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睡眠の質は食事で変わる!スマホアプリ「あすけん」「Pokémon Sleep」を使った研究で判明


筑波大学の研究チームが、スマホアプリのデータを活用して食事と睡眠の関係を解析した結果、タンパク質や食物繊維を多く摂取する人は、より良い睡眠を得ていることが分かりました。特に、タンパク質は総睡眠時間を長くし、食物繊維は寝つきや中途覚醒を改善する要素とされています。一方で、脂肪や炭水化物の過剰な摂取は睡眠の質を低下させることが示唆されました。この研究は、栄養バランスが睡眠に与える影響についての新しい視点を提供しています。

「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」といった悩みを抱えている人は多いでしょう。

そんな睡眠の質が、実は食事の内容によって変わるかもしれません。

筑波大学の柳沢正史氏ら研究チームが、スマホアプリのデータを活用し、食事の栄養バランスと睡眠の関係を解析しました。

その結果、タンパク質や食物繊維を多く摂る人はよく眠れていることが分かりました。

研究の詳細は、2025年1月30日付の『Journal of Medical Internet Research』に掲載されました。

目次

  • 食事は睡眠に影響するのか?スマホアプリを使った分析
  • タンパク質と食物繊維の摂取はより良い睡眠をもたらす

食事は睡眠に影響するのか?スマホアプリを使った分析

「寝る前にカフェインを摂ると眠れなくなる」という話を聞いたことがあるはずです。

これは、カフェインが脳を覚醒させる作用を持つためです。

一方で、食事全体の栄養バランスが睡眠にどのような影響を与えるかは、意外と知られていません。

過去の研究では、タンパク質や脂肪などの栄養素が睡眠の質に影響を与える可能性が示されています。

しかしそれらの研究は対象人数が少なく、客観的なデータが不足していました。

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スマホアプリのデータを使用して大規模な分析を実施 / Credit:Canva

最近では、食事や睡眠を管理できる便利なスマホアプリが登場しています。

そこで筑波大学の研究チームは、それらスマホアプリを活用し、日々の食事と睡眠のデータを組み合わせて解析するという新しいアプローチを試みました。

彼らは、睡眠ゲームアプリ「ポケモンスリープ(Pokémon Sleep)」と、食事管理アプリ「あすけん」を使用する4825人のデータを分析しました。

ポケモンスリープは、ユーザーの睡眠習慣をゲーム要素と組み合わせ、睡眠データ(睡眠時間や夜間の覚醒)を記録するアプリです。

あすけんは、自分自身の食事内容を記録することで、自身に合った目標摂取エネルギーや各種栄養素に対する過不足が分かるアプリです。

研究チームは、この二つのデータを連携させることで、個々の栄養素が睡眠に与える影響を詳細に解析しました。

タンパク質と食物繊維の摂取はより良い睡眠をもたらす

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タンパク質や食物繊維は睡眠の質を向上させる / Credit:Canva

この研究では、特にマクロ栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)や食物繊維とミネラル(ナトリウム、カリウム)、睡眠の質を示す指標(総睡眠時間、夜間の覚醒時間、寝つきの速さ)を重視して分析しました。

そして解析の結果、いくつかの興味深い事実が明らかになりました。

まずタンパク質を多く摂る人は、総睡眠時間が長い傾向にあると分かりました。

これは、タンパク質が睡眠ホルモンであるメラトニンやセロトニンの合成に関与している可能性を示しています。

また、食物繊維を多く摂取している人は、総睡眠時間が長くなり、寝つき時間と中途覚醒が短くなることも分かりました。

つまり、タンパク質と食物繊維は、睡眠の質を向上させる可能性があるのです。

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大量の脂肪や炭水化物は睡眠の質を低下させる / Credit:Canva

一方で、脂肪やナトリウムの摂取量が多いと、睡眠時間が短くなったり、中途覚醒が長くなったりすると分かりました。

しかし脂肪の種類で効果は異なり、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸が多いと睡眠の質が低下しますが、多価不飽和脂肪酸(オメガ3など)は睡眠の質を向上させる可能性があります。

加えて、炭水化物を多く摂ると、寝つくまでの時間は短くなるものの、摂取量が極端に多すぎると睡眠が浅くなる可能性があることも示されました。

今回の研究は、食事と睡眠の因果関係を示す点で限界があります。

それでも、客観的データに基づいて、食事の栄養バランスが睡眠に与える影響を示した点で画期的でした。

今日の食事を工夫することで、明日の朝の目覚めが変わるかもしれません。

もし、よく眠りたいなら、タンパク質と食物繊維の摂取を心がけ、脂肪は控えめにしてみてください。

全ての画像を見る

参考文献

アプリデータで睡眠と栄養の関連を大規模調査
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20250203140000.html

What we eat impacts the quantity and quality of our sleep
https://newatlas.com/health-wellbeing/diet-macronutrients-sleep-quality/

元論文

Relationship Among Macronutrients, Dietary Components, and Objective Sleep Variables Measured by Smartphone Apps: Real-World Cross-Sectional Study
https://doi.org/10.2196/64749

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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