猫の睡眠について知る
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猫をいざ飼ってみると、よく寝る動物であることを実感します。猫は夏は風通しの良い涼しい場所、冬は日のぬくもりを感じられる温かい場所など、常に一番気持ちよくて快適な場所を寝床として確保しています。
いつも寝ているように思える猫ですが、睡眠時間が長いのはなぜでしょうか?また、猫の睡眠状態から猫の病気が分かるって本当なのでしょうか?猫の睡眠事情について理解しておくことは、猫の健康を守るためにとても大切なことです。
ではまず、猫の睡眠時間にまつわる点を取り上げてみることにしましょう。
猫の平均睡眠時間はどのくらい?
猫はよく寝る動物として昔から知られています。よく寝ることから「ネコ」と呼ばれるようになったと言われているくらいです。
猫の平均睡眠時間は、子猫の場合は20時間程度、成猫の場合は14時間程度と言われています。もちろん継続して20時間、もしくは14時間寝るということはありませんが、それでも一日の大半を猫は寝て過ごしていることが分かります。
猫の睡眠時間が長いのはなぜか
猫はなぜ長時間の睡眠を必要としているのでしょうか?それには、エネルギーの温存と猫の睡眠サイクルが関係しています。
そもそも野生の猫は、生きていくために草食動物を捕まえて食べるという狩りをしていました。その狩りは体力と知力を使い、エネルギーも大量に消耗します。そのため、狩りをしないときはなるべく動かないで、エネルギーを温存する習性がありました。
現代の猫の多くは、人間にペットとして飼われているので狩りをする必要はありません。しかし、眠って体力を温存するという習性はしっかり残されています。そのため猫はよく寝ると言われています。でも猫は眠っていても、そのほとんどは浅い眠りなので、ちょっとした物音ですぐに目が覚めてしまうようです。
猫の睡眠は人間のように、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」が交互に訪れる睡眠サイクルとなっています。人間は深く眠るノンレム睡眠が睡眠時間の80%を占めていますが、猫の場合はたったの20%、それもたったの6~18分だけが深い眠りについている時間と言われています。
ですから、猫は一日中寝ているように見えますが、深く眠っている時間はほんの少しなのです。もし愛猫が深い眠りについているなら、その貴重な睡眠時間を起こさずにそっと見守ってあげるようにしましょう。
猫の睡眠時間を他の動物と比較してみよう
では、猫よりも多くの睡眠時間を必要とする動物はいるのでしょうか?
猫同様に身近なペットとして知られている犬の場合、必要とされている平均睡眠時間は10時間程度と言われています。草食動物であるウサギの平均睡眠時間は8.5時間程度、牛はたったの4時間しか寝ないようです。
ちなみにわたしたち人間の平均睡眠時間は6~8時間程度です。このように比較してみると、猫の平均睡眠時間は長いことが分かりますね。
猫が突然寝る病気がある?
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人間の場合、日中発作的に強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」という睡眠障害があります。別名“居眠り病”とも呼ばれており、急に我慢できないほどの強い睡魔に襲われ、突然寝てしまうという症状があらわれます。
通常の睡魔と睡眠障害「ナルコレプシー」は区別がつきにくいため、病気だという自覚がないまま日中寝てしまい、周囲から誤解を招くことも多くあります。実はこの睡眠障害「ナルコレプシー」は人間だけでなく、身近な動物である犬にも発症する病気と言われています。
では猫はどうでしょうか?今現在のところ、猫が睡眠障害「ナルコレプシー」にかかるという事例は報告されていないようです。ですから、猫が突然寝るというナルコレプシーの病気を発症する心配はありません。
猫が寝なくなることがある?!
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猫が突然寝るということはほぼありませんが、猫が寝なくなってしまうことはあり得ます。特に初めて猫を飼う方は、普通はよく寝るはずの猫があまり寝ないと心配になってしまうことでしょう。
しかし多くの方がご存知の通り、猫は夜行性なので夜に活発に活動をし、昼間はぐっすり寝ている行動パターンが多いです。そのため、心配なのは昼も夜も寝ない場合といえます。
猫が寝ないときの対策法とは
猫が寝ていないと思っても、案外飼い主さんの見ていない場所で寝ているものです。もしぐっすりと寝ている様子が見られないなら、猫にとって寝床が快適ではないのかもしれません。
猫は狭くて暗い場所、冬は温かく夏は涼しい場所、高い所などを好む傾向があります。また、猫によっては窓際で外を眺めながら寝ることが好きな子もいます。
もし愛猫がよく寝ていないように感じるなら、愛猫の好みの場所にいくつか寝床を用意してあげましょう。愛猫サイズの段ボール箱を用意したり、狭くて暗い場所に毛布などをひいてあげたりすることができるかもしれません。高い所が好きな子にはキャットタワーなどを用意し、高い場所で眠れる寝床を整えてあげるのもひとつの方法です。
猫が寝ないことで疑われる病気
あまりにも猫が寝ない場合には、何かしらの病気を患っている可能性があります。猫が寝なくなってしまう病気には、次のようなものが挙げられます。
■不眠症
不眠症と聞くと人間がかかる病気のイメージがありますが、実は猫もかかりやすい病気のひとつです。不眠症を発症する原因には、ストレスや老化などが関係していると言われています。
特に老化で認知症になってしまった猫の場合、夜鳴きや徘徊に加え、不眠症もあらわれることがあります。
■甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、人間の場合は別名”バセドウ病”とも呼ばれている甲状腺の病気です。猫も甲状腺機能亢進症にかかることがあります。
猫の場合、甲状腺機能亢進症の初期症状としてまず寝なくなり、元気いっぱいに動き回るようになります。食欲が増え、落ち着きがなくなるなどの症状があらわれます。その後病気が進行すると、元気や食欲が低下してきます。
甲状腺だけでなくさまざまな臓器にも悪影響を及ぼす病気なので、甲状腺機能亢進症の症状があらわれたら注意が必要です。
■慢性腎臓病
慢性腎臓病は猫がかかりやすい病気のひとつで、一度発症すると残念ながら完治することはありません。血液中の老廃物を尿として排出する機能が少しずつ低下し、最終的には腎臓全体の機能が低下してしまう病気です。
慢性腎臓病になると、嘔吐、尿がでない、食欲不振などの症状があらわれます。さらに症状が悪化すると、寝ない状態が続くことがあります。
猫の睡眠時間に飼い主さんが注意できること
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愛猫が病気になりにくいよう、どのように良質な睡眠がとれるようサポートできるでしょうか?
まず愛猫が熟睡できる時間を確保してあげましょう。良質な睡眠は健康で長生きにつながります。最低でも3時間程度は愛猫が熟睡できる時間を作りましょう。
そのためには猫にとって快適な適温環境を整えることが大切です。部屋の温度は15~22度くらいが適温と言われています。もし愛猫が顔を身体の中にうずめて丸くなって寝ているなら、肌寒く感じている可能性があります。
一方、お腹を見せて寝ているなら温度が高く、暑いのかもしれません。是非、猫にとって快適な室温をキープしてあげましょう。