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ナルシシズム傾向が強い人ほど「SNS依存症」になりやすかった


ポーランドの研究により、自己愛が強い人ほどSNS依存症に陥りやすいことが示されています。調査によると、ナルシシズムには6つのタイプがあり、そのうち「神聖性」以外の全てのタイプがSNS依存と関連していることが分かりました。 特に「称賛」「対抗」「英雄性」タイプのナルシシズムは、SNS依存によって一時的にその強さが弱まる傾向があります。反対に、「敵意」や「孤立」タイプはSNS依存と連動して増大します。 ナルシシズムの人々は他者からの承認を得ることで自尊心を維持しようとしますが、SNSはそのフィードバックを即座に提供し、不安定な自尊心を一時的に補う役割を果たしています。しかし、それは根本的な解決策にならないため、SNS依存が進むことがあります。

「いいねが足りないと、心がざわつく」

「SNSを閉じたはずなのに、5分後にはまたアプリを開いてしまっている」

そんな経験はないでしょうか?

もしこれらに当てはまるなら、ナルシシズム(自己愛)の傾向が強いのかもしれません。

最近、ポーランド・グダニスク大学(UG)の研究で、ナルシシズムが強い人ほど、SNS依存に陥りやすいことが示されました。

なぜナルシストだとSNS依存症になりやすいのでしょうか?

研究の詳細は2025年2月の学術誌『Journal of Research in Personality』に掲載されています。

目次

  • ナルシシズムの6つのタイプ
  • SNS依存で増幅されるナルシシズムのタイプがあった

ナルシシズムの6つのタイプ

SNSは単なる情報発信だけの場ではありません。

それは「自分を見てほしい」という欲望、つまりはナルシシズムに特徴的な「承認欲求」をくすぐる場所でもあります。

ナルシシズムとは心理学において、自己陶酔や自己愛が極端に強い状態、またはそのような性格を持つ人を指す用語です。

ナルシストは、他者からの注目や称賛によって自尊心を維持しようとするため、「いいね」や「フォロワー数」に敏感になります。

SNSはそうした評価を手軽にかつ即座に与えてくれる最良の環境なのです。

1枚の盛れた写真、感動的な文章、刺激的な発言――それらに反応が返ってくるたび、脳がドーパミンを分泌して快感を与えます。

そうなると人は「次の投稿」「次のいいね」を求めて、SNSにどんどんのめり込んでいくのです。

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Credit: canva

そんな中、研究チームは2020年から2021年にかけてポーランド在住の339人を対象に、6つの異なるナルシシズムのタイプとSNS依存との関係を詳細に調査しました。

そのナルシシズムの6つのタイプは以下の通りです。

・称賛

特徴:自分が魅力的で優れた存在として他者に認められたいという欲求

行動例:SNSで完璧な自分を演出する、称賛のコメントを求めて投稿する

心理的背景:自尊心の維持のために、ポジティブな注目を集めたいという動機

・対抗

特徴:他人を引き下げることで相対的に自分を優位に置こうとする傾向

行動例:他人を批判したり、競争で勝つことにこだわる

心理的背景:他者との比較に強く反応し、劣等感から自己防衛的になる

・敵意

特徴:他者に対する攻撃性や警戒心が強く、対人関係が対立的になる傾向

行動例:批判的・皮肉な投稿、攻撃的なコメントへの過剰反応

心理的背景:自分を守るために他人を敵視しがちで、防衛的・排他的な態度を取る

・孤立

特徴:自分は特別で理解されないという感覚から、他者との関係を避ける傾向

行動例:表向きはSNSで活動していても、実生活では孤立している

心理的背景:内面の脆弱さや拒絶への恐れから、社会的関係を避ける

・英雄性

特徴:自分を「他人のために犠牲を払う特別な存在」として誇示する傾向

行動例:他人を助けた話や苦労話をSNSで強調する

心理的背景:他者に認められたいが、直接の賞賛ではなく「崇高さ」を通じて得たい

・神聖性

特徴:高潔さ・道徳的優越を通じて自分を特別視する傾向

行動例:倫理的、宗教的な主張を強調し、自分の道徳観を正当化する

心理的背景:自分は「他者とは違う」高次な存在だという認識

そして調査の結果、「神聖性」を除くすべてのタイプのナルシシズムがSNS依存傾向と正の関連を持つことが明らかになりました。

つまり、自分をより特別に見せたい、または他人より優位に立ちたいという欲求が強い人ほど、SNSに執着しやすいことが示されたのです。

SNS依存で増幅されるナルシシズムのタイプがあった

では、なぜナルシシズム傾向が強い人はSNSに依存しやすいのでしょうか?

そこには内面の不安定さが関係しています。

多くのナルシストは、外見上は自信に満ちているように見えますが、実際には他者からの評価に強く依存しており、内なる自尊心は非常に脆弱です。

SNSのフィードバックは、そうした脆さを一時的に補ってくれる“擬似的な安全装置”として機能します。

しかし、それは根本的な問題を解決するものではなく、あくまで「その場しのぎの鎮痛剤」のようなものです。

「もっと見てほしい」「もっと認められたい」と求めるうちに、SNSへの接続はどんどん強化されていきます。

これがナルシシズムとSNS依存症の実態です。

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Credit: canva

さらに興味深いのは、SNS依存とナルシシズムが双方向に影響し合っているという点でした。

研究では「称賛」「対抗」「英雄性」タイプのナルシシズムが、SNS依存によって弱まる傾向が見られました。

つまり、「いいね」に翻弄されて疲れ果てた結果、自分を高く見せようとする力が一時的に衰えていたようなのです。

一方で「敵意」や「孤立」タイプのナルシシズムは、SNS依存と並行して増大する傾向がありました。

これは自分が認められないことへの苛立ちや孤立感がSNSで増幅され、他人との距離や敵意が強まっていくことを示唆しています。

このような結果から、SNSは単なる情報ツールではなく、自己像や人間関係を大きく左右する心理的空間であることが明らかになりました。

ナルシシズム傾向の強い人は、自分のタイプの理解しながら、SNSとの付き合い方に注意すべきかもしれません。

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参考文献

Narcissists are more likely to become addicted to social networking sites
https://www.psypost.org/narcissists-are-more-likely-to-become-addicted-to-social-networking-sites/

元論文

A longitudinal study on the reciprocal relationship between narcissism and social Networking Sites addiction
https://doi.org/10.1016/j.jrp.2024.104566

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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