犬にはくすぐったいという感情はある?
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愛犬とのスキンシップは楽しいですよね。正しいスキンシップは犬との関係を深めるだけでなく、お互いが癒されストレスを解消する助けともなります。
ところで、愛犬を触ってあげると、部位によってはくすぐったいような反応を示すことがあります。そういう反応を見ていると、「きっとこの部分がくすぐったいのだろう」と思えます。そんな時は犬も笑っているような顔をするので、くすぐられて思わず笑っているのだろうとも考えます。
しかし、実際のところ犬にはくすぐったいという感情があるのでしょうか?今回は「犬とくすぐり」についての本当のところをお伝えしたいと思います。
犬もくすぐったい反応は示す
愛犬をくすぐることってあるのではないでしょうか?なぜなら、くすぐりは私たち人間にとってとても身近なスキンシップの方法だからです。誰でも1度はくすぐり合いをしたことがあるはずです。
私たち人間は、敏感な部分を触られるとくすぐったく感じて笑ってしまったり、居ても立っても居られないように感じたりするものです。
「くすぐったい」という気持ちは、気持ちの良いものではありませんが、「くすぐり合い」というスキンシップに対しては好意的な感情を抱いている人が多いのではないでしょうか?
普通、くすぐり合いはとても仲の良い関係で行われることが多いからです。相手への好意といたずら心が合わさったような気持ちで行なうのです。
私たち人間にはくすぐり合いの文化があるので、愛犬に対しても同じようなことをしたくなります。愛犬のくすぐったいような反応を見たいですし、愛情を表現したいと思うわけですね。
くすぐられたときの犬は大抵、くすぐったいような反応をします。身体をもぞもぞと動かしたり、くすぐりから逃れようとして身体を動かしたりします。だからと言って本気で抵抗しているようには見えませんし、リラックスしているさまが見て取れます。
この反応は人間がくすぐられた時の反応ととても良く似ていますよね。これを見て、多くの人は「犬も人間と同じようにくすぐったいという感情がある」と考えてしまいます。
犬はくすぐったいとは感じていない
犬はくすぐられると、人間と同じように「くすぐったい」と感じているのでしょうか?実は、犬にはあまりくすぐったいという感情がありません。触られたときに軽い刺激をうけて反応はするものの、笑ってしまうような気持ちにはならない、ということなのです。
これは犬特有の感じ方ではありません。哺乳類全般は犬と同じで、小さい刺激を感じることはできますが、触られて笑うことはありません。笑ってしまうほどくすぐったく感じるのは、人間やチンパンジー、ゴリラ、ネズミだけだそうです。
この事実は多くの飼い主さんが認めにくいものかもしれません。「でも、うちの愛犬はくすぐったいような反応をしてくれる」と考えるのです。
確かにそれは間違いではないでしょう。しかし、そのような反応のほとんどはくすぐったいわけではないのです。あくまでそう見えるだけなのです。
では、これまで私たちが「犬がくすぐったいと感じている」ように見えていた反応は、なんだったのでしょうか?次の項目で犬の反応について考えてみます。
犬がくすぐったいような反応をする理由
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犬をくすぐると、くすぐったいかのように身体をくねらせたり、くすぐりから逃げ出そうとしたりします。このような反応をしている時の愛犬の気持ちはどんなものなのでしょうか?犬がくすぐったいような反応をする理由をご紹介します。
触られるのが嫌
単純に「触られたくない」という気持ちの場合が多いです。犬は人懐っこい動物である反面、触られるのが嫌な場所というものがあります。
例えば、信頼している飼い主さんには仰向けになってお腹を見せることがありますよね。だからと言って、お腹に触ってほしいわけではないのです。犬によってはお腹に触られると嫌がって、その手から逃れようとするものです。
同様に、犬にとって触られたくない部位というものがあります。それが嫌で身体をひねったり、手から逃げようとしたりするのです。反応自体はくすぐったい時の反応と同じですよね。飼い主さんが勘違いしてしまうのもしょうがないのかもしれません。
飼い主さんに対する反応が曖昧なのは、飼い主さんのことを信頼しているからかもしれません。触ってくれたりスキンシップを取ってくれたりすることは嬉しいのですが、「そこはやめて~」と思っているのです。
タイミングが悪い
飼い主さんが触るタイミングを間違えることもあるでしょう。犬にも自分の都合や気持ちがあります。何かに集中していたり、一緒にスキンシップを取る気持ちにならなかったりします。
私たち人間もそうではないでしょうか?忙しく働いている時に、声を掛けられたり、ちょっかいを掛けられたりすると、「後で!」と言ってしまいたくなるものです。相手の手を払いのけたくなることもあるでしょう。
タイミングが悪いと愛犬も同じような反応をしてしまうのですね。ごはんを食べている時や眠たい時、機嫌が悪い時にくすぐられたら、鬱陶しく感じます。「やめてよ~」と体でやんわりと拒否を示すことがあるでしょう。
反射的行動
犬には反射的行動というものがあります。犬の気持ちとは関係なく、身体が反応する部位があるのです。
例えば、犬の脇腹あたりを触ると、足を蹴るような反射行動が起こる場合があります。他の部位でも反射的にピクッとなる場合があります。耳や手足、尻尾などが動くのです。
飼い主さんがわしゃわしゃと愛犬の身体をくすぐるなら、色々な部分が刺激されることになりますから、反射的に身体が動くのも不思議ではありませんね。この時、愛犬はくすぐったいとは感じていません。
スキンシップが嬉しい
くすぐったいとは感じていなくても、スキンシップが嫌いなわけではありません。スキンシップ自体は犬たちにとって大切なものです。お母さんと子供がお互いの身体をつついたり舐めたりして嬉しそうにスキンシップを取っている場面を見たことがあるでしょう。
他にも子供同士がじゃれ合っていることもありますね。どちらの犬も楽しそうな表情をしているものです。
飼い主さんからのスキンシップは愛犬にとってとても嬉しいものです。飼い主さんからの愛情表現ともなりますし、ストレス発散の機会にもなります。愛犬が嬉しそうにするのも当然ですね。
ただし、犬は触られて嬉しいのですが、くすぐったいわけではないのですね。私たちはこの点を混同しがちですが、犬たちは単にスキンシップが嬉しいだけなのです。
敏感な犬
犬にも個性があります。たくさんの犬の中には、刺激に敏感な犬もいることでしょう。ほとんどの犬はくすぐられても、「触れている」くらいにしか感じませんが、刺激に敏感な犬は本当にくすぐったく感じているかもしれません。
犬の身体には他の場所よりも敏感な部分があります。刺激に敏感な犬は、強い刺激を感じますから、それがくすぐったいという感情に近いものとなる可能性もあります。
ただし、本当に笑ってしまうようなくすぐったさを感じているかどうかは分かりません。本当のところはくすぐられている犬自身しか知らないのです。