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13tもあるのに人の力で転がせる!?イギリスの不思議な「転がる」可動橋


可動橋とは、航路を確保するため、一時的に形を変えたり移動したりする橋のことです。


この種類の橋では中央から観音開きになる跳開橋(跳ね橋)を思い浮かべる人が多いでしょう。


しかし世界には、多種多様な可動橋が存在します。


イギリスの建築家トーマス・ランドール・ペイジ氏が考案した可動橋は、「転がって」航路を確保することができます。


しかもモーターや電気を必要としません


ここではイギリス・ロンドンの転がる可動橋「コーディドック・ローリングブリッジをご紹介します。




目次



  • イギリスに「転がる可動橋」が誕生
  • 曲線レールの上をスムーズに転がる「コーディドック・ローリングブリッジ」

イギリスに「転がる可動橋」が誕生


イギリス・ロンドンのリー川には、かつて栄えた巨大な工業ドック「コーディドック」がありました。


そして少し前から、コーディドックの再開発プロジェクトが開始されました。


イギリスの「コーディドック再開発プロジェクト」
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

ドックを再スタートさせるには、敷地内の古いダムを撤去し、歩道橋を導入する必要があります。


しかも航路を確保するために、この歩道橋は可動橋でなければいけません。


一般的な跳開橋(跳ね橋)のイメージ
Credit:Y_tambe(WikiPedia)_可動橋

当初は一般的な跳ね橋を設置するつもりでしたが、建築家トーマス・ランドール・ペイジ氏のユニークなアイデアを知った担当者は、彼が考案した転がる可動橋を導入することにしました。


コーディドック再スタートのシンボルとなるようなユニークで創造性にあふれたデザインが採用されたのです。


転がる可動橋。橋床が上部に来ることで航路を確保できる
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

そして最近、転がる可動橋「コーディドック・ローリングブリッジ」が完成しました。


この橋は、川に沿って転がるよう設計されており、180度の回転によって橋床(きょうしょう)が天井へと変化します。


これにより航路が確保され、ボートは橋床に引っかかることなく前進できます。


人力で転がせる
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

しかも可動橋には電気やモーターが必要なく、人間の力だけで動かせるようになっています。


回転方向の両側にそれぞれワイヤーで繋がったウィンチ(巻き上げ機)があり、これを手回しすることで橋が転がるのです。


曲線レールの上をスムーズに転がる「コーディドック・ローリングブリッジ」


人力で回転する秘密は、「重量のバランス」と「可動橋下部のレールの形状」にあります。


正方形の枠にはバランスを取るための重りが仕込まれている
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

通常の設計であれば、その重量のほとんどは橋床に偏り、スムーズな回転が難しくなります。


そこでペイジ氏は、正方形の枠の上部にバランスを取るための重り(バラストと言う)を取り付けています。


これによって重心が高くなり、回転しやすくなるのです。


曲線レールの上を転がる
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

またこの可動橋は、橋下部のレールに乗っており、その特殊な形状に沿って回転します。


モデルを見ると分かるように、レールは角の形にくぼんだ特殊な曲線となっています。


特殊なレールにより、回転の中心変わらない
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

これにより、回転中心が一定のままスムーズに回転することができるのです。


直線レールで回転させた場合のイメージ
Credit:Canva

直線的な地面であれば回転させるために「片方の角が持ち上がる」ほど大きな力で引っ張る必要があるでしょう。


しかしこの曲線レールであれば、「角をくぼみに落とす」程度の力で十分です。


レールのくぼみに角が「落ちる」ので回転しやすい
Credit:Jim Stephenson, Thomas Randall-Page

とはいえ橋全体の重さは13トンもあり、人力で180度回転させるには「約20分かかる」とのこと。


「電気もモーターもいらない」とはいえ、膨大な労力が必要なようです。


長時間通行禁止になることも考えると、この可動橋は、めったに船が通らない場所に設置するか、巻取りを電気モーターに任せた方が良いとも言えるでしょう。


「高めの歩道橋でいいのでは?」という意見も
Credit:Corpse Reviver(WikiPedia)_横断歩道橋

また「航路を妨げないほど高い歩道橋を設置すればよい」との意見も上がっています。


確かにその通りですが、新しい可動橋には「バリアフリー」のメリットがあるとも言えます。


結局は、「再開発プロジェクトにふさわしいユニークなデザイン」であることが一番の採用理由なのでしょう。


コーディドック・ローリングブリッジのようなユニークな可動橋は、今後も世界のどこかで誕生するかもしれませんね。


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参考文献

Cody Dock Rolling Bridge
https://www.thomasrandallpage.com/Cody-Dock-Rolling-Bridge
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