました。

研究を行ったのは、ミシシッピ大学、デューク大学、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学(RPTU)の研究者たちです。

「陰口を言われることに対して人はどう感じるのか?」というテーマで、アメリカの大規模な全国調査を含む5つの実験を行い、ナルシシズム傾向の高い男性だけが、陰口(ネガティブなゴシップ)でさえも『注目の証』として喜ぶ傾向があると判明したのです。

なぜ彼らはそんな“特異な反応”を示すのでしょうか? 今回は、そんな人間心理の不思議な裏側を解説していきます。

この研究は、2025年2月28日に科学雑誌『Self and Identity』に掲載されています。

目次

  • 普通の人は「自分の噂」はイヤ。ナルシストだけが「人気者アピール」に変換する!?
  • 悪口すら「ご褒美」!ナルシストの脳内で起きていること

普通の人は「自分の噂」はイヤ。ナルシストだけが「人気者アピール」に変換する!?

この研究のきっかけとなったのは、社会の中で“ゴシップ”が果たす複雑な役割にあります。

ゴシップとは、第三者が不在の場でその人物について話す行為であり、ネガティブな内容だけでなく、ポジティブな話題も含まれます。

従来の心理学では、ゴシップは集団の結束を高めたり、社会的ルールを共有する手段として扱われてきました。

よく飲み会などでは、本人がいない状況でその人の話題が上がったりすることがよくあります。こうした行為が悪口であれ、褒め言葉であれ、集団の結束に影響するというのです。

確かにこれはイメージしやすい問題ですが、しかし、話題にされる本人は、いないところで自分の話をすることにどう感じているのでしょうか?

一般的に考えて、あまりいい気はしないと予想できますが、こうした“ターゲットの視点”は心理学の研究でこれまで見過ごされがちでした。

そこで研究者たちは、「人は本当に話題にされることを嫌うのか? それとも歓迎する人もいるのか?」という問いに注焦点を当て、性別・年齢・個人特性と、陰口への反応の関係を調査したのです。

特にここでは被験者のナルシシズム(自己愛)傾向も測定されました。

「ナルシシズム」とは、自分のことを特別でスゴい存在だと思っている心理傾向のことです。

Credit:canva

ギリシャ神話に登場するナルキッソスという美少年が、池に映った自分の姿に見とれて池に落ちて命を落とした、という伝説が「ナルシスト(自己愛的な人)」という言葉の語源です。

研究者はこの傾向が「注目されたい」「特別扱いされたい」という欲求と深く関係しているため、陰口に対する反応と強く関連すると予測したのです。

この研究では、アメリカの全国的な調査パネルや大学生サンプルを用いた5つの実験が実施されました。

被験者たちは、「ポジティブな陰口」「ネガティブな陰口」「あいまいな陰口」「全く話題にされない」など、さまざまなシナリオを読んだうえで、「自分がその場で話題にされたとしたらどう感じるか?」を1〜6段階で回答しました。

すると非常に興味深い傾向が見えてきたのです。

悪口すら「ご褒美」!ナルシストの脳内で起きていること

実験では、さまざまなシナリオを用いて「陰口を言われること」に対する反応を調べました。

本人が席を外したとき、その人の話題(良くも悪くも)をする飲み会の場面 や、職場で昼休みにいない人の話を同僚がしている場面などなど、誰もが「あるある」と思うような状況を設定し、その上で「あなたがその話題になっていたらどう思いますか?」と質問したのです。

その結果、人々の反応には予想以上のばらつきが見られました。

調査では、参加者の64% がまったく話題に上がらないよりは、ポジティブな噂話で自分の話題が上がることが嬉しいと感じていることが明らかになりました。

しかし、興味深いことに全体の36%はたとえポジティブな内容であっても「自分が話題にされるのは嫌だ」と感じていたのです。

つまり、内容の良し悪しに関係なく「自分がいない場で話題にされる」こと自体が不快だと考える人が少なくないと明らかになったのです。

そしてネガティブなゴシップ、つまり陰口を言われた場合は、当然ながら多くの人が嫌悪感を示しました。

しかし、そんな中で全体の約15%の人が、陰口であってもそれをポジティブに受け取っていたのです。

それが、ナルシシズムのスコアが高い男性たちです。

彼らはネガティブな陰口であっても「自分が注目されている」と前向きに捉え、話題にされることそのものをむしろ歓迎する傾向が強く見られました。

SNSでは「バズった」としても、あまり良い意味で話題にならないことがあります。批判や炎上は、普通誰であっても嫌なものです。

ところが今回の研究によると、ネガティブかポジティブかは関係なく、「名前が出た」ということ自体に快感を覚える人たちがいると明らかになったのです。

炎上だろうと自分が話題になってるというだけで嬉しい/Credit:canva

ネットでは、相手への制裁などのつもりで批判や炎上騒動を起こすことがあります。しかし、相手の心理傾向によっては、「うわ、俺めっちゃ話題になってる!テンション上がる!」とただのご褒美になってしまうのです。

今回の研究で注目すべき報告は2つあります。

1つは3分の1近い人々が、影で自分のことが話題にされる事自体を不快に感じていると示されたことです。

つまり、褒めているんだからいいだろうと思っても、実際は相手にとって苦痛だったということがかなりの割合で起こり得るのです。

そのため、研究者はほとんどの人たちが「ポジティブな内容なら影で話題にしても当人は喜ぶだろう」と勘違いしている可能性があると指摘しています。

こうしたギャップは、悪意はないのに相手との関係性を悪化させてしまう恐れがあります。

このことから研究者は「まずは相手の立場を想像してみること。話題にする前に、話題にされる人の気持ちを考えて」と呼びかけています。

今後は、人のことを話題にするときは相手の特性について考えた方が良いかもしれません。

褒めても苦痛な人がいる一方、嫌がらせのつもりでも相手を喜ばせる場合もあります。

なかなか人の心は一筋縄ではいかないもののようです。

全ての画像を見る

参考文献

Most people dislike being gossiped about—except narcissistic men, who welcome even negative gossip
https://www.psypost.org/most-people-dislike-being-gossiped-about-except-narcissistic-men-who-welcome-even-negative-gossip/

元論文

Openness to being gossiped about: understanding gossip from the target’s perspective
https://doi.org/10.1080/15298868.2025.2467737

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部

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