ホテルから外出した時、コンビニエンスストアへ寄ってからホテルへ戻ることが多い。飲み物などを購入するのだが、宿泊しているホテルによっては、施設内の自動販売機での販売価格がコンビニエンスストアより安いケースがあり、コンビニエンスストアで調達しないこともある。

客室で飲み物といえば、高級ホテルにあるミニバー(客室の冷蔵庫へ入れられた飲料)を思い出す。このミニバー、例外を除いてかなり高い。以前、都心の某高級ホテルで、ミネラルウォーター1,050円(当時の消費税込み)というのがあって驚いた。意地でも自動販売機で買おうと探したが、ホテルに自動販売機がない。



確かに高級ホテルでは館内に自動販売機がないといったケースは多い。ラグジュアリー感と自動販売機の姿は相容れない。ではではと、コンビニエンスストアへ買いに行こうと思ったが、ホテルの敷地が広大、近隣にコンビニエンスストアはなし。どれだけ歩いたことか。こんな時、陸の孤島感が身にしみる。何より、コンビニエンスストアの袋を下げて、ドアマン、フロントスタッフなどホスピタリティの溢れるラグジュアリースペースを通過するのはかなりハードルが高い。ホテルの紙袋など持参して入れ替えるくらいの覚悟と用意が必要だ。



それでも最近は、市販価格に少し上乗せしたくらいのミニバーや、自動販売機を設置する高級ホテルが多くなった。それが利用者目線の進化とすれば、もっとも進化著しいのがビジネスホテルの自動販売機。市価に上乗せしているビジネスホテルはもはや少なく、市価と同額は当たり前、中には市価よりも安くするホテルが増えた。



そんな自動販売機のスペースには、軽食を販売する自動販売機があるケースも多い。しかし軽食に関しては買ってガッカリ、価格の割りに概してレベルは低いので、フードはやはりコンビニエンスストアに軍配か。そんなわけで電子レンジを設置するビジネスホテルも多い。一方、高級ホテルに自動販売機が設置されようとも電子レンジは見たことがない。ラグジュアリーなパブリックスペースにやはり電子レンジは似合わない。



ところで、夜中に目覚めてドリンクが欲しい時、自動販売機へ買いに行くのも億劫の場合、不本意ながらホテルのミニバーから取り出すこともあるだろう。オロナミンCが300円などという場合、朝起きてコンビニエンスストアで購入してミニバー補充してしまうという猛者もいるらしい。もちろん禁止行為だ。



一方、ミニバーのペットボトルは蓋の上にビニールが被せられている。コンビニエンスストアのペットボトルにビニールは被せられていないので一目でわかる。勝手な交換補充はできない。

(文:瀧澤信秋/ホテル評論家・Hotelers編集長)


情報提供元: Hotelers