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恋人との破局には「予兆」があると判明、「2つの段階」に分かれて現れる


ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学による研究で、恋愛関係が終わる1〜2年前から2つの段階に分かれた関係終了の予兆があることが明らかになりました。最初の段階は数年間続く緩やかな満足度の低下が見られる「終末前段階」で、次に急激な満足度の低下が起きる「転換点」が訪れます。この転換点以降、関係の終了はほぼ不可避とされています。研究により、別れに至る心理的変化のパターンを時間軸で分析し、満足度の推移を経年的に追跡した結果、別れのプロセスが段階的に進むことが示されました。これにより、関係修復のためには「転換点」の前に対話やカウンセリングが効果的であることが示唆されています。

ラブストーリーは突然に。でも、別れ話には事前に予兆があるようです。

独ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ(JGU)の最新研究で、恋愛関係の終わりにはその1〜2年前に準備段階があることを明らかにしました。

特にその準備段階は2つのステージに分かれていたとのこと。

さて、皆さんは大丈夫でしょうか?

研究の詳細は2025年2月に学術誌『Journal of Personality and Social Psychology』に掲載されています。

目次

  • 別れはある日突然に起こるもの?
  • 別れの予兆は「2段階」に分かれていた

別れはある日突然に起こるもの?

別れ話が唐突に切り出されたように感じたことはありませんか?

実はその裏で、パートナーとの関係の中では静かに、しかし着実に “満足度の低下” が進行していた可能性があります。

恋愛関係において、パートナーへの満足感は時間とともにゆるやかに減っていく傾向があります。

これは過去の多くの研究でも指摘されてきました。 特に、交際開始から数年の間に顕著な満足度の低下が見られることが多いとされています。

今回の研究では、従来の “交際が始まってからの経過時間” ではなく、”別れに至るまでの時間” に焦点を当てた点がユニークです。

つまり、恋愛関係が解消されるまでの過程を時間軸でさかのぼることで、別れに至る典型的な心理的変化のパターンを明らかにしようとしたのです。

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Credit: canva

なぜこの研究が必要だったのか?

恋愛関係が破綻する際、当人同士の間では大きなギャップが生じていることがあります。

片方のパートナーはすでに関係に不満を抱いており、別れを決意している一方で、もう片方は突然の別れ話に「え、なんで⁈」と衝撃を受ける、というケースです。

このような不一致がなぜ起こるのか、そしてどのようなタイミングで関係の修復が可能だったのかを理解するためには、「別れのプロセス」をより精密に捉える必要がありました。

研究チームは今回の調査によって、関係悪化の早期兆候を見極める手がかりを得ることを目的としました。

それにより、関係を修復するための介入時期を明確にし、カップルがより健全な関係を築く助けになると考えたのです。

別れの予兆は「2段階」に分かれていた

チームは今回、ドイツ、オーストラリア、イギリス、オランダの4カ国で行われた大規模な縦断調査を用いました。

合計で1万1295人のデータが対象となり、そのうち約半数が後にパートナーと別れる経験をしています。

調査期間は12〜21年と長期にわたっており、参加者は定期的に恋愛関係における満足度について回答しました。

研究者たちは「別れに至る1〜2年前」に共通して見られる心理的変化があるかを探るため、満足度の推移を時系列で分析。

その結果、満足度の低下には明確な2段階のパターンがあることが判明したのです。

最初は、数年にわたる緩やかな低下「終末前段階(preterminal phase)」でした。

ここでパートナーとの恋愛関係への満足度はゆっくりと、しかし着実に下がっていました。

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Credit: canva

そしてチームが「転換点(transition point)」と呼ぶタイミングで、恋愛関係の満足度は急激にガクンと下がり始めたのです。

この2段階目は、実際の別れのおおよそ7〜28カ月前、つまりは約1〜2年前後に起こっていることがわかりました。

この “転換点” を超えると、カップルの関係は終末段階へと突入し、破局はほぼ不可避となっていたのです。

さらに興味深いのは、パートナー同士がこの変化を同じようには感じていなかったという点です。

別れを切り出す側は、転換点のずっと前からすでに関係への不満を蓄積しており、精神的には別れの準備を整えている傾向がありました。

一方、別れを切り出される側は、転換点の直前まで大きな変化を感じておらず、急激な満足度の低下を経験することで大きな衝撃を受けていたのです。

研究者は「パートナー同士が互いの恋愛関係を同時に同じ感覚で見ているとは限らないことが、誤解やタイミングのズレを生む大きな原因でしょう」と指摘しています。

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Credit: canva

この研究から得られる大きな教訓は「別れは突然起きるのではなく、徐々に形作られている」という点です。

そして関係を修復できる可能性が高いのは、転換点よりも前、つまり終末前段階になります。

研究主任のヤニナ・ビュラー(Janina Bühler)氏はカップルセラピストとしての経験から「多くのカップルが相談に訪れるのは “すでに手遅れ” になっているケースが多い」と述べています。

そのため、関係における小さな違和感や不満が生じた段階で、対話やカウンセリングなどの介入を行うことが、結果的に別れを防ぐ鍵になるでしょう。

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参考文献

Transition point in romantic relationships signals the beginning of their end
https://press.uni-mainz.de/transition-point-in-romantic-relationships-signals-the-beginning-of-their-end/

元論文

Terminal decline of satisfaction in romantic relationships: Evidence from four longitudinal studies.
https://doi.org/10.1037/pspp0000551

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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