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ワニの男性器にはOFFモードがなく、常に「勃起」状態にある!


男性の性器は平常時は、OFFモードでかなり小さな状態で下着の中にしまわれています。

もしこれが四六時中ONの状態になっていたら邪魔で仕方ありません。

しかし自然界には男性器にOFF機能がついておらず、常に勃起した状態にある動物がいます。

それが「ワニ」です。

この驚きの事実は2013年に米マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)の研究で明らかになりました。

男性器が常に勃起状態だと生活に色々と支障がありそうですが、ワニはどのように対処しているのでしょうか?

研究の詳細は2013年2月13日付けで科学雑誌『The Anatomical Record』に掲載されています。

※ 以下、ワニの生殖器の映像を掲載しています。苦手な方は閲覧にご注意ください。

目次

  • ワニの男性器は常に勃起状態だった!
  • ワニの性器はコラーゲンが密に詰まったもの

ワニの男性器は常に勃起状態だった!

オスのワニの生殖器は長い間、どのような仕組みをしているのか知られていませんでした。

それを確かめるため、マサチューセッツ大学の解剖学者であるダイアン・ケリー(Diane Kelly)氏は2013年に調査を行いました。

ケリー氏ら研究チームは、ルイジアナ州にあるロックフェラー野生生物保護区(Rockefeller Wildlife Refuge)から亡くなったばかりのアメリカアリゲーターのオス標本を数匹手に入れて、生殖器の解剖を実施。

そのうち、全長4メートル以上あるオスの生殖器を解剖したところ、長さ約7センチの真っ白い性器が発見されました。

ワニの性器はヒトと違って体外にはなく、「総排出腔」と呼ばれる器官の中にしまわれています。

総排出腔とは、両生類や爬虫類、鳥類、およびごく一部の哺乳類などに見られ、直腸・排尿口・生殖口のすべてを兼ね備えた器官です。

そのため、総排出腔を持つ生物はその同じ穴から尿やフンの排泄、卵や精子の放出を行います。

こちらがワニの総排出腔から性器が飛び出す瞬間を捉えた映像です(※ 音声はありません)。

ケリー氏らが驚いたのは、ワニの性器が常に勃起した状態にあることでした。

「これは本当に奇妙で興味深く、私たちがこれまで目にしてきた脊椎動物の常識とは非常に異なっている」とケリー氏は話します。

勃起の科学的な仕組み

勃起をする生物の性器は通常、「海綿体」と呼ばれる組織によって成り立ちます。

海綿体は筋肉とは異なる組織であり、血液を貯留させることのできる多孔質の組織です。

性的興奮をトリガーにして血流が性器に送り込まれると、海綿体に見られる無数の小さな空洞が血液で満たされ、膨張します。

ヒトの性器の断面図(無数の空洞が空いているのが海綿体)
ヒトの性器の断面図(無数の空洞が空いているのが海綿体) / Credit: en.wikipedia

そして性的興奮が収まると血流が戻って、性器が通常時の状態にまで収縮します。

これが勃起の科学的な仕組みですが、ではオスワニの性器はどのような組織でできていたのでしょうか?

ワニの性器はコラーゲンが密に詰まったもの

ケリー氏らがワニの男性器を詳しく解剖したところ、ヒトと同じような海綿体は存在しないことが判明しました。

オスワニの性器には血流を取り込むシステムもなく、代わりにコラーゲン繊維が網の目状に密に詰まっていることで性器が作られていたのです。

そのため、性器に膨張と収縮の機能はなく、常に勃起しているような硬い状態を保つ仕組みになっていました。

A:ワニの性器の断面図、B・Cは青枠の拡大図
A:ワニの性器の断面図、B・Cは青枠の拡大図 / Credit: D.A. Kelly, The Anatomical Record(2013)

さらに性器の付け根を調べると、複数の筋肉や腱のセットが見つかります。

ワニはこの付け根の筋肉や腱をゴムバンドのように伸ばしたり縮ませることで、性器を総排出腔から出し入れしていたのです。

ケリー氏らはワニの性器と、平常時と勃起時を使い分けている哺乳類や鳥類、カメの標本から得た性器を使って、血液の代わりに生理食塩水を満たす実験をしてみました。

すると哺乳類、鳥類、カメの性器は生理食塩水によって長さや直径が変わりましたが、ワニの性器だけは長さも形もまったく変わりませんでした。

この結果からケリー氏は「ワニの性器は他の多くの動物とは仕組みがまったく異なることが確認された」と述べています。

ワニは付け根の筋肉を使って性器を出し入れしていた(上:総排出腔にしまわれている状態、下:総排出腔から出された状態)
ワニは付け根の筋肉を使って性器を出し入れしていた(上:総排出腔にしまわれている状態、下:総排出腔から出された状態) / Credit: D.A. Kelly, The Anatomical Record(2013)

男性の皆さんからすれば、性器にOFFモードがなく、常に臨戦態勢にあることは不自由きわまりないと感じるでしょう。

しかしワニからすれば、性器のON・OFFモードをいちいち切り替える方が面倒で、必要なときに格納庫から出し入れする方が楽チンなのかもしれません。

勃起を補助する細胞は「頻繁な勃起」で増加する!【Science誌】

全ての画像を見る

参考文献

The Alligator Penis Is Permanently Erect, But Pops Out Only When Needed
https://www.iflscience.com/the-alligator-penis-is-permanently-erect-but-pops-out-only-when-needed-73734

Schwing! Alligator Sports Always-Erect, Hidden Penis
https://www.livescience.com/27274-alligators-hide-pop-up-penises-internally.html

元論文

Penile Anatomy and Hypotheses of Erectile Function in the American Alligator (Alligator mississippiensis): Muscular Eversion and Elastic Retraction
https://doi.org/10.1002/ar.22644

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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