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20代は友人を増やした方が、30代は友人を減らした方が後の幸福度が高くなる


ニューヨーク大学の研究によると、若いときに友人の数が多かった人は、50代での幸福度が高い傾向があります。しかし、30代で友人の数を減らした人がもっとも幸福度が高くなったことから、若い頃は友人を増やし、30代からは関係を絞り質を高めることが幸福度に寄与することが示唆されました。社会的孤立や孤独感は、早期死亡や健康の悪化に関連し、喫煙や肥満と同様のリスクがあります。30年間の追跡調査で、大人になるにつれて人生の目標が変わり、友人の数を減らすことで親密な関係の質が向上することが判明しました。

社会的なつながりが身体的・精神的健康に良いことはよく知られています。

しかし、多くの友達を持つことと質の高い人間関係を保つことのどちらがより重要なのでしょうか。

米ニューヨーク大学のカーマイケル・シェリル(Charmichael Cheryl)氏らは、30年間にわたる追跡調査を行い、友達の数と質が幸福度に与える影響を調べました。

調査では、参加者が20代と30代の時に友人との接触時間や親密度、一日に関わる友人の数について尋ね、その30年後の50歳時点での幸福度を比較しています。

結果として、若いときに友人が多かった人は50代における幸福度が高いことがわかりました。

しかし50代の幸福度が最も高くなったのは、30代の頃に友人の数が減った人だったのです。

このことから、20代には交友関係を広げ、30代には友人の数を絞り、人間関係の質を高めることで、その後の幸福度が高まる可能性が考えられます。

研究の詳細は、2016年3月1日付の心理学雑誌『Psychol Aging』に掲載されました。

目次

  • 孤独は心身ともに悪影響を与える
  • 質の高い人間関係がのちの幸福度を高める

孤独は心身ともに悪影響を与える

孤独は心身ともに悪影響を与える
孤独は心身ともに悪影響を与える / Credit: Leonardo.Ai

孤独は、身体面だけなく精神面にも悪影響を与えます。

現代の社会では、孤独が「公衆衛生の危機」とまで言われ、深刻な問題として議論されています。

では、孤独は私たちにどれくらい悪影響を及ぼすのでしょうか。

孤独に関する70件の研究をメタ分析したブリガム大学の研究では、孤立や孤独感が早期死亡と関連があることを報告しています。

具体的には、社会的孤立が約29%、孤独感が約26%、一人暮らしが約32%死亡率を高めることが分かっています。

これは、喫煙や肥満による死亡リスクの上昇と同程度に人体に対して悪影響があると言えます。

他にも、糖尿病の発症リスクや身体の炎症度上昇、睡眠障害など、孤独には多くのデメリットがあります。

これらの症状と孤独の因果関係は明らかにはなっていません。

しかし、他者からの社会的なサポートを受けることで食生活や健康習慣が改善されたり、孤立することからの恐怖から解放される可能性があるでしょう。

実際、社会的な孤立と食生活に関する41の調査をメタ分析した研究では、パートナーがいる高齢者と比較して、独身の50歳以上の高齢者は1日に食べる野菜の種類が約2.3種類少ないことが報告されています。

その理由として、料理をするスキルや調理をする意欲が不足していることと並び、一緒に買い物に行くパートナーがいないことが挙げられ、一人暮らしが健康状態の悪化に影響を与えていると言えるでしょう。

では、友達や知り合いをたくさん作り、人間関係を充実させればいいのでしょうか。

時間やリソースに限りがあるため、友達の数が多すぎると一人ひとりに時間を割くのが難しいでしょうし、少なすぎると人間関係の恩恵が得られないかもしれません。

その疑問に対する答えを示してくれるのが、2016年にニューヨーク大学のシェリル・カーマイケル氏らの研究です。

質の高い人間関係がのちの幸福度を高める

質の高い人間関係がのちの幸福度を高める
質の高い人間関係がのちの幸福度を高める / Credit: Leonardo.Ai

調査の対象になったのは大学生129名であり、それぞれの対象者を約30年に渡って追跡しました。

調査では、参加者が20代および30代の時に、1日に他者と交流する時間やその人数、他者との親密度、人間関係の満足度に関するデータを集めています。

そして30年後、50代になった参加者に孤独感と抑うつ傾向、主観的幸福感を尋ねました。

実験の結果、若い頃に友人の数が多かった人は50代になった時の幸福度が高い傾向にあることが分かりました。

しかし50代の幸福度が最も高くなったのは、20代の時点で友達が多く、30代の頃に友人の数が減った人だったのです。

このことから、20代では交友関係を広げ、30代には友人の数を絞り、人間関係の質を高めることで、その後の幸福度が高まる可能性があると言えるでしょう。

研究者は「多くの人は、人生の初期段階において、できるだけ多くの新しい情報や知識を得ようとする。しかし、30代になると人生の目標が変わり、不必要な社会的関係を整理し始める。その結果、友人に費やす時間や友人の数は絞られ、関係の質がより高まっていく。」

「結婚、子育て、キャリア形成など、人生の前半で起こるイベントを考慮すると、若い頃の交流の仕方がその後の人生における主観的幸福に関わっていることのは驚くべきことだ」と述べています。

もし30代以降も友人の数を絞ることなく、増やし続けた場合、親密な関係性を築くための時間やリソースが確保できず、関係性が表面的になってしまいます

このような場合、心理的な満足感や支えとなる関係性が不足し、孤独感が増すことでしょう。

「年齢を重ねたら友人の数が減った」や「あの人は交友関係が広いのに自分は狭い」と悩んでいる方は、20代は友達の数を増やし、30代以降は友達の数を絞り、より質の高い関係性を築くのが良いかもしれません。

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参考文献

What Matters More? Size or Quality of Your Social Network
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/the-athletes-way/201507/what-matters-more-size-or-quality-your-social-network

College social life can predict well-being at midlife
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150723125358.htm

元論文

In your 20s it’s quantity, in your 30s it’s quality: The prognostic value of social activity across 30 years of adulthood.
https://psycnet.apa.org/record/2015-10764-001

ライター

AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしていました。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。

編集者

ナゾロジー 編集部

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