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男性は「彼女が浮気してる」と疑うほど、精子が濃くなると判明!


オークランド大学の研究によると、男性がパートナーに対して「異性の友人が多い」または「浮気を疑う」と感じるほど、性交時に射出される精子の濃度が増加することが判明しました。これは、男性が無意識に精子競争に備える進化的適応の一つと考えられます。調査は、大学のカップル34組を対象に45日間行われ、アンケートと精子サンプルを分析しました。面白いことに、パートナーが浮気していないと信じる男性は精子の運動量が高かったという逆説的な結果も示され、さらなる研究が必要とされています。

男性の皆さんは交際中の彼女に対して「男友達が多いのが嫌だな」と嫉妬したり、「もしかして浮気してるかも」と疑心暗鬼になった経験はありますか?

もしあるなら精子が濃くなっているかもしれません。

米オークランド大学(Oakland University)の研究で、男性はパートナーに対して「異性の友人が多すぎ」とか「浮気している可能性が高い」と感じるほど、性交時に射出される精子濃度が増加することが判明したのです。

これは男性の体が激しい競争の中で自分の子孫を残せるように、無意識のうちにより多くの精子を送り込もうと適応している証拠と考えられます。

研究の詳細は2024年11月5日付で学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載されています。

目次

  • 人間も性的ライバルの脅威から「精子の質」を変化させるのか?
  • 彼女の浮気を疑う男性は精子が濃くなる

人間も性的ライバルの脅威から「精子の質」を変化させるのか?

動物界では、複数のオスが同じメスと交尾することが多々あるため、どのオスの精子が受精に一番乗りできるかを競う「精子競争(sperm competition)」の現象が広く見られます。

例えば、チンパンジーは多くのオスとメスが交尾をするため、オスはより多くの精子を生産し、より活発に動く精子を持つことで競争に勝とうとします。

一方で、人間は基本的には一夫一妻制が世界に広く浸透しているため、「精子競争は関係ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし私たちの社会でも浮気や不倫は日常茶飯事ですし、自分のパートナーが陰でこっそり別の相手と密会している可能性はあります。

そのため、人間の男性も性的ライバルの脅威を本能的に察知し、それに応じて精子の質を変化させている可能性が先行研究などで示唆されているのです。

特に1993年の研究では、カップルが長期間離れて過ごした後の性交では、通常よりも多くの精子が射精されることが示されました(Gordon S. Lynch, 1993)。

これは「離れている間にパートナーが他の男性と関係を持つ可能性がある」と無意識に判断し、より多くの精子を送り込む戦略が進化している可能性を示唆するものです。

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Credit: canva

ただこれまでの研究は、パートナーと会わない「時間的な隔たり」の影響を調べたのみで、他の要因については調べられていません。

そこで研究チームは今回、「パートナーが浮気しているかもしれない」とか「彼女に男友達が多すぎる」といった男性側の思いが、精子の質にどれだけの影響を及ぼすかを調べることにしました。

彼女の浮気を疑う男性は精子が濃くなる

本調査では、大学のコミュニティから交際中の男女カップル34組(18歳〜32歳)を募集し、45日間の調査を実施しました。

すべてのカップルは少なくとも3か月以上の交際期間が続いており、定期的に性行為も行っていることを条件としています。

各カップルは計7回のセッションに参加しました。

最初のセッションではパートナー同士を別室に分け、主に男性参加者に対して以下のような質問に回答してもらっています。

1:直近の性交以降、どれくらいの時間を一緒に過ごしたか

2:男性側はパートナーが浮気している可能性をどれくらい高いと認識しているか(過去および将来の浮気の可能性)

3:男性側はパートナーの男性の友人や同僚の人数、さらにはその男性たちとパートナーが過ごす時間をどの程度と考えているか

初回セッションの後、カップルは今後45日間で計6回の精液サンプルを自宅で採取するよう指示を受けました。

6つのサンプルのうち、3つは性交後に専用のコンドームを使用して採取するよう指示され、残りの3つはマスターベーション(自慰行為)によって採取することになっています。

また一貫性を確保するため、精子サンプルの採取前には最低48時間、最大で7日間は射精を控えることなどが指定されています。

その後、チームは回収された精子サンプルの濃度や運動量を調べ、参加者の回答と照らし合わせました。

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Credit: canva

その結果、先行研究で報告されていたような、カップルが離れて過ごした時間の長さと精子の質には関連がないことが示されています。

カップルがお互いに会わない時間が長くても、男性の精子の質に有意な変化は起きていませんでした。

ところがアンケート調査で「パートナーには異性の友人が多すぎる」とか「浮気している可能性が高い」と回答していた男性ほど、性交時に射出される精子濃度が増加していたことがわかったのです。

この影響はマスターベーションで得られた精子には見られず、性交時のみに限定されていました。

この結果は「パートナーに性的ライバルが多いと感じている男性ほど、精子競争のリスクを察知し、体が無意識に精子の質を変化させる可能性がある」ことを示すものです。

その一方で、逆説的な発見も見られました。

「パートナーは自分との関係に忠実であり、浮気などしていない」と感じていた男性ほど、精子の運動量が高いことがわかったのです。

精子の運動量が高いと、卵子へと素早くまっすぐに泳ぐことができるため、競争に有利に働きます。

一般的な精子競争の理論から考えると、パートナーの貞操が低いと認識する(浮気の可能性を疑う)男性ほど、精子競争リスクに対応するために、精子の運動量を高めることが予測されましたが、実際には逆のことが見られました。

「自分のパートナーは貞節だ」と信じているのに、精子の運動量が高まっていたのです。

研究者はこれについて「この発見は、ヒトの射精調整が他の霊長類よりもはるかに複雑である可能性を示唆しており、さらなる研究が必要であることを示している」と述べています。

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Credit: canva

私たちの体は、気づかないうちにさまざまな環境要因に適応していることが、今回の研究からも分かります。

「恋人が異性の友達と仲良くしている…」そんなとき、男性の心だけでなく、体もまた無意識に反応しているのかもしれません。

今後の研究では、さらに大規模なデータや異なる文化圏での調査を行い、人間の生殖行動に関する理解を深めていくことが期待されます。

またチームは男性だけでなく、女性側の意見や行動にも焦点を当てて同様の研究をしたいと考えています。

全ての画像を見る

参考文献

Scientists investigating human sperm competition stumble upon an intriguing paradox
https://www.psypost.org/scientists-investigating-human-sperm-competition-stumble-upon-an-intriguing-paradox/

元論文

Ejaculate Adjustment in Response to Sperm Competition Risk in Humans
https://doi.org/10.1007/s10508-024-03030-0

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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