犬の妊娠ってどんなもの?妊娠期間は?妊娠の症状、兆候は?
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犬の妊娠期間は、およそ58~63日です。63日というと2か月ちょっと。2か月なんてあっという間ですね。
そんな時期を楽しみつつ、母犬が安心して赤ちゃんを育めるように、出産までの期間を、妊娠前期、妊娠中期、妊娠後期の3つの期間に分けそれぞれの機関の管理や過ごし方についてお話します。
妊娠前期(1~3週)
交尾が確認されてから卵子が受精していても、最初の20日ほどは受精卵はまだ子宮には着床していません。
この期間はとても不安定で、流産も起こりやすくなりますので、犬の飼育環境には十分に注意してあげてください。
過度な散歩や激しい運動、ジャンプ、高いところから飛び降りる、シャンプーをするといった母体に負担になることは控えましょう。
この頃の症状としては妊娠兆候として、食べ物の好みが変わる、食欲不振、つわりがくるといった兆候が見られます。
妊娠中期(4~6週)
妊娠中期は、いわゆる安定期に入る時期です。妊娠の確認は一般的に中期になったくらいから、超音波検査(エコー)で可能になります。
だんだん乳腺が張ってきて、おなかも少しずつ膨らみ始めるのが兆候です。また、あまり活発に動くことが減り、なんだかおとなしくなってしまったように感じたりする期間です。
この期間は、おなかの赤ちゃんが急激に大きく育つ期間なので、母犬に表れる症状としては食欲旺盛になる兆候があります。
外陰部からおりものが出る事もありますが、もしも半透明でなく赤黒かったり匂いがきつい場合は、流産の疑いもあるので注意してください。
母体と赤ちゃんに必要な栄養をとらせるために、フードも質が良くて高カロリーな妊娠、授乳期の犬用フードに切り替えましょう。
体重も赤ちゃんが成長するにしたがって、どんどん増えます。中期も後半の期間になると、超音波検査(エコー)で赤ちゃんの姿がはっきりと見えます。
妊娠後期(7~9週)
妊娠後期の症状は、おなかを触ると赤ちゃんが動く、胎動が感じられるようになります。
胎動は触らなくても、目で見て動いているのがわかる場合もあります。乳腺もパンパンに張り、おなかもはち切れそうなくらいになります。小型犬の場合は床でこすってしまうことがあり、また抱っこするとお腹を圧迫するので注意してください。
このころ気をつけたいのは早産で、56日以前の分娩では死亡率が高くなります。
また、地面をかくなどの営巣行動がみられるようになります。
家で出産させる場合は家の中の静かな場所に、出産のためのスペースを用意してください。
同時に助産が必要になる場合にそなえ、ハサミや木綿糸など助産に必要な道具を用意し、夜間など緊急時の対処法を相談しておくとより安心です。
この期間は、高いところから飛び降りたり、暴れたりといった激しい運動は控えましょう。
また長毛種の犬種などは、お産でおしり周りが汚れないように、しっぽの付け根や陰部の周りの毛をあらかじめカットして準備しておくのもいいでしょう。
出産間近になると体温が低下(0.5〜2℃)するので、予定日の数日前からは体温をはかり、出産日の目安にしてください。
他にも排尿・排便の増加や落ち着きがなくなるなどの兆候がみられるので、飼い主さんは母犬からなるべく目を離さないようにしてください。
また、動物病院でレントゲン検査をしてもらい、赤ちゃんの数や大きさ、骨盤の開き具合なども確認しておきましょう。
人間と同じで、事前の検査が安全なお産につながります。この期間になると、あまり体重が増えすぎてもお産の時に体へ負担がかかりますので、体重の増減にも注意が必要です。
まとめ
人間も『戌の日にあやかる』という風習があるように、犬のお産は軽いと信じられ、犬は安産の象徴でもあります。
しかし、それはあくまで一般的に軽い傾向があるだけの事であり、実際は犬にとってもお産は命がけの大変なことです。
特に最近の人気犬種であるチワワなどの小型犬は体も小さいので、難産になりやすい傾向があります。
赤ちゃんが大きく育ってしまった場合や赤ちゃんの位置、骨盤のサイズや母体の体力、持病の有無まで考慮し、安全のために帝王切開をするといった事も珍しくありません。
また妊娠・出産には適切な年齢があります。骨格が出来あがる前の早すぎる妊娠や、あるいは衰えが見えてきた老犬と言われる年齢での妊娠は、母体にとってのリスクが高くなる恐れがあるでしょう。
犬は何歳まで妊娠が可能かについては諸説あり、10歳でも可能だと言う説もありますが、高年齢の犬には加齢による疾患が隠れている場合もあります。
ですので子犬が欲しい場合は母犬が何歳までなら大丈夫、と考えるのではなく、その犬自身の状態をよく確認する必要があるでしょう。
犬の出産は時に母体に危険を及ぼしたり、負担になる可能性もあるものです。飼い主さんは愛犬が授かった命を無事に出産できるように、妊娠期間中は日頃よりもっと気にかけてあげ、犬が安心して子犬を産める環境を整えてあげてくださいね。