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ポーランドの森に「漆黒のオオカミ」が現れる!感染症に抗う「黒の遺伝子」を持つか!?


ポーランドの森で、自然保護団体「SAVE Wildlife Conservation Fund」によって、黒いオオカミが自動撮影カメラで記録されました。この撮影はポーランドで初の黒毛の個体であり、地元の人々を驚かせました。黒いオオカミは通常北米で知られており、その色は特定の遺伝子変異に関連し、ウイルス感染症への耐性を提供する可能性があります。ポーランドで発見された漆黒のオオカミが、同じ遺伝子由来の変化なのか、または独自の突然変異なのかは不明で、今後の研究が期待されています。

ポーランドの森で「黒いオオカミ」が姿を現しました。

ポーランドの自然保護団体「SAVE Wildlife Conservation Fund」が設置した自動撮影カメラに、黒いオオカミが川を渡る様子が記録されたのです。

これはポーランド国内で撮影された初の黒毛個体であり、地元の人たちを大いに驚かせました。

この発見は、単なる珍しい色の個体の記録という枠を超え、遺伝子の謎に迫るための貴重な情報となります。

目次

  • 感染症から生き残るオオカミの多くは「特定の遺伝子変異」を持っている
  • ポーランドでも「黒の遺伝子」を持つ漆黒の狼が発見される

感染症から生き残るオオカミの多くは「特定の遺伝子変異」を持っている

通常、オオカミといえば、灰色の被毛をもつことで知られています。

しかし「黒色の被毛」をもつオオカミが発見されることがあります

黒いオオカミは、実は北米では比較的知られた存在です。

特にアメリカのイエローストーン国立公園では、個体の約半数が黒毛であると報告されています。

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イエローストーン国立公園では約半数のオオカミが黒色 / Credit: Daniel Stahler/NPS

イエローストーン国立公園におけるこの現象の背後にあるのは、特定の遺伝子変異です。

2022年に『Science』誌に掲載された英オックスフォード大学(University of Oxford)とイエローストーン国立公園の共同研究によると、この変異はウイルス感染症への耐性と関連があるようです。

研究では、犬ジステンパーウイルス(CDV)という致死的な感染症に対して、黒毛のオオカミの方が灰色のオオカミよりも高い生存率を示すことが確認されました。

抗体を調査したところ、CDVに対する抗体をもつオオカミは黒色であることが多いと分かっています。

そのため研究者たちは、「被毛を黒色にする遺伝子こそがCDV感染から生き延びる能力を与えている」という仮説を支持しています。

そして最近、ポーランドでも「黒の遺伝子」をもつ漆黒のオオカミが発見されました。

ポーランドでも「黒の遺伝子」を持つ漆黒の狼が発見される

前述した北米とは異なり、ポーランドでは黒いオオカミを見かけることはほとんどありません。

しかし今回、ポーランドの自然保護団体「SAVE Wildlife Conservation Fund Poland」が設置した野生動物用の自動撮影カメラに、黒いオオカミが映り込みました。

このカメラはもともとビーバーの観察用に設置されていたものでしたが、偶然にもポーランドでは珍しい姿をとらえたのです。

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ポーランドの森でも漆黒のオオカミが発見される / Credit:Fundacja SAVE Wildlife Conservation Fund WILKnet(YouTube)_Czarne wilki w polskim lesie(2025)

撮影された映像には、黒いオオカミが1頭、そしてそれに続く灰色のオオカミが1頭、川を渡っている様子が記録されていました。

さらにその後、別の映像では、少なくとも2頭の漆黒の個体が同じ群れに属していることが明らかになりました。

この映像はポーランドにおける初の黒いオオカミの映像記録です。

地元の人々の間では、黒いオオカミがしばしば神秘的な存在として語られており、その珍しさから「伝説的な存在」として扱われています。

そのため今回の発見は、彼らにとって驚きでした。

では、ポーランドの「漆黒のオオカミ」が黒い被毛を持つ原因はいったい何でしょうか。

SAVE Wildlife Conservation Fund Polandは、やはり遺伝子変異が原因だと考えています。

しかし、北米のオオカミと同じ遺伝子由来の変化なのか、あるいはヨーロッパ独自の突然変異なのか分かっていません。

こうした点を明らかにするため、彼らは漆黒のオオカミの糞を収集・分析して遺伝子の謎に迫りたいと考えています。

今後の調査次第では、ヨーロッパのオオカミたちにもCDVへの自然な耐性が広がっている可能性や、それとも何か別の変異が明らかになるかもしれません。

ポーランドの黒いオオカミは、単なる「色違い」ではありません。

彼らは、環境の脅威に適応しながら生き抜くための「遺伝子の神秘」を明らかにする貴重な存在なのです。

全ての画像を見る

参考文献

Black wolves on our photo traps!
https://fundacja-save.pl/en/black-wolves-on-our-photo-traps/

Oxford-led study finds disease outbreaks influence the colour of wolves across North America
https://www.ox.ac.uk/news/2022-10-21-oxford-led-study-finds-disease-outbreaks-influence-colour-wolves-across-north

元論文

Disease outbreaks select for mate choice and coat color in wolves
https://doi.org/10.1126/science.abi8745

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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