鳥はどこから来たのでしょうか?
現代に生きる私たちは日々、スズメやカラス、ハトなど、さまざまな鳥を目にしています。
しかし彼らの祖先がいつどのように進化してきたのかは完全には解明されていません。
そんな中、中国科学院 古脊椎動物・古人類学研究所(IVPP)のチームはこのほど、約1億4900万年前のジュラ紀に遡る新種鳥類の化石を発見したと報告しました。
この鳥は世界最初の鳥類として知られる「始祖鳥」よりも進化しており、鳥類の進化史を大きく塗り替える可能性があります。
研究の詳細は2025年2月12日付で科学雑誌『Nature』に掲載されました。
目次
- 鳥はいつどのように進化したのか?
- 始祖鳥よりも進化した「新種の鳥類」を発見!
鳥はいつどのように進化したのか?
鳥類の起源については、これまで多くの研究が行われてきました。
長らく、最古の鳥類として広く受け入れられてきたのは始祖鳥(学名:Archaeopteryx) です。
始祖鳥は約1億5000万年前のジュラ紀後期に出現したとされ、世界で初めて「恐竜から鳥類への移り変わり」を示す存在でした。
始祖鳥は鳥のような翼に羽毛を持ち、木から木へと飛び移る滑空ができたと見られますが、その一方で、爬虫類のような長い尻尾を持っていました。
またクチバシにも鋭い歯が生え揃っており、現生鳥類とは大きく違って、まだ恐竜に近い姿をしていたのです。
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そのため、近年の研究では「始祖鳥を鳥類ではなく、恐竜のグループに分類した方がいいのではないか」との意見もあります。
確かに始祖鳥が恐竜から鳥類への進化の大きな第一歩を踏み出したのは間違いありません。
ただジュラ紀のその後の化石記録では、始祖鳥に続く鳥類の化石がほとんど見つかっておらず、鳥類がどのような進化を遂げていったのかがよくわかっていませんでした。
しかし研究チームは今回、その進化史にぼっかりと空いた穴を埋める新たな化石の発見に成功したのです。
始祖鳥よりも進化した「新種の鳥類」を発見!
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チームは今回、中国・福建省にある約1億4900万年前のジュラ紀後期の岩石から、新種の鳥類化石を発見しました。
この鳥の化石は、始祖鳥に見られる爬虫類のような長い尻尾ではなく、現生鳥類の大きな特徴である「短い尾」を持っていたのです。
また現生鳥類とよく似た肩帯と骨盤帯の構造をしていました。
その一方で、手の構造は非鳥類型恐竜に近く、爬虫類時代の姿も留めていたようです。
こちらが化石標本から復元された新種鳥類のイメージ図。
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チームは新種の学名を「バミノルニス・ツェンゲンシス(Baminornis zhenghensis)」と命名しました。
バミノルニスは短い尾を進化させていることから、始祖鳥よりも現生鳥類の方にぐっと近づいた存在と考えられます。
またバミノルニスは現時点で報告されている「短い尾をもつ鳥類」として最古の種であり、これまでに記録されていた最古の短い尾をもつ鳥の出現時期を約2000万年も前に遡らせることになりました。
この研究が示すのは、ジュラ紀の終わりまでに鳥類の多様化が大きく前進していたということです。
これまでの定説では、白亜紀に入るまで鳥類の進化はごくゆっくりと進み、羽毛を持った恐竜が徐々に鳥へと進化していったと考えられていました。
しかしバミノルニスの存在はジュラ紀の時点で鳥類がかなり多様化し始めていたことを教えてくれています。
それでも鳥類の進化史はまだ完全に解明されたわけではありません。
今後の研究で、さらなる恐竜時代にいた鳥類の新顔が見つかることが期待されています。
参考文献
China Jurassic fossil discovery sheds light on bird origin
https://www.eurekalert.org/news-releases/1073090
元論文
Earliest short-tailed bird from the Late Jurassic of China
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08410-z
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部