視線の役割

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犬はアイコンタクトでコミュニケーションをとる習性があります。視線を向けたり逸らしたり、また瞬きすることで自分の気持ちや感情などを伝えています。見つめている時の表情で、相手に好意や嫌な気持ちを伝え、距離感をうまく保っているのかもしれません。
犬は動物にしては珍しく、見つめることで愛情を伝えることができます。たいていの動物にとって「見つめる行為=威嚇」ですが、犬は知能が高いため、人間のように見つめることで愛情や好意を相手に伝えているようです。このことからも、犬はペットとして人間と一緒に暮らすのに最適の動物といえるでしょう。
飼い主を見つめている時の犬の心理は?

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前述の通り、犬は見つめることでいろいろな感情を伝えています。では、飼い主を見つめている時の犬の心理を5つ取り上げてみましょう。
1.好きな気持ちを伝えたい
飼い主のことが大好きでしょうがない場合や、好きな気持ちを伝えたくてしょうがない場合にじーっと見つめてくることがあるようです。信頼の証でもあるので、その場合はアイコンタクトをかえしてあげましょう。
2.飼い主の行動を観察している
犬は飼い主が何をしているのか、次に何をするのかを行動をよく観察しています。忙しそうにしている時には「かまってほしいな」という気持ちから、じーっと飼い主を見つめているのかもしれません。大好きな飼い主を見つめながら、用事が済むのを長い時間待ち続ける犬もいるようです。
3.何か要求がある
目をキラキラさせて上目遣いで飼い主を見つめている時は、「散歩に行きたい」とか「おやつが欲しい」など何か要求がある時です。
キュートな目で見つめられたら、愛犬の要求に応えてあげたくなってしまいます。しかし、見つめてくる姿がかわいいからといって全ての要求に応えてしまうと、ワガママな犬になってしまうので気をつけましょう。
4.不安な時
歯を剥き出しにしていたり、鼻にシワがよりながら見つめてくる場合は、何か不安がある時かもしれません。例えば、病院に行く時や爪を切らなければいけない時など、不安な気持ちから飼い主を見つめることがあります。
子犬の時からスキンシップをとる時間をいっぱいつくって、触られることに慣れさせておきましょう。そうすれば、病院や爪切りに対する不安やストレスが半減されるかもしれません。また、スキンシップをとることで愛犬との信頼関係を築くこともできます。
他にも、「そこは触らないで」とか「これは取り上げないで」という時に、不安な表情で見つめてくることがあります。嫌なことを無理やり続けられると犬にとっては大きなストレスとなります。ストレスが溜まると、歯を当ててくることもあります。ゆえに、愛犬が嫌がることはしないようにしましょう。
5.敵意がある時
犬が「うー」と唸りながらじーっと相手の目を見つめる場合は敵意があるサインです。おうちに来たばかりで飼い主に慣れていない場合や、知らない人が遊びにきた時にこのような表情で見つめてくることがあるかもしれません。
このような場合は、まず私たち人間が視線を逸らし、敵意がないことを犬に示してあげてください。そして、優しい声で「怖くないよ」といってあげることで犬も落ち着くはずです。犬がおびえるほど大きな声を出したり、叱ったりするようなことは絶対にしないでください。
見つめ返したのに視線をそらすのはなぜ?

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愛らしい目で愛犬に見つめられるとこっちも見つめ返したくなりますよね。でも、「見つめ返したのに視線をそらされてしまった」という経験をしたことのある方も少なくないはずです。なぜ犬は視線をそらすのでしょうか。
犬にとって飼い主はリーダー的存在です。視線を向けて飼い主を見ることで、犬はリーダーの行動を把握しようとしています。ゆえに、飼い主が見つめ返した時に視線をそらすことで、リーダーである飼い主に対し「敵意を持ってないこと」や「尊敬していること」を表しているのです。
他にも、苦手なことをいわれたり、困った時にも目をそらします。これは、「嫌なことは聞こえないフリをする」という人間の心境と同じです。悪くいえば、あえて飼い主を無視していることになります。犬も都合の悪いことはなかったことにしたいようです。